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- 第3章 中小企業の財務状況
- 3.中小企業の流動比率
商工業実態基本調査
3.中小企業の流動比率
中小企業の流動比率
(注) 流動比率は、流動資産(現金預金、受取手形、売掛金など)を流動負債(支払手形、買掛金、短期借入金など)で除した比率で、この比率が大きいほど返済能力があり経営の安全が保たれるていることを示す。
企業のキャッシュフロー(資金の流動性)を流動比率で見てみよう。また、中小企業における流動比率の分布についても見てみよう。
製造企業
製造企業における流動比率は、中小企業が125.5%、大企業が131.4%となった。この結果、中小企業が大企業を下回り規模間格差は▲5.9ポイントとなった。これは、中小企業は大企業に比べて総じて資金の流動性が低く、それだけ資金繰りの困難性が高いことを示している。
製造企業における中小企業の流動比率をみると、比較的流動比率が高いのは、繊維工業の141.7%、 衣服・その他の繊維製品製造業の137.3%、その他の製造業と精密機械器具製造業の137.1%となった。他方、流動比率が相対的に低いのは、鉄鋼業の105.8%、窯業・土石製品製造業の109.4%、非鉄金属製造業の113.4%となった。この結果、流動比率が最も高い繊維工業と最も低い鉄鋼業との業種間格差は35.9ポイントとなった。
次に、製造企業における流動比率の規模間格差を業種別にみると、中小企業が大企業を上回っている(流動性が高い)のは、パルプ・紙・紙加工品製造業の36.3ポイント、繊維工業の28.2ポイント、出版・印刷・同関連産業の27.5ポイント、ゴム製品製造業の26.7ポイントとなった。他方、中小企業が大企業を下回っている(流動性が低い)のは、その他の製造業の▲74.3ポイント、衣服・その他の繊維製品製造業の▲44.0ポイントとなった。
次に、製造企業における流動比率の分布を見てみよう。下図は、中小企業及び大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業においては、流動比率100%未満の企業が33.9%、100%以上の企業が66.1%となった。これは、3分の1の企業で流動負債が流動資産を上回っていることを示している。他方、大企業では流動比率が100%未満の企業が33.4%、100%以上の企業が66.6%となり、中小企業と同様に3分の1の企業で流動負債が流動資産を上回っていることを示している。
なお、分布の形状をみると、中小企業では流動比率100~150%の24.3%が最も多く、ついで50~100%の19.1%、150~200%の13.0%となった。他方、大企業では、流動比率100~150%の35.5%が最も多く、次いで50~100%の29.3%、150~200%の14.6%となった。
卸売企業
卸売企業における流動比率は、中小企業が118.4%、大企業が114.7%となった。この結果、中小企業が大企業を上回り規模間格差は3.7ポイントとなった。
卸売企業における中小企業の流動比率を業種別にみると、比較的流動比率が高いのは、繊維・衣服等卸売業の127.5%、その他の卸売業の123.6%などとなった。他方、流動比率が最も低いのは、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業の113.3%となった。この結果、流動比率が最も高い繊維・衣服等卸売業と最も低い建築材料、鉱物・金属材料等卸売業との業種間格差は14.2ポイントとなった。
次に、卸売企業における流動比率の規模間格差をみると、中小企業が大企業を上回っている(流動性が高い)のは、飲食料品卸売業の10.7ポイント、繊維・衣服等卸売業の10.6ポイントとなった。他方、中小企業が大企業を下回っている(流動性が低い)のは、各種商品卸売業の▲4.3ポイント、機械器具卸売業の▲5.9ポイントとなった。
次に、卸売企業における流動比率の分布を見てみよう。次の図は、中小企業及び大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業においては、流動比率100%未満の企業が28.9%、100%以上の企業が71.1%となった。これは、4分の1の企業で流動負債が流動資産を上回っていることを示している。他方、大企業では流動比率が100%未満の企業が36.0%、100%以上の企業が64.0%となり、3分の1の企業で流動負債が流動資産を上回っていることを示している。
なお、分布の形状をみると、中小企業では流動比率100~150%の35.0%が最も多く、ついで50~100%の19.7%、150~200%の13.6%となった。他方、大企業では、流動比率100~150%の47.2%が最も多く、次いで50~100%の34.5%となった。
小売企業
小売企業における流動比率は、中小企業が151.0%、大企業が81.2%となった。この結果、中小企業が大企業を上回り規模間格差は69.8ポイントとなった。
小売企業における中小企業の流動比率をみると、比較的に流動比率が高いのは、その他の小売業の195.3%、各種商品小売業の146.7%などとなった。他方、流動比率が最も低いのは、飲食料品小売業の112.8%となった。この結果、流動比率が最も高いその他の小売業と最も低い飲食料品小売業との業種間格差は82.5ポイントとなった。
次に、小売企業における流動比率の規模間格差をみると、すべての業種で中小企業が大企業を上回った。中でも、その他の小売業の91.8ポイントと各種商品小売業の90.2ポイントが大きい。
次に、小売企業における流動比率の分布を見てみよう。次の図は、中小企業及び大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業においては、流動比率100%未満の企業が35.3%、100%以上の企業が64.7%となった。これは、3分の1の企業で流動負債が流動資産を上回ったことを示している。他方、大企業では流動比率が100%未満の企業が48.7%、100%以上の企業が51.3%となり、半数の企業で流動負債が流動資産を上回っていることを示している。
なお、分布の形状をみると、中小企業では流動比率100~150%の25.5%が最も多く、次いで、50~100%の19.1%、150~200%の11.9%となった。他方、大企業では、流動比率50~100%の37.1%が最も多く、次いで100~150%の26.6%、150~200%の12.4%となった。