水銀に関する水俣条約に関するFAQ
1.総論
- [Q1-1]水銀に関する水俣条約とは何でしょうか。また、貿易に関する国内法令について教えてください。
- [Q1-2]我が国ではどのような輸出入規制がなされるのでしょうか。
- [Q1-3]どのような水銀及び水銀化合物が規制対象なのでしょうか。
- [Q1-4]水銀を使用した製品はどのようなものが規制対象なのでしょうか。
- [Q1-5]外為法に基づく輸出入規制はいつから開始するのでしょうか。
- [Q1-6]輸出入承認申請にはどのような書類が必要なのでしょうか。
- [Q1-7]少額特例や携帯品特例等は適用可能なのでしょうか。
2.水銀及び水銀化合物の輸出入について
- [Q2-1]従来から「化学物質の輸出承認について」(注意事項)に基づき、ロッテルダム条約の要件を満たして、輸出承認を取得してきましたが、今後は水俣条約の要件のみを満たせばよいのでしょうか。
- [Q2-2]特定水銀及び特定水銀化合物の輸出入先国は水俣条約の締約国に限られているのでしょうか。
- [Q2-3]水俣条約の締約国はどのように確認できるのでしょうか。
- [Q2-4]特定水銀等の輸出入は、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。
- [Q2-5]水俣条約では、特定水銀の輸出に先立ち、輸入国から書面による同意(包括的同意を含む。)を得る必要があるかと思いますが、どのように確認するのでしょうか。
- [Q2-6]零細又は小規模な金の採掘用に特定水銀等を輸出することはできますか。
- [Q2-7]最終需要者に関する書類は、会社案内・カタログ・ホームページ等でも可能でしょうか。
- [Q2-8]輸出者は最終用途について何を確認すればよいでしょうか。
- [Q2-9]特定水銀等を輸出する予定です。外国の輸入商社が在庫として保管し、その後小分け、少量販売を行う場合でも輸出できるでしょうか。
- [Q2-10]特定水銀等を複数の最終需要者に販売することを想定しており、可能性のある最終需要者が3社ありますが、まだ確定していません。輸出承認申請時にいずれの最終需要者に販売するか確定していない場合でも輸出できるでしょうか。
- [Q2-11]特定水銀等を海外へ極少量 (10g程度)持ち出そうと考えておりますが、輸出承認申請は必要でしょうか。
- [Q2-12]特定水銀等を実験室規模の試験研究用目的として輸出しようと考えておりますが、輸出承認申請は必要でしょうか。
- [Q2-13]水銀や水銀化合物を使用する製造工程用に水銀を輸出する場合、承認されるのでしょうか。
- [Q2-14]特定水銀及び特定水銀化合物(以下、「特定水銀等」)を輸出する予定です。輸出後、①外国のメーカーが特定水銀等を使用した最終製品を製造する場合と、②外国の加工業者が特定水銀を加工して水銀化合物を製造する場合があります。それぞれの場合について、個人へ販売している場合もあり、全ての最終需要者を特定することが困難です。申請の際、最終需要者はどこまで特定する必要があるのでしょうか。
- [Q2-15]申請を行ってからどれぐらいの期間で承認証が発行されますか。
- [Q2-16]水銀等の輸出承認証を受領しました。輸出承認証に付与された条件を履行する上で注意する点はありますか。
- [Q2-17]承認の条件に基づく報告時に提出する最終需要者の署名入りのエビデンスは写しでも可能でしょうか。
- [Q2-18]承認の条件に基づく報告時に提出する提出書類はどのようなものがありますか。
3.特定水銀使用製品等の輸出入について
- [Q3-1]規制開始日以前に製造や輸入した特定水銀使用製品等を輸出入しようとする場合には承認は不要でしょうか。
- [Q3-2]特定水銀使用製品等の輸出入はどのような場合に認められるのでしょうか。
- [Q3-3]製品に(水銀ではなく)水銀化合物が使用されている場合、特定水銀使用製品等には該当しないと考えてよいのでしょうか。
- [Q3-4]規制対象となる特定水銀化合物(※[Q1-3]を参照)以外の水銀化合物が使用されている製品は特定水銀使用製品等に該当するのでしょうか。
- [Q3-5]特定水銀使用製品等に該当しない製品を輸出入する場合は、承認申請は不要でしょうか。
- [Q3-6]水銀による環境の汚染の防止に関する法律に基づき製造の許可を取得した特定水銀使用製品等は外為法に基づく承認申請は不要でしょうか。
- [Q3-7]温度計は対象になりますか。
- [Q3-8]輸出を行っている商社です。製品が特定水銀使用製品等に該当するか否か外形的に判断できませんがどうすればよいでしょうか。
- [Q3-9]「特定水銀使用製品(※「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」第1条に規定するもの)を部品として使用する製品」には、例えば、特定水銀使用製品に該当する冷陰極蛍光ランプを組込んだ電子ディスプレイなど、一次組込みまでの製品だけでなく、当該電子ディスプレイを部品として使用する半導体製造装置など、二次組込み製品も該当するのでしょうか。
- [Q3-10]リチウム電池やニッケル水素電池のSDSを電池メーカーから取り寄せたところ、水銀含有量が○○未満と表示されていました。特定水銀使用製品に該当するか否か、どのように判断したらいいですか。
- [Q3-11]特定水銀使用製品に該当する「電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)」を輸出する予定です。当該製品は、過去に海外に販売したパソコンの電子ディスプレイに使用されている冷陰極蛍光ランプ(CCFL)の交換修理に用います。輸出先で、買主の倉庫に保管しておき、現地ディーラーや修理業者から注文が入った場合に販売したいのですが、ストック販売はできますか。
- [Q3-12]申請を行ってからどれぐらいの期間で承認証が発行されますか。
お問合せ・回答一覧
1.総論
[Q1-1]水銀に関する水俣条約とは何でしょうか。また、貿易に関する国内法令について教えてください。
水銀に関する水俣条約(以下「水俣条約」という。)は、水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護する目的で、水銀の採掘、貿易、製品や製造プロセスへの使用、排出等の規制を包括的に定めた国際条約です。
我が国においては、水俣条約に定められた規制のうち、貿易に関する規制を外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)に基づき実施いたします(我が国独自の条約を超える規制を含む)。
[Q1-2]我が国ではどのような輸出入規制がなされるのでしょうか。
我が国においては、外為法により、水俣条約に定められた水銀並びに水銀を使用した製品及び当該製品を部品として使用する製品の輸出入規制、我が国独自の条約を超える水銀化合物の輸出規制を実施いたします。外為法の下位法令では、輸出貿易管理令(以下「輸出令」という。)第2条及び輸入貿易管理令(以下「輸入令」という。)第4条により、水銀及び水銀化合物並びに水銀を使用した製品及び当該製品を部品として使用する製品の輸出入(水銀化合物の輸入は除く。)に当たっては経済産業大臣の承認が必要となります。
[Q1-3]どのような水銀及び水銀化合物が規制対象なのでしょうか。
水銀及び水銀化合物(※)の濃度が全重量の95%以上のもの(以下水銀にあっては「特定水銀」という。)が対象となります。
(※)水銀化合物については、塩化第一水銀、酸化第二水銀、硫酸第二水銀、硝酸第二水銀、硝酸第二水銀水和物及び硫化水銀(辰砂に含まれるもの(辰砂に含有される硫化水銀は95%以上であるか否か問わない)を含む。)(以下「特定水銀化合物」という。)に限ります。
[Q1-4]水銀を使用した製品はどのようなものが規制対象なのでしょうか。
「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」第1条に定められた特定水銀使用製品及びこれらを部品として使用する製品(以下「特定水銀使用製品等」という。)が対象となります。特定水銀使用製品によっては、水銀含有量の閾値が定められておりますので御注意ください。
[Q1-5]外為法に基づく輸出入規制はいつから開始するのでしょうか。
外為法に基づく輸出入規制は、平成29年8月16日に開始します。ただし、特定水銀使用製品等の輸出入規制は製品の種類別に、平成30年1月1日又は令和2年12月31日に開始します(製品毎の規制開始日より前は特定水銀使用製品等の輸出入は可能です。)。
[Q1-6]輸出入承認申請にはどのような書類が必要なのでしょうか。
輸出承認申請書や輸入承認申請書に加えて申請理由書等が必要になります。詳細は以下の通達を御確認ください。
- 特定水銀、特定水銀化合物及び特定水銀使用製品等の輸出の場合
特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号) - 特定水銀の輸入の場合
特定の水銀の輸入承認について(輸入注意事項27第18号) - 特定水銀使用製品等の輸入の場合
特定水銀使用製品及びこれを部品として使用する製品の輸入承認について(輸入注意事項27第19号)
[Q1-7]少額特例や携帯品特例等は適用可能なのでしょうか。
特例は原則適用することはできません。ただし、仮陸揚げ貨物の輸出入と船舶や航空機の事故のために日本に積み戻した貨物の輸入については特例が適用され、申請は不要です。
2.特定水銀及び特定水銀化合物の輸出入について
[Q2-1]従来から「化学物質の輸出承認について」(注意事項)に基づき、ロッテルダム条約の要件を満たして、輸出承認を取得してきましたが、今後は水俣条約の要件のみを満たせばよいのでしょうか。
水俣条約発効日以降、特定水銀及び特定水銀化合物(以下「特定水銀等」という。)を輸出しようとする場合には、ロッテルダム条約と水俣条約の両方の要件を満たす必要があります。「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」の通達を参照いただき、申請をお願いします。
なお、特定水銀等以外の水銀及び水銀化合物については、従来どおり、ロッテルダム条約の要件を満たす必要があります。それぞれの対象貨物に対して参照していただく通達は以下のとおりです。
対象貨物 | 参照する通達 |
---|---|
水銀濃度が95重量パーセント以上の水銀(35の4の項) | 特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)![]() |
水銀濃度が95重量パーセント未満の水銀(35の3の項) | 化学物質の輸出承認について(輸出注意事項18第3号)![]() |
塩化第一水銀等の特定の水銀化合物であって、当該水銀化合物濃度が95重量パーセント以上のもの(35の3の項) | 特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)![]() |
上記水銀化合物以外の水銀化合物(35の3の項) | 化学物質の輸出承認について(輸出注意事項18第3号)![]() |
[Q2-2]特定水銀及び特定水銀化合物の輸出入先国は水俣条約の締約国に限られているのでしょうか。
輸出に関しては、特定水銀及び特定水銀化合物ともに、輸出承認を取得すれば締約国及び非締約国ともに輸出は可能ですが、締約国と非締約国で承認の条件が異なります。また、輸入に関しては、特定水銀のみ、輸出国が非締約国の場合に限り、輸入承認申請の対象となります。なお、特定水銀使用製品等については、締約国、非締約国双方について、輸出入に際し、承認を取得する必要があります。手続きの詳細は[Q2-4]を御確認ください。
締約国 | 非締約国 | ||
---|---|---|---|
輸出 | 特定水銀 | ○ | ○ |
特定水銀化合物 | ○ | ○ | |
特定水銀使用製品等 | ○ | ○ | |
輸入 | 特定水銀 | - | ○ |
特定水銀化合物 | - | - | |
特定水銀使用製品等 | ○ | ○ |
[Q2-3]水俣条約の締約国はどのように確認できるのでしょうか。
特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品の輸出入管理の制度概要・関係法令等に締約国に関する輸出注意事項を掲載していますのでご確認ください。なお、輸入も締約国に変わりはありません。
また、最新情報は水俣条約事務局のHPでも確認できます。
[Q2-4]特定水銀等の輸出入は、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。
水俣条約では、特定水銀等の輸出入に当たり、当該水銀等が条約上許可された用途であること等の条件を満たす必要があります。具体的な条件は、輸出については「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」の「4輸出の承認」を、輸入については「特定の水銀の輸入承認について(輸入注意事項27第18号)」の「3輸入承認基準」を御確認ください。
[Q2-5]水俣条約では、特定水銀の輸出に先立ち、輸入国から書面による同意(包括的同意を含む。)を得る必要があるかと思いますが、どのように確認するのでしょうか。
書面による同意(包括的同意を含む。)の確認は、申請受付後に日本国政府から輸入国の政府当局に対して行いますので、申請者の方が確認していただく必要はございません。
[Q2-6]零細又は小規模な金の採掘用に特定水銀等を輸出することはできますか。
「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」の「4輸出の承認」のとおり、「零細又は小規模な金の採掘用途」目的の輸出の承認は行いません。
[Q2-7]最終需要者に関する書類は、会社案内・カタログ・ホームページ等でも可能でしょうか。
最終需要者の存在や事業内容が確認できるものとして、原則登記簿謄本の写し等の公式文書の写しを提出してください。書類が英語以外の言語で記述されている場合は、書類の位置付け、最終需要者の名称、所在地及び事業内容について和訳又は英訳の添付をお願いします。
[Q2-8]輸出者は最終用途について何を確認すればよいでしょうか。
最終需要者が特定水銀等を使用して製造する製品や当該製品の製造工程について内容の確認を確実に行ってください。最終需要者のホームページやパンフレット及び製造ラインの実在に関する資料等、製品製造や工程に関する資料をエビデンスとして申請書に添付してください。
[Q2-9]特定水銀等を輸出する予定です。外国の輸入商社が在庫として保管し、その後、小分け、少量販売を行う場合でも輸出できるでしょうか。
「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」の「4輸出の承認」に定められているとおり、最終需要者が特定されている場合に限り、輸出の承認を行います。したがって、輸入商社が一時的に在庫として保管することを目的としており最終需要者が確定していない場合については輸出の承認は行いません。
[Q2-10]特定水銀等を複数の最終需要者へ販売することを想定しており、可能性のある最終需要者が3社ありますが、まだ確定していません。輸出承認申請時にいずれの最終需要者へ販売するか確定していない場合でも輸出できるでしょうか。
Q2-9と同様に、「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」の「4輸出の承認」に定められているとおり、最終需要者が特定されている場合に限り、輸出の承認を行います。したがって最終需要者が確定していない場合については輸出の承認は行いません。
[Q2-11]特定水銀等を海外へ極少量 (10g程度)持ち出そうと考えていますが、輸出承認申請は必要でしょうか。
規制対象となる特定水銀等は、量に関係なく輸出承認申請が必要です。
[Q2-12]特定水銀等を実験室規模の試験研究用目的として輸出しようと考えておりますが、輸出承認申請は必要でしょうか。
規制対象となる特定水銀等は、目的に関係なく輸出承認申請が必要です。「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」に従って必要書類を用意して頂くとともに、目的が実験室規模の試験研究用であることが確認できる書類を提出してください。
[Q2-13]水銀や水銀化合物を使用する製造工程用に水銀を輸出する場合、承認されるのでしょうか。
水俣条約附属書B第一部に掲げられる既存の製造工程用については、廃止期限以降は輸入国が当該製造工程に関して水俣条約に基づく適用除外を登録している場合を除き、輸出の承認は行いません。
[Q2-14]特定水銀及び特定水銀化合物(以下、「特定水銀等」)を輸出する予定です。輸出後、①外国のメーカーが特定水銀等を使用した最終製品を製造する場合と、②外国の加工業者が特定水銀を加工して水銀化合物を製造する場合があります。それぞれの場合について、個人へ販売している場合もあり、全ての最終需要者を特定することが困難です。申請の際、最終需要者はどこまで特定する必要があるのでしょうか。
特定水銀等は、最終用途及び最終需要者が未定の輸出は原則認められません。 ①日本から輸出した特定水銀等が、個人等の一般消費者を最終需要者とする、水銀等を使用した最終製品の製造に用いられる場合で、実際に当該製品を使用する最終需要者を個々に特定することが困難な場合は、当該最終製品のメーカー、又はその先の販売業者等を最終需要者として記載し、必要な書類を御提出ください。 ②日本から輸出した特定水銀が水銀化合物に加工される場合は、加工された水銀化合物を使用して製造される最終製品を御確認いただき、①に準じて必要な書類を御提出ください。なお、製造された水銀化合物が、試薬や医薬品等であり、別の最終製品の製造に用いられることがない場合(水銀化合物自体が最終製品である場合)は、試薬や医薬品として販売する業者を最終需要者として記載してください。
[Q2-15]申請を行ってからどれぐらいの期間で承認証が発行されますか。
輸入国及び輸出国の政府当局や条約事務局等関係機関への照会が必要となる場合(※)を除き1週間となります。照会が必要となる場合が多くなることも想定されますので、余裕を持って申請いただくようお願いします。
(※)水俣条約に基づき、水銀の輸出・輸入に先立ち、輸入国の同意の確認や輸出国からの証明書を取得するプロセスもあるため、1ヶ月~2ヶ月若しくはそれ以上掛かる場合もあります。
[Q2-16]水銀等の輸出承認証を受領しました。輸出承認証に付与された条件を履行する上で注意する点はありますか。
当該条件の内容を御確認の上、条件履行に必要な情報を最終需要者から入手し、「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」に定められた別紙様式第3を期日までに経済産業省貿易経済協力局貿易管理部貿易審査課に提出してください。承認日から6ヶ月ごとの実績をその実績に係る月の翌月末日までに報告していただく必要があります(例えば、承認日が4月1日の場合、4月1日(承認日)から10月1日までの実績を11月30日までに報告していただく必要があります。)。
【参考:条件の内容】
申請者は、本輸出承認証を使用して輸出した貨物について、最終需要者の名称及び所在地、最終需要者における受入日と受入量、最終需要者が受け入れた貨物の最終用途(製品の製造に使用する場合には、当該製品の種類及び水銀含有量(水銀含有量にあっては、輸出貿易管理令(昭和24年政令378号)別表第2の35の4の項(2)に掲げる特定水銀使用製品のうち、水銀含有量の閾値が定められている製品に限る。))、貨物の使用量及び残量等について、当該貨物の全量が使用されるまでの間、承認日から6ヶ月毎の実績をその実績に係る月の翌月末日までに別紙様式第3により経済産業省貿易経済協力局貿易管理部貿易審査課(以下「貿易審査課」という。)に報告すること。また、この申請者は、最終需要者による貨物の管理及び使用の状況について、貿易審査課から求めがあった場合には、速やかに貿易審査課に報告すること。
[Q2-17]承認の条件に基づく報告時に提出する最終需要者の署名入りのエビデンスは写しでも可能でしょうか。
可能です。なお、写しに疑義が生じる場合には原本を求めることがあります。
[Q2-18]承認の条件に基づく報告時に提出する提出書類はどのようなものがありますか。
承認を受けた貨物の状況を説明する書類(※)及び最終需要者の署名入りのエビデンスに加えて、承認を受けた貨物が本邦から輸出され、最終需要者に到達し適正に管理・使用されていることを確認する観点から、以下の書類の提出が必要です。
- 当該貨物の輸出承認証の写し(裏面も含む。)
なお、この他、最終需要者における管理・使用に疑義がある場合には最終需要者が当該貨物を受け取ったことがわかる輸入関連書類や当該貨物の保管場所及び使用・生産状況を確認できる書類等を追加で求める場合もあります。
(※)特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認(輸出注意事項29第13号)の別紙様式第3
3.特定水銀使用製品等の輸出入について
[Q3-1]規制開始日以前に製造や輸入した特定水銀使用製品等を規制開始後に輸出入しようとする場合には承認は不要でしょうか。
規制開始日以前に製造や輸入された製品であっても、規制開始後に特定水銀使用製品等を輸出入しようとする場合には外為法に基づく経済産業大臣の承認が必要となります。
[Q3-2]特定水銀使用製品等の輸出入はどのような場合に認められるのでしょうか。
各製品の規制開始日(平成30年1月1日、令和2年12月31日)以降は、水俣条約附属書Aの柱書きに定められた適用除外事項(輸出については「特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品等の輸出承認について(輸出注意事項29第13号)」の「4輸出の承認の(3)」、輸入については「特定水銀使用製品及びこれを部品として使用する製品の輸入承認について(輸入注意事項27第19号)」の「3輸入承認基準」)に該当する場合に限り、輸出入が可能となります。
つきましては、輸出入申請を行う前に、当該製品が水俣条約の適用除外事項に該当するか否かについて化学物質管理課にご確認ください。水俣条約の適用除外事項に該当する貨物の具体的な輸出入手続については貿易審査課に確認ください。(お問合せ先はこちらへ)
<水俣条約附属書Aの柱書きに定められた適用除外事項>
- 市民の保護及び軍事的用途に不可欠な製品
- 研究、計測器の校正及び参照の標準としての使用を目的とする製品
- 水銀を含まない実現可能な代替製品によって交換することができない場合におけるスイッチ及び継電器、電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)及び外部電極蛍光ランプ(EEFL)並びに計測器
- 伝統的な慣行又は宗教上の実践において使用される製品
- 保存剤としてのチメロサールを含むワクチン
[Q3-3]製品に(水銀ではなく)水銀合金又は水銀化合物が使用されている場合、特定水銀使用製品等には該当しないと考えてよいのでしょうか。
水銀だけでなく、水銀合金又は水銀化合物が使用されている場合でも特定水銀使用製品等に該当する場合があります。
一定の水銀含有量(閾値)が定められていない特定水銀使用製品等の場合には、使用されている水銀の化学種を問わず特定水銀使用製品等に該当します。一定の閾値が定められている特定水銀使用製品等であって水銀合金又は水銀化合物が使用されている場合には、水銀合金又は水銀化合物の含有量ではなく、それらに含まれる水銀の含有量(※1)を御確認の上、当該水銀の含有量が特定水銀使用製品等に該当するか否かの確認をしてください。
(※1)水銀合金を使用した一般照明用のコンパクト形蛍光ランプ(※2)の場合、当該水銀合金の含有量ではなく、それに含まれる水銀の含有量が5ミリグラムを超えるか否かを確認する必要があります。
(※2)一般照明用のコンパクト形蛍光ランプは「発光管1本当たりの水銀の含有量が5ミリグラムを超えるものであって、定格消費電力が30ワット以下のもの」が特定水銀使用製品に該当します。
[Q3-4]規制対象となる特定水銀化合物(※[Q1-3]を参照)以外の水銀化合物が使用されている製品は特定水銀使用製品等に該当するのでしょうか。
該当する場合があります。水銀化合物が製品に使用されている場合には、当該水銀化合物の種類は問わないため、閾値が定められていない特定水銀使用製品等の場合には水銀化合物が使用されていることをもって特定水銀使用製品等となり、閾値が定められている特定水銀使用製品等の場合には、水銀化合物に含まれる水銀の含有量により特定水銀使用製品等に該当するか否かを判断してください。
[Q3-5]特定水銀使用製品等に該当しない製品を輸出入する場合は、承認申請は不要でしょうか。
特定水銀使用製品等(※[Q1-4]を参照)に該当しない場合は、承認申請は不要です。特定水銀使用製品によっては、水銀含有量の閾値が定められておりますので御注意ください。
[Q3-6]水銀による環境の汚染の防止に関する法律に基づき製造の許可を取得した特定水銀使用製品等は外為法に基づく承認申請は不要でしょうか。
製造の許可を取得した特定水銀使用製品等であっても、輸出しようとする場合には外為法に基づく経済産業大臣の承認が必要となります。
[Q3-7]温度計は対象になりますか。
水銀を用いた温度計は対象となります。具体的には水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の特定水銀使用製品のスペックを御確認ください。
[Q3-8]輸出を行っている商社です。製品が特定水銀使用製品等に該当するか否か外形的に判断できませんがどうすればよいでしょうか。
メーカーに特定水銀使用製品等に該当するか否かお問い合わせください。
[Q3-9]「特定水銀使用製品(※「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」第1条に規定するもの)を部品として使用する製品」には、例えば、特定水銀使用製品に該当する冷陰極蛍光ランプを組込んだ電子ディスプレイなど、一次組込みまでの製品だけでなく、当該電子ディスプレイを部品として使用する半導体製造装置など、二次組込み製品も該当するのでしょうか。(2025年3月7日更新)
基本的には、「特定水銀使用製品を部品として使用する製品」には、一次組込み製品だけでなく、二次組込み以降の製品も該当します。
ただし、水銀を含まない実現可能な代替製品によって交換することができない場合における電子ディスプレイ専用に設計された冷陰極蛍光ランプ又は外部電極蛍光ランプであって、他の貨物の部分をなしているもの(貨物の主体が他の貨物である場合に限る。)であって、当該貨物と分離しがたい状態にあり、かつ、その状態において主たる貨物の用途以外の用途に用いることができない場合にあっては、規制対象から外れ輸出入に際し承認申請が不要となります。(例:中古自動車)
[Q3-10]リチウム電池やニッケル水素電池のSDSを電池メーカーから取り寄せたところ、水銀含有量が○○未満と表示されていました。特定水銀使用製品に該当するか否か、どのように判断したらいいですか。
電池メーカーからのSDS等に、カドミウムや鉛と共に水銀の含有規格値が示されている場合、SDS等に非意図的である旨の記述やパッケージに「水銀0使用」表示があればもちろんのこと、電池メーカーに問い合わせて意図的に水銀を使用していないとの回答が得られれば、水銀使用製品には該当しません。
[Q3-11]特定水銀使用製品に該当する「電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)」を輸出する予定です。当該製品は、過去に海外に販売したパソコンの電子ディスプレイに使用されている冷陰極蛍光ランプ(CCFL)の交換修理に用います。輸出先で、買主の倉庫に保管しておき、現地ディーラーや修理業者から注文が入った場合に販売したいのですが、ストック販売はできますか。(2025年3月7日更新)
特定水銀使用製品に該当する「電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)」単体を輸出する場合は輸出承認申請が必要ですが、その用途と当該製品を費消(使用)する者を最終需要者として特定して申請をいただくのが原則です。但し、製品の仕様や輸出販売先の情報等から、製品の用途が特定できるものについては、最終需要者が未定であっても申請は可能です。上記例の場合は、最終需要者欄は未定と記載し、輸出承認申請理由書には、輸出される特定水銀使用製品の現地販売代理店や電子ディスプレイの修理業者を可能な限り把握して記載し、また製品の最終用途を明記の上、必要書類を御提出ください。
[Q3-12]申請を行ってからどれぐらいの期間で承認証が発行されますか。
40日間(通常、申請を受理してから40日間で承認証を発給します。)
お問合せ先
外為法関連法令に関する問い合わせ先
経済産業省 貿易経済安全保障局 貿易管理部貿易管理課
電話:03-3501-0538
輸出入の申請先及び承認申請手続方法、書類の記載方法等のお問合せ先
経済産業省 貿易経済安全保障局 貿易管理部貿易審査課 化学品貿易審査担当
電話:03-3501-1659
上記以外のお問合せ(水俣条約に関すること、製品に関すること等)
経済産業省 産業保安・安全グループ 化学物質管理課
E-mail:bzl-suigin★meti.go.jp
※メールをお送りいただく際は、★を@ (半角)に変更してください。