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ADnewsletter 2023年3月号(諸外国の貿易救済措置発動状況/各国の貿易政策)

CONTENTS


1.諸外国における貿易救済措置の発動状況
2.日本のアンチダンピング調査事例『中華人民共和国産電解二酸化マンガンに対する不当廉売関税の課税期間延長に関する調査開始』
3.各国の貿易政策の状況
①米国通商代表部(USTR)が中国のWTOルール遵守に関する年次報告書を発表(不公正と評価)
②USTRが『2023年通商政策計画と2022年 年次報告書』を公表
4.相談窓口
5.FAQ
 
 

1.諸外国における貿易救済措置の発動状況

 2023年2月の諸外国における貿易救済措置の発動状況をお伝えします。

  実施状況詳細


  アンチダンピング(AD)

2023年2月のAD調査の開始は下記の内容でした。

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  補助金相殺関税(CVD)

2023年2月のCVD調査の開始はございませんでした。

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2.日本のアンチダンピング調査事例 『中華人民共和国産電解二酸化マンガンに対する不当廉売関税の課税期間延長に関する調査開始』


 中華人民共和国産電解二酸化マンガンについては、平成20年9月1日から令和6年2月29日までを課税期間として、不当廉売関税(税率:34.3%~46.5%)が課されています。
 経済産業省及び財務省は、令和5年1月23日に東ソー日向株式会社及び東ソー株式会社から財務大臣に提出された中華人民共和国産電解二酸化マンガンに対する不当廉売関税の課税期間の延長申請について、関係法令に基づき検討を行った結果、不当廉売関税の課税期間の延長の要否に関する調査を行う必要があると認められたことから、令和5年3月8日に両省合同の調査を開始しました。

電解二酸化マンガンに関する調査の詳細はこちら
   
 

3.各国の貿易政策の状況

①米国通商代表部(USTR)が中国のWTOルール遵守に関する年次報告書を発表(不公正と評価)

 USTRは2023年2月24日、中国の WTOルールの遵守に関する 2022 年議会報告書を発表しました1。この報告書は、法律に基づき、中国が世界貿易機関(WTO)への加盟に関連して行った約束の遵守について毎年議会に報告するもので、約束の遵守に関する米国の評価が詳述されています2

 米国は、中国がWTOに加盟して20年以上経つ今でも、中国はいまだに政府主導の経済・貿易アプローチを採用しており、WTOの全加盟国が支持するオープンで公正な市場志向の原則に反していると指摘しています。また、中国は米国及び世界中の労働者や企業に深刻な影響を与え続けており、この報告書は、中国の非市場的な政策や慣行を示し、国際貿易システムがこれらの行為から共通の利益を守るために協力し続けなければならないとしています。

 バイデン政権は米中貿易関係における現状と、中国が米国や他の貿易相手国に対して将来もたらす多くの影響を多面的に検討し、適宜中国との対話を行っています。同時に、中国とその非市場経済政策や慣行がもたらす特有の問題に対処するため、同盟国やパートナーとの連携を構築し続けているとしています。
 

 

1.https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2023/february/ustr-releases-annual-report-chinas-wto-compliance
2.https://ustr.gov/sites/default/files/2023-02/2022%20USTR%20Report%20to%20Congress%20on%20China's%20WTO%20Compliance%20-%20Final.pdf

 

②USTRが『2023年通商政策計画と2022年 年次報告書』を公表

 米国通商代表部(USTR)は 2023年3 月 1 日3、バイデン政権の通商政策をまとめた報告書4 『2023年通商政策計画と2022年年次報告書』を公表しました。この報告書は、過去2年間におけるバイデン大統領の貿易政策を推進するためのUSTRの活動や、2023年以降の貿易に関する優先事項について記載されています。
報告書の主な内容は以下のとおりです5

▷サプライチェーンの強靭化
 半導体、大容量バッテリー、重要な鉱物・材料、医薬品や医薬品有効成分などの重要な分野でサプライチェーンの強靭化を図るために貿易相手国(パートナー)と積極的に調整を行っているとしています。

▷主要な貿易相手国及び国際機関・企業との関係構築
 不平等の是正、気候・環境対策へのインセンティブといった目標を共有するパートナーと協力し、 「繁栄のためのインド太平洋経済枠組み(IPEF)」や「経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)」は、2023年の政権の重要課題とされています。

▷脱炭素化の加速と持続可能な環境対策の推進
 鉄鋼・アルミニウムに関する世界的な取決めに関する欧州連合との協力は、引き続き最優先事項で、これにより、脱炭素化を推進すると同時に、世界的な過剰生産能力を助長する反競争的・非市場的な慣行を制限するとしています。

▷米中貿易関係の再調整
 中国の非市場的な貿易慣行に対処するために、市場経済国のパートナーと積極的に協力しています。 同時に、バイデン政権は、超党派インフラ法、CHIPSプラス法など、国内において歴史的な投資を行い、米国が強い立場で競争できるようにしています。

▷執行を通じた貿易政策の信頼性の促進
 競争の場が公平であれば、誰とでも競争することができ、貿易政策はこれらの目標を達成するために不可欠な手段であるとして貿易協定を執行しています。

▷公平で包括的、かつ耐久性のある貿易政策の推進とステークホルダーの参画拡大 等
 多くのコミュニティとの関係を広げ、維持していくことで、貿易がどのような影響を与えたかを理解し、政策決定プロセスに多くの声を取り入れるとしています。

 米国は、貿易を通じて人種やジェンダーの公平・平等、経済力強化を促進するために、貿易相手国や貿易機関と連携し今後も協力し続けるとしています6
 

 

3.https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2023/march/ustr-releases-president-bidens-2023-trade-policy-agenda-and-2022-annual-report
4.https://ustr.gov/sites/default/files/2023-02/2023%20Trade%20Policy%20Agenda%20and%202022%20Annual%20Report%20FINAL%20(1).pdf
5.https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/fact-sheets/2023/march/fact-sheet-ustr-releases-2023-trade-policy-agenda-and-2022-annual-report
6.https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/fact-sheets/2023/march/fact-sheet-ustr-releases-2023-trade-policy-agenda-and-2022-annual-report


 

 

4.相談窓口

 経済産業省では、皆様からのアンチダンピング調査に関する個別相談を常時承っております。アンチダンピング措置は、海外からの不要な安値輸出を是正するためWTOルールにおいて認められた制度です。公平な国際競争環境が担保された中で、日本企業の皆様が事業活動を展開できるようにするためにも、アンチダンピングを事業戦略の一つとして捉えていただき、積極的に御活用いただきたいと考えております。 申請に向けた検討をどのように進めればよいのか、複数の事業者による共同申請はどのようにすればよいのかなど、相談したい事項がございましたら、まずは気兼ねなく経済産業省特殊関税等調査室まで御連絡ください。
 
<相談窓口>

 経済産業省 貿易経済協力局 特殊関税等調査室 
TEL:03-3501-3462
E-mail:bzl-qqfcbk@meti.go.jp
 

5.FAQ

 以下のURLから、アンチダンピング申請等について、皆様からよく寄せられるご質問及び回答情報をご参照いただけます。ご活用いただけますと幸いです。
  よくある質問

 

最終更新日:2023年12月8日