CONTENTS


1.諸外国における貿易救済措置の発動状況
2.日本のアンチダンピング調査事例
①大韓民国及び中華人民共和国産水酸化カリウムに対する不当廉売関税の課税期間の延長に関する調査を開始
3.各国の貿易政策の状況
①中国が日本産のジクロロシランに対するアンチダンピング関税の調査を開始
②豪州が中国産の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸に対する迂回防止調査を開始
③WTO加盟国、オリーブ紛争で米国からの輸入品に対する対抗措置を課す権限をEUに付与

4.相談窓口
5.FAQ

 

1.諸外国における貿易救済措置の発動状況

 2025年11月~12月の諸外国における貿易救済措置の発動状況をお伝えします。

  実施状況詳細


  アンチダンピング(AD)

2025年11月~12月は、以下の調査が開始されました。

 


補助金相殺関税(CVD)

2025年11月~12月は、以下の調査が開始されました。

 

2.日本のアンチダンピング調査事例

①大韓民国及び中華人民共和国産水酸化カリウムに対する不当廉売関税の課税期間の延長に関する調査を開始

   経済産業省及び財務省は、令和7年 8 月 8 日にカリ電解工業会から財務大臣に提出された大韓民国産及び中華人民共和国産水酸化カリウムに対する不当廉売関税の課税期間の延長申請について、関係法令に基づき検討を行った結果、不当廉売関税の課税期間の延長の要否に関する調査を行う必要があると認められたことから、両省合同の調査を開始することといたしました1
 調査は原則として1年以内に終了することとされており、今後、利害関係者からの証拠の提出等の機会を設けるとともに、大韓民国及び中華自民共和国の企業や本邦の企業に対する実態調査による客観的な証拠の収集を行います。
 これらの結果を踏まえ、WTO協定及び関係国内法令に基づき、不当廉売された貨物の輸入及び当該輸入の本邦産業に与える実質的な損害等の事実が課税期間満了後に継続し、又は再発するおそれの有無について認定を行った上で、不当廉売関税の課税期間の延長の要否を政府として判断することとなります。


1.https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/trade-remedy/investigation/suisankari/index.html
 

 

3.各国の貿易政策の状況

①中国が日本産のジクロロシランに対するアンチダンピング関税の調査を開始

 2026年1月7日、中国商務部は、日本産のジクロロシランに対するアンチダンピング関税の調査を開始 2しました。
 この調査は、2025年12月8日に唐山三孚电子材料有限公司(Tangshan Sunfar New Materials Co., Ltd.)から提出された申請書に基づくもので、ダンピングの事実に関する調査期間を2024年7月1日から2025年6月30日まで、国内産業の損害に関する調査期間を2022年1月1日から2025年6月30日までとしています。
 商務部より公開された調査申請書によると、調査対象製品に係るダンピング輸入の事実(ダンピングマージン94.98%)が示されるとともに、国内産業の実質的損害が発生している事実として、2022年から2024年にかけて、国内産業による販売数量及び市場シェアは増加傾向にあったものの、調査対象製品が中国市場において占めるシェアが平均72%と高いレベルにあり、輸入価格が下がり続けていることが示され、このことが、国内産業における生産数量の抑制、販売価格の低下をもたらしているとともに、生産設備の稼働率が低水準に抑制されているほか、投資収益や利益率等に深刻な影響を及ぼしているとしています。

 商務部で申請内容の予備審査が行われ、アンチダンピング調査開始の要件を満たしていると判断されたこと、さらに、調査開始を判断するために十分な証拠の提出があったものと認められることから、調査を開始することが適当であると判断したとしています。

2. https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/gpmy/art/2026/art_943981b2e1ec46bb97a42bd5fd3c1f08.html

②豪州が中国産の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸に対する迂回防止調査を開始

 2026年1月7日、豪州のアンチダンピング委員会は、中国から豪州に輸入される2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4Dichlorophenoxyacetic acid、以下「2,4-D酸」)に関する迂回防止調査の開始を公表しました3
 この調査は、2025年12月1日にNufarm Limitedから提出された申請書に基づくものです。アンチダンピング委員会により公開された検討報告書4によると、当該申請及び証拠において、中国からの直接輸出に対するアンチダンピング関税措置(輸出者に応じて22.3%から35.3%、以下「原措置」)を回避するために、「第三国での製品製造」及び「第三国を経由した輸出」に該当する迂回行為が行われたとしています。
 具体的には、マレーシアから豪州に輸入される2,4-Dエステル製剤が、中国で製造され、マレーシアに輸入された2,4-D酸を主原料にしており、当該行為は原措置の迂回行為であるいう申請者の主張には合理的な理由があるとしています。
 アンチダンピング委員会は、本申請が法定要件を満たしており、迂回行為があったと主張するに足る合理的な根拠があると判断し、調査の開始を決定しました。当該調査では、2019年1月1日以降に豪州へ輸出された製品が迂回行為に該当するか否かが審査されます。
 

3. https://www.industry.gov.au/sites/default/files/adc/public-record/2026-01/693_-_3_-_notice_-_adn_2026-001_-_initiation_of_anti-circumvention_inquiry_no._693.pdf
4. https://www.industry.gov.au/sites/default/files/adc/public-record/2026-01/693_-_2_-_report_-_adc_-_consideration_report_no._693.pdf

③WTO加盟国、オリーブ紛争で米国からの輸入品に対する対抗措置を課す権限をEUに付与

 2025年12月19日、WTOの紛争解決機関(DSB)会合において、スペイン産完熟オリーブを巡る貿易紛争に関し、EUが米国からの輸入品に対抗措置を課すことを正式に承認しました5。これは、米国が、スペイン産完熟オリーブに対する米国の補助金相殺関税措置に関するWTO裁定及び勧告に関し、当該措置をGATT及びSCM協定に適合させる対応等を履行していないことを理由に、EUがDSBに対して要請
を行ったことを受けたものです6
  EUは、米国に勧告及び裁定の完全な履行を求めると同時に、問題解決に向けて協力する用意があると表明しました。一方、米国は、対抗措置は紛争の影響を受けたスペインに限定されるべきであり、EU全体による対抗措置は勧告及び裁定に反すると主張しました。
  DSBは最終的にEUの要請を認め、年間1,364万米ドルを上限とする譲許の停止(対抗措置)の実施を承認しました。また、将来的に米国がEU産の農産物に対しWTOルールに抵触する補助金相殺関税措置を課した場合、EUが米国に対する譲許措置停止の水準を決定するために用いる手法も決定しています。

5. https://www.wto.org/english/news_e/news25_e/dsb_19dec25_257_e.htm
6. https://docs.wto.org/dol2fe/Pages/SS/directdoc.aspx?filename=q:/WT/DS/577-23.pdf&Open=True

 

4.相談窓口

 経済産業省では、皆様からのアンチダンピング調査に関する個別相談を常時承っております。アンチダンピング措置は、海外からの不要な安値輸出を是正するためWTOルールにおいて認められた制度です。公平な国際競争環境が担保された中で、日本企業の皆様が事業活動を展開できるようにするためにも、アンチダンピングを事業戦略の一つとして捉えていただき、積極的に御活用いただきたいと考えております。
 申請に向けた検討をどのように進めればよいのか、複数の事業者による共同申請はどのようにすればよいのかなど、相談したい事項がございましたら、まずは気兼ねなく経済産業省特殊関税等調査室まで御連絡ください。
 また、「日本企業がアンチダンピング調査の調査対象となった場合」の御相談は、経済産業省国際経済紛争対策室まで御連絡ください。
 
 
<相談窓口:日本企業がアンチダンピングの申請を検討している場合>
 経済産業省 貿易経済安全保障局 貿易管理部 特殊関税等調査室 
TEL:03-3501-1511(内線3256)
E-mail:bzl-qqfcbk@meti.go.jp
 
 
<相談窓口:日本企業がアンチダンピング調査の調査対象となった場合>
 経済産業省 通商政策局 国際経済部 国際経済紛争対策室 
TEL:03-3501-1511(内線 3056)
E-mail:bzl-wto-soudan@meti.go.jp
 

5.FAQ

 以下のURLから、アンチダンピング申請等について、皆様からよく寄せられるご質問及び回答情報をご参照いただけます。ご活用いただけますと幸いです。
  よくある質問

 

最終更新日:2026年1月29日