令和3年貿易救済セミナーに寄せられた質問と回答です。

Q&A

 

1.本日のセミナー資料の配布について

 特殊関税等調査室のWEBサイト上でYoutube動画として公開しております。
 併せて、AD・CVD措置に関する説明資料も掲載しております。

Youtube動画
AD・CVD措置に関する資料

 

2.AD申請対応に向けた社内の人員体制構築について

 通常は、特殊関税等調査室(当局)との窓口ご担当に加えて、財務諸表等の必要データのご提示のために経理や営業担当の方にも関わっていただくこととなります。加えて、当局と社内経理、営業担当の間の調整役として1名程度をアサインしていただくことが一般的です。

 

3.日本の貿易救済措置発動件数が他の先進国と比較して少ない理由について

 我が国において貿易救済措置の発動件数が少ないのには、我が国の産業構造等様々な要因が考えられますが、貿易救済措置についての認知度が低いというのも一因として挙げられます。このため、当室では貿易救済措置に係る説明会等を通じて、企業等の皆様への認知度向上に努めています。自社研修の一環として説明会の開催を希望される等、ご関心をお持ちの方は当室までお気軽にお問合せください。 また、課税申請・調査開始の間口を広げるための制度改正を実施した結果、現在は、申請・調査開始のハードルがWTO協定並に下がっております。 なお、諸外国での貿易救済措置の発動件数等は世界貿易機関(WTO)ホームページで確認することが可能です。また、当室作成の講演資料にも簡単に記載がございますので、併せてご参照ください。
(貿易救済措置に関するよくある質問 1-1)

 

4.AD措置の延長を決定する基準について

 AD措置による課税が廃止された後にも、措置対象国からのダンピング輸入が継続もしくは再発する恐れを確認します。また、ダンピング輸入の継続や再発に伴い、日本国内産業が損害を受けている状態が継続もしくは再発しているという要件が満たされる場合にAD措置延長を決定します。

 

5.AD措置延長に向けた調査期間や調査に必要なデータについて

 日本では、AD措置期限の1年前までに、当初措置申請者が措置延長の申請をする必要があります。このため、申請者はAD措置期限の2年前から措置延長申請の検討を開始することになります。また、措置延長調査は当初調査と同様のプロセスを経るため、措置延長調査の対象期間(直近の3~5年)について、当初調査で用いたデータと同様のデータを用いて措置延長の可否を判断します。

 

6.輸入モニタリングの際にHSコードに不要な製品が含まれている場合の対処法について

 統計品目番号より細かい区分の製品の場合でも、輸出国における貿易統計は細かい区分に対応した情報が存在することがあります。また、財務省貿易統計の情報をそのまま使うことはできませんが、その他の情報と併せて貿易統計の数値から推計していただくことは可能です。例えば、同一の統計品目番号に製品Aと製品Bが含まれており、別の情報から 国内における輸入された製品A・Bのおおよその流通割合がわかっている場合、統計品目番号上の輸入量にその割合をかけて、推計値としても用いることもできる場合があります。
(貿易救済措置に関するよくある質問 2-16)

 

7.輸出国の国内価格の調べ方について

 B to B取引に関わる多くの皆様から、輸出国における国内販売価格の情報の入手は難しいという声をいただいております。国内販売価格に関しては常に利用できる情報源はありませんが、例えば、
・ 輸出国内の統計データや入札用の情報誌など公表されている情報が合理的に入手可能な情報として利用できる場合があります。
・ 合理的に入手可能な情報が無い場合は、国内販売価格に替えて構成価格を用いることができるケースも存在します。
・ もちろん、コンサルティング会社等に依頼し調査した価格を使っていただくことも可能です(※外部委託による価格調査を必ず行う義務があるものではありません)。
また、対象国が中国である場合、同国の産業が非市場経済であるとして、同国に経済発展段階が近い国における国内販売価格又は構成価格を用いていただくこともできます。このように状況により利用できる情報が異なりますので、詳しくはご相談ください。
*構成価格とは、海外供給者の生産工程に基づき、それに要する原材料費、販売費及び一般管理費と利潤を合計することにより推計で算出した価格のことです。原材料費、販売費及び一般管理費、利潤はそれぞれ合理的に入手できる情報ですので、例えば、これらの費用を算出するために合理的な推計として貴社の費用に関する情報を利用することも考えられます。
(貿易救済措置に関するよくある質問 2-15)

 

8.独占禁止法に抵触しない業界共同申請方法のポイントについて

 業界内で貿易救済措置に係る議論を行う際に、個社の国内販売価格等ではなく公表された統計情報を用いることがポイントとなります。このほか、代理人を立てて他社と協議することが有用です。当局では昨年10月26日に、『アンチダンピング措置の共同申請に向けた検討のモデルケース』を制定、公表いたしました。

アンチダンピング措置の共同申請に向けた検討のモデルケース

 
 

その他にも貿易救済措置に関するよくある質問を掲載しておりますのでご覧ください。

よくある質問

最終更新日:2022年9月12日