経済産業省
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商工業実態基本調査

1.商品等の流通構造


 (注)産業用使用者とは、農林水産業、鉱業、建設業、製造業など商品等を原材料に使用する者をいう。生産業者とは、農林水産業、鉱業、製造業などの生産者をいう。卸売業者とは、問屋、商社など商品を仕入れ再販売する者をいう。小売業者とは、最終消費者に商品を販売する者をいう。直接輸出及び直接輸入とは、自己名義で通関手続きを行って海外と直接取引したものをいう。

 我が国の流通構造について、製造業から卸売業を経て小売業に至る商品又は製品(以下「商品等」という。)の流通構造を見てみよう。次の図は、それぞれの段階における商品等の出入の状況を勘定形式にまとめたものである。

 まず、製造企業勘定では、商品等売上高が323兆9千億円、その他の売上高が22兆円、これらを合計した総売上高が345兆9千億円となった。この売上高を得るために消費された製造原価等が268兆7千億円、差額の77兆2千億円が売上総利益(粗利益)として計算された。製造企業の販売先をみると、産業用使用者が124兆7千億円(商品等売上高に占める割合38.5%)で最も多く、次いで卸売業者が122兆3千億円(同37.8%)、海外に直接輸出した額が38兆6千億円(同11.9%)、小売業者に販売した額が32兆8千億円(同10.1%)、一般消費者が5兆5千億円(同1.7%)となった。

 次に、卸売企業勘定をみると、商品等売上高が365兆6千億円、その他の売上高が8兆8千億円、これらを合計した総売上高が374兆4千億円となった。この売上高を得るために消費された商品仕入高が309兆9千億円、売上総利益が44兆1千億円となった。この差異として計算される20兆4千億円は、卸売・小売業以外の製造活動などの売上原価と推定される。卸売企業の販売先をみると、卸売業者が126兆5千億円(商品等売上高に占める割合34.6%)で最も多く、次いで小売業者が103兆円(同28.2%)、産業用使用者が100兆6千億円(同27.5%)、海外に直接輸出した額が28兆1千億円(同7.7%)、一般消費者に販売した額が7兆5千億円(同2.0%)となった。

 小売企業勘定をみると、商品等売上高が136兆2千億円、その他の売上高が6兆6千億円、これらを合計した総売上高が142兆8千億円となった。この売上高を得るために消費された商品仕入高が99兆3千億円、売上総利益が39兆4千億円となった。これらの差異4兆1千億円は、卸売・小売業以外の事業にかかる売上原価と推定される。小売企業の販売先をみると、一般消費者に販売した額が119兆1千億円(商品等売上高に占める割合87.4%)で最も多く、次いで小売業者が11兆4千億円(同8.4%)、産業用使用者が2兆9千億円(同2.1%)、卸売業者が2兆7千億円(同2.0%)、海外に直接輸出した額が2千億円(同0.1%)となった。

 なお、製造企業勘定の卸売業者への売上高122兆3千億円と卸売企業勘定の生産業者からの仕入高145兆2千億円の差異22兆9千億円は、農林水産業、鉱業などの生産者からの仕入と推定される。卸売企業勘定の小売業者への売上高103兆円と小売企業勘定の卸売企業からの仕入高75兆6千億円の差異27兆4千億円は、サービス業者、飲食店への商品等売上高と推定される。

企業産業別の流通構造(概念図)

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 流通経路の長さを示す指標としてのW/R比率(Wholesaler Retailersales ratio)は、卸売業平均で2.23となり、平成4年調査に比べ▲0.58ポイント低下した。これを従業者規模別にみると、従業者100人以上の▲1.21ポイントの低下が最も大きく、次いで5~19人の▲0.20ポイント、1~4人の▲0.13ポイント、20~49人の▲0.10ポイントそれぞれ低下し、50~99人のみ0.25ポイント上昇した。このことから、我が国の流通業の特徴とされてきた卸売機構の多段階制の変化は、大企業において大きく変化し、規模間の格差が縮小していることがうかがえる。

卸売段階におけるW/Rhirituno規模別比較

W/R比率

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最終更新日:2007.10.1
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