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商業統計

(トピックス)1.開設年別にみた商店数

- 新規開設の続いている小売業 -

 商店を開設年別にみると、平成9年調査時点(平成9年6月1日)に存在する全商店(181万1270店)のうち、約半分の商店(83万9888店、構成比46.4%)が昭和50年以降の開設となっている(商業統計でいう開設とは新規に加え、移転、転業も含む)。
 開設年別商店数を年平均でみると、卸売業は、昭和50年代に開設され、現在まで存続している商店は18万6300店(構成比47.6%)であった。昭和50年から平成3年までの20年間に年平均で7400店の開設がみられたが、バブル崩壊後の平成4年以降、開設テンポは鈍化している。小売業は、昭和50年代に開設され、現在まで存続している商店は65万4千店(同46.0%)、平成3年までの20年間に年平均2万2千店の開設となっている。小売業では開設商店の増加が続いており、平成7年以降には年間4万店の新規開設がみられる。
 このように、商店の開設状況をみると、卸売業、小売業とも商店の約半分が昭和50年以降の開設となっている。卸売業は、流通経路の短縮化・効率化などによる企業再編など新たな開設は少なくなっており、小売業では、近年は消費者のライフスタイルにマッチした新業態店や、多種多様の品揃え店などの開設が多くなっている。

1年当たりの開設年別商店数
1年当たりの開設年別商店数
  1. (1)開設年別の状況
     卸売業は、39万1574店のうち、約半分の商店が、昭和50年以降の開設となっている。
     業種別にみると、電気機械器具卸売業、その他の機械器具卸売業、医薬品・化粧品等卸売業、衣服・身の回り品卸売業では、50%強から60%強の商店が昭和50年以降の開設、一般機械器具卸売業、自動車卸売業なども半分近くが昭和50年以降の開設と、卸売業は全般的に近年新規参入の商店が多い。なお、再生資源卸売業は、昭和50年以降の開設が31.7%と新規参入の商店の少ない業種である。
    卸売業の業種別、開設年別商店数(平成9年)
    卸売業の開設年別商店数
    卸売業の開設年別商店数
    上記数表のダウンロード(LOTUS 1-2-3形式)
    <卸売業の開設年別商店数>H2SKTPH1.WK4(12KB)

     小売業は、141万9696店のうち、卸売業同様約半分の商店(65万3588店、構成比46.0%)が昭和50年以降の開設となっている。また、昭和19年以前の開設商店(19万1千店、同13.5%)の割合も高い。
     業種別にみると、各種商品小売業の65%、織物・衣服・身の回り品小売業、自動車・自転車小売業、その他の小売業の約5割が昭和50年以降の開設となっている。各種商品小売業は、個人消費の拡大、消費構造の変化などを背景に昭和40年以降大型総合スーパーなどの出店が増加傾向にあること、織物・衣服・身の回り品小売業が婦人・子供服を中心に、また、自動車・自転車小売業が自動車の普及拡大などから、割合が高くなっていると考えられる。その他の小売業は、消費者のライフスタイルの多様化、モータリゼーションの進展などを背景に医薬品・化粧品小売業、農耕用品小売業、燃料小売業などで開設が顕著であった。
     また、飲食料品小売業は、他の業種に比べ昭和50年以降の開設は41.1%とその割合が低いが、これは、酒小売業(昭和50年以降の開設割合19.7%)、米穀類小売業(同18.4%)において昭和19年以前の開設割合がそれぞれ40.6%、26.7%と高いことが影響している。取扱商品(酒、米)の販売には免許が必要であり、そのため代々継続して商店を営んできたが、近年は免許制度の緩和により、ディスカウントストアやスーパーなど大型店でも米、酒が取り扱われるようになり、小規模な専売店を中心とする酒小売業や米穀類小売業においては昭和50年以降の開設割合が低くなったと考えられる。また、その他の小売業のうち金物・荒物小売業(昭和19年以前開設割合24.9%)、自動車・自転車小売業のうち自転車小売業(同23.2%)においても、取扱商品が従来は小規模の小売店を中心とするいわゆる買い回り品的なものであることから、昭和19年以前の開設割合が比較的高いものであったが、近年はホームセンター、DIY等の大型店の増加により、専門に取り扱う小売店が減少したことから、昭和50年以降開設の割合が低いと考えられる。

    小売業の業種別、開設年別の商店数(平成9年)
    小売業の開設年別商店数
    小売業の開設年別商店数

    上記数表のダウンロード(LOTUS 1-2-3形式)
    <小売業の開設年別商店数> H2SKTPH2.WK4(12KB)

  2. (2)新設、廃業
     商店の調査年ごと(調査日から調査日まで)の新設、廃業の状況をみると、
     商業計では平成9年(6~9年)は、新設商店の割合が7.6%(前回差0.6ポイント増)と、前回に比べ割合が拡大している。廃業商店の割合は13.2%と、前回と変わらない。
     卸売業では、平成9年(6~9年)は、新設商店4.7%(同▲1.1ポイント減)で、前回に比べ縮小、廃業商店13.1%(同0.7ポイント増)と、前回に比べ拡大している。
     小売業では、平成9年(6~9年)は、新設商店8.3%(同0.9ポイント増)で、前回に比べ拡大、廃業商店13.2%(同▲0.3ポイント減)と、前回に比べ縮小している。
    異動状況(存続、新設、廃業)事業所とその割合
    異動状況(存続、新設、廃業)事業所とその割合
     新設事業所=当年調査時の前回調査以降の当年までの開設商店数-前回調査時の前回調査年開設の商店数
     廃業事業所=前回調査時の商店数-当年調査時の商店数+新設事業所
     存続事業所=前回調査時の商店数-廃業事業所
  3. (3)開設年別1商店当たりの販売額
     開設年別に1商店当たりの年間販売額をみると、卸売業は昭和30年以降開設した商店ではほぼ同程度の水準となっているが、昭和29年以前に開設した商店は昭和30年以降の開設店に比べ約2倍の販売額となっている。これは、大規模卸売商店(総合商社)が古くから開設されている各種商品卸売業、電気機械器具卸売業、自動車卸売業などの影響によると考えられる。
    卸売業の開設年別の1商店当たり年間販売額
    卸売業の開設年別の1商店当たり年間販売額
     小売業は、卸売業が昭和29年以前に開設した商店の1商店当たり販売額が多かったのに対し、昭和40年以降に開設した商店の1商店当たり販売額が多い。これは、飲食料品小売業、自動車・自転車小売業、家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業などの業種では、商店の大型化が進展していることから、開設年の新しい商店ほど販売額規模が大きいことによる。なお、各種商品小売業では、百貨店に含まれる大規模店が戦前からの創業が多いため昭和19年以前開設店の1商店当たり販売額が大きいと考えられる。
    小売業の開設年別の1商店当たり年間販売額
    小売業の開設年別の1商店当たり年間販売額

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最終更新日:2007.10.1
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