 |
 |
 |
 |
 |
 |
株式会社神戸製鋼所技術部技術企画室(東京都品川区) 日本軽金属株式会社環境保全室(東京都品川区) |
 |
【平成16年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰において経済産業大臣賞受賞】 |
 |
 |
神戸製鋼所 真岡製造所 |
アルミニウムの溶解工程においては、不純物としてアルミニウム・ドロス(アルミドロス)が発生します。アルミドロスにはアルミニウム(アルミ)が60~80%含まれており回収を行っていますが、回収後の残渣は産業廃棄物として埋立処分されていました。アルミドロスからアルミを回収する工程は、従来から、より高い回収率を追求されるとともに、作業環境として厳しいものであること 、同工程後に残るアルミドロスの残渣を埋立した場合に臭気等の発生の懸念があることなどから、アルミドロスの処理と残渣の有効利用はアルミニウム事業者にとって経営面および環境保全面で重要な課題となっていました。 神戸製鋼所(株)および日本軽金属(株)では、アルミニウム製造事業者として、自主的にアルミドロスの有効利用に取組みました。 (株)神戸製鋼所では、この問題の解決のために、アーク炉を用いてアルミドロスから効果的にアルミ分を取り出す技術を開発するとともに、残灰を有効利用するためにセメント事業者との連携体制を構築しました。特に、残灰をセメント事業者で有効活用するために処理段階で塩素分を除去することや、引渡しに適した形状への加工を行うなどの取組も進めました。また、セメント事業者での利用に向けては双方で保管用のサイロを整備することも行っています。 アーク炉においてはアーク放電によりアルミドロスを加熱し、アルミ分を溶解し取り出すとともに、不純物を残灰として分離します。ここで残灰には塩素分が含まれているため、アルミ回収後に炉に空気を入れて、脱塩素処理を行います。これにより、残灰が無害化されセメント事業者で有効活用可能な状態となります。 この設備は、1998年に真岡製造所に導入され、現在では長府製造所と合わせて年間16,200トンのアルミドロスを処理し年間9,000トンのアルミを回収すると共に、残渣についてもセメント原材として有効利用されています。この装置を用いると、粉塵等の影響なく作業が進められ作業環境の改善(3Kの回避)にも役立っています。
 |
アーク炉によるアルミドロス処理の模式図 |
|
 |
日本軽金属 蒲原製造所 |
日本軽金属(株)では、この問題の解決のために、高温のアルミドロスを機械的に搾り出す圧搾式アルミドロス処理機”MADOC”を開発しました。圧搾式アルミドロス処理機の特徴は、機械的にアルミニウム分を搾り出す原理により、塩素やフッ素系の化学物質を添加せずにアルミニウムを回収でき、且つ、その後に残るドロス残渣(塩素・フッ素系化学物質を含まない)を100%鉄鋼用の副資材として有効利用できることで す。この技術は日本軽金属が独自に開発した技術で、従来の化学的、熱的な処理ではなく機械的な機構を用いた点が独創的です。 圧搾式アルミドロス処理機の原理は、不純物としてのドロスとアルミ分が混ざった状態のアルミドロスに圧力を掛けることによって、アルミ分が濾しだされるというものです。 この設備は、1995年に蒲原製造所に導入され、現在では年間3,000トンのアルミドロスを処理し年間1,200トンのアルミを回収すると共に、残渣についても鉄鋼用脱酸剤、鉄鋼(転炉)用昇温剤、鉄鋼スラグ用増滓剤としてすべて有効利用されています。この装置を用いると、作業の熟練度が必要なく 、1回あたりの作業時間も5分と短いなど、作業環境の改善(3Kの回避)にも役立っています。 このようなメリットが認められ圧搾式アルミドロス処理機は他社でも利用さており、より多くの事業所での環境の改善に役立っています。
 |
圧搾式アルミドロス処理機の模式図 |
|
|
 |
 |
 |
リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰は、循環型社会形成に向けて3R(リデュース・リユース・リサイクル)に率先して取り組み、継続的な活動を通じて顕著な実績を挙げている個人、グループおよび事業所等を表彰するものです。 3Rの促進および意識の高揚を図ることを目的に、「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会」の主催で表彰が行なわれています。 |
|
 |
|
 |
|
 |
・「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会」の概要はこちら |