地域間産業連関表
統計の概要
統計の目的
地域間産業連関表は、同時に複数の地域を対象とした表であり、地域間相互依存関係を通じた各種の地域間波及効果分析を行うことを目的として作成された表である。
統計の概要
経済産業省(調査統計部と各経済産業局)、内閣府沖縄総合事務局及び沖縄県との共同事業により、昭和35年以来5年ごとに全国を9地域に分割した地域内産業連関表(以下、「地域内表」という)を作成してきたが、さらに調査統計部では、これら地域内表を連結した地域間産業連関表(以下、「地域間表」という)を作成・公表してきた。
このように地域産業連関表には、地域内表と地域間表の2種類の表があり、地域内表は、特定の地域における一定期間の財・サービスの取引を記述したものであり、この表を利用した分析では、当該地域内における取引関係に限定される。
これに対し、地域間表は、同時に複数の地域を対象とした表であり、当該地域だけでなく地域相互間の財・サービスの取引関係を記述したものである。具体的には、地域内表では、国内他地域へ供給した財・サービスは「移出」として各財・サービス毎の総額が表章されているのみであるが、地域間表では、各地域で生産された財・サービスが、“どの地域のどのような産業または最終需要でどれだけ消費されたか”が表示されている。
この地域間表を作成することにより、地域間の産業別交易構造などが明らかになるだけではなく、地域内表では分析することができなかった地域間相互依存関係を通じた各種の地域間波及効果分析を行うことが可能となる。たとえば、いま仮にある特定の地域(たとえば北海道)で設備投資が行われたとすると、地域内表による分析では、その設備投資に必要な財のうち北海道内から調達(道内生産)された部分についてのみ道内生産波及効果が計測されるに過ぎない。この設備投資に必要な財の相当部分が道外からの移入によると、道内にさほど大きな生産波及をもたらさないことになる。ところが、北海道が移入した投資財を生産する側(たとえば関東等)では、その投資財の生産のために原材料が必要で、その原材料の大部分を北海道を含めた各地域から購入するかもしれない。その結果、北海道はもちろん他の地域にも関東向けに新たな原材料移出需要が発生する。
このように、北海道で発生した投資需要に対して、道内から投資財が調達されなかったとしても、道内はもとより各地域の生産を誘発し、それがまた北海道の生産を誘発するといった具合に次々に波及していく。このような地域間波及の結果を織り込んだ分析は、地域間表の作成によって初めて可能となるものである。
※平成12年地域間表は、業務の合理化、公表の早期化等の観点から、公式な地域間表は作成・公表を中止したが、利用者からのニーズが多いことなどから、非公式ではあるが個人で作成した「試算地域間表」を公表している。
統計の作成方法
平成17年地域間表の作成手順は、地域産業連関表(地域間競争輸移入型表:基本分類)を、以下の手順で組替・統合する事により作成した。
- 1) 列部門を53部門に統合し、行部門(基本分類)ごとに地域別移入額を「中間需要額+地域内最終需要額計-製品在庫純増-半製品・仕掛品在庫純増」で除し、地域間交易係数を求めた。
- 2) 中間需要額と地域内最終需要額(製品在庫純増、半製品・仕掛品在庫純増を除く)に地域間交易係数を乗じて地域分割し、非競争型に組み替えた。 なお、製品在庫純増、半製品・仕掛品在庫純増及び輸出は、他地域生産物で賄うことはないという考え方から、地域分割する対象から除外した。
- 3) 行部門を53部門に統合した。 ここで行53部門×列53部門が作成されるので、CT及び移出入バランス整合、地域内表(53部門)との整合を図った。
- 4) 分析計算用に29部門と11部門に統合した。また「ひな型」として3部門表に統合した。
統計の沿革
【統計開始年】
昭和35年表
【統計の沿革】
昭和35年表から作成し、その後は5年ごとに作成し、最新年は平成17年表である(平成12年は試算地域間表として個人で作成)。
統計の利活用事例
「万国博覧会の経済効果の測定」、「本四架橋投資の波及効果と所得連関乗数」、「むつ小川原地域の工業立地効果」等の産業立地施策に関する経済波及効果に利活用されている。
その他
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