工業統計調査
平成8年 工業統計確報
平成10年6月12日(金)
通商産業大臣官房調査統計部
はじめに
通商産業省では、我が国製造業の実態を明らかにすることを目的として、明治42年以来、工業統計調査を実施しております。
平成8年工業統計調査は第80回目の調査として、平成8年12月31日に実施しました。集計結果については5月中旬に、「産業編」、「品目編」、「市町村編」、「用地・用水編」として公表し、「工業地区編」、また、2次加工統計編として「企業統計編」を、順次公表することとしております。
この調査の実施にご協力いただいた事業所の方々、調査員、各都道府県、市区町村の方々に深く謝意を表するとともに、今後の工業統計調査の一層の充実と改善を期するために、皆様方のご意見を賜れば幸いに存じます。
平成8年工業統計(確報)
1. 従業者4人以上の事業所の概況
平成8年の従業者4人以上の事業所数は、36万9612事業所。産業別では、金属製品4万5358事業所(構成比12.3%)、食料品4万571事業所(同11.0%)、一般機械4万528事業所(同11.0%)、衣服・その他の繊維製品3万753事業所(同 8.3%)、電気機械2万9826事業所(同8.1%)等の順。
産業別事業所数(従業者4人以上の事業所)
従業者数は1010万人。産業別では、電気機械170万人(構成比16.9%)、食料品113万人(同11.2%)、一般機械110万人(同10.9%)、輸送機械91万人(同9.0%)、金属製品80万人(同7.9%)等の順。
産業別従業者数(従業者4人以上の事業所)
製造品出荷額等(以下、出荷額)は、313兆684億円。産業別では、電気機械57兆7478億円(構成比18.4%)、輸送機械45兆1446億円(同14.4%)、一般機械31兆8798億円(同10.2%)、食料品24兆2435億円(同7.7%)、化学23兆4902億円(同7.5%)等の順。
産業別製造品出荷額等(従業者4人以上の事業所)
付加価値額は、119兆3040億円。産業別では、電気機械20兆1649億円(構成比16.9%)、輸送機械13兆3985億円(同11.2%)、一般機械12兆9343億円(同10.8%)、化学11兆9017億円(同10.0%)等の順。
従業者規模別では、事業所数は4~9人規模が5割強を占める。従業者数は10~49人規模、300人以上の規模がそれぞれ3割近くとなっている。また、出荷額及び付加価値額は、299人以下の規模が5割強。
主要項目の従業者規模別構成比(従業者4人以上の事業所)
都道府県別の事業所数は、大阪(3万6046事業所)、東京(3万2023事業所)、愛知(2万9858事業所)、埼玉(2万1事業所)、静岡(1万6615事業所)、兵庫(1万5337事業所)、神奈川景(1万4384事業所)等の順。
従業者数は、愛知(88万2613人)を始め、大阪(74万1817人)、東京(62万3253人)、神奈川(58万4843人)、埼玉(50万9487人)、静岡(48万7605人)、兵庫(44万8014人)、茨城(30万3076人)等の順。
出荷額は、愛知(35兆2346億円)、神奈川(24兆4160億円)、大阪(20兆9896億円)、東京(19兆6715億円)、静岡(16兆3805億円)、埼玉(15兆3155億円)、兵庫(14兆5803億円)、千葉i12兆343億円)、茨城(11兆2038億円)等の順。
付加価値額は、愛知(12兆3636億円)、神奈川(8兆9802億円)、大阪(8兆5930億円)、東京(8兆2441億円)、静岡(6兆2190億円)、兵庫(5兆9926億円)、埼玉(5兆9241億円)、千葉(4兆2742億円)等の順。
2. 従業者10人以上の事業所の概況 -事業所数は減少、出荷額は2年連続の増加-
本概況は、平成8年12月31日現在で実施した工業統計調査結果のうち、従業者10人以上の製造事業所についてとりまとめたものである。
概況 |
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都道府県別の動向 |
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規模別動向 |
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地域別動向 |
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(1)我が国の工業の概要(従業者10人以上の事業所)
- 事業所数は、17万事業所、前年比▲ 1.8%と5年連続の減少
- 従業者数は、890万人、同▲1.6%と5年連続の減少
- 出荷額は、300兆円、同2.5%と2年連続の増加
- 付加価値額は、112兆円、同2.1%と2年連続の増加

(2)産業別の状況(従業者10人以上の事業所)
- 事業所数
- 化学工業、一般機械を除く全産業が減少、減少続く繊維関連産業
- 多いのは、食料品、電気機械、金属製品、一般機械、この4産業で全体の44%
- 従業者数
- 家具・装備品、一般機械を除く全産業が減少、減少続く繊維関連産業
- 多いのは、電気機械、食料品、一般機械、輸送機械、この4産業で全体の50%
- 出荷額
- 石油・石炭製品、一般機械、電気機械、出版・印刷などが増加
- 多いのは、電気機械、輸送用機械、一般機械、化学工業、この4産業で全体の52%
- 1事業所当たり出荷額は、17.5億円、前年比4.4%の増加
- 付加価値額
- 輸送用機械、非鉄金属、一般機械などが増加
- 付加価値率は、製造業平均37.4%、前年に比べ▲0.2ポイント低下
- 従業者1人当たり付加価値額は、製造業平均1259万円、同3.7%と3年連続の増加
- 有形固定資産投資総額(従業者30人以上の事業所)
- 加工組立型中心に8年は前年比12.4%の大幅増
(3)都道府県別の状況(従業者10人以上の事業所)
- 事業所数は、42県が減少、5県が増加
- 多い県は、大阪、愛知、東京、埼玉、静岡、この5県で全国の3割強
- 従業者数は、41県が減少、7県が増加
- 多い県は、愛知、大阪、神奈川、東京、埼玉、この5県で全国の3割強
- 出荷額は、41県が増加、6県が減少
- 付加価値額は、32県が増加、15県が減少
- 従業者1人当たり現金給与総額は、全国平均465万円、前年比2.3%の増加
- 徳島、栃木、奈良、福岡など45県が増加
トピックス
バブル経済の崩壊、急激な円高とその後の円安の動き、製品輸入の拡大など製造業にとっては厳しい環境下にある。このようななかで製造業の出荷額は2年連続の増加となっているが、その動向について、従業者規模別、地域別にみてみる。
- 従業者規模別の動向(2年= 100)-10~49人規模の出荷額は5年ぶりの増加
- 出荷額は、50人以上の規模では6年を底に回復の動き、10~49人規模も8年は緩やかに回復
- 1事業所当たり出荷額は、全規模6年を底に大幅な回復
- 地域別の動向(2年= 100)-全地域に回復の動き
- 北海道、東北、四国、九州は2年水準を下回ることなく推移、8年には北海道も増加
- 関東、中部、近畿、中国は3年ピークに低下、6年を底に回復の動き、なかでも関東、中部の回復が著しく、中国、近畿は緩やかな回復傾向