■北米の取り組み事例 |
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●3Rに関する取り組み |
○EPAの取り組み |
1. |
The Job Through Recycling program(JTR program) |
リサイクルに関係する市場を開発していくことを目的として、1994年にEPAがはじめた取組みである。このプログラムは、企業などが積極的にリサイクル商品を利用していくことにより、リサイクル市場を活性化する目的と、それに伴う新たな雇用を創出しリサイクル市場の成長とともに経済の成長も促進していくという目的のために実施された。 JTR programの目的を達成するために、以下のような様々な補助金制度がある。 ○ リサイクルおよびリユース事業支援センター(Recycling and Reuse Business Assistance Centers(RBACs) RBACsは、州の固体廃棄物管理局か経済開発局に設置されている。ここでは、再生品を利用する企業へに対して、技術、事業、財政、市場に関する支援を行っている。リサイクル事業に必要となる資源を確保したり、新たなリサイクルプロセスや製造施設の設置したり、パイロット試験を実施するための援助を行っている。 ○ リサイクル経済開発支援局(Recycling Economic Development Advocates(REDAs)) 州政府あるいは部族経済開発局に設置されている。REDAsは再生品を加工あるいは利用する企業を事業、技術、財政といった側面から支援する専門家である。効果的な事業計画の作成、財政支援、再生品の市場調査などが対象となっている。REDAsは固体廃棄物管理局や経済開発局との調整も実施される。 ○ プロジェクトデモンストレーション(Demonstration Projects) プロジェクトデモンストレーションを通じて、州政府および部族政府は再生品市場を開発し、製品性状を試験し、新しい革新的なリサイクルプログラムを開発していくことを目的としている。他の市場開発に関する専門家と情報を共有することにより、効率よく市場を開発することとしている。 ○ 投資フォーラム(Investment Forum) リサイクル投資フォーラムは、リサイクル関連ビジネスに関する資本を探している企業家、投資家、資本家、経済開発局職員が一同に会すイベントである。このフォーラムではリサイクルビジネス投資する機会やリサイクルビジネスの成長や拡大などについて支援している。 |
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2. |
Comprehensice Procurement Guideline program(CGP Program) |
- 包括的再生品購入プログラム CGP Programは、RCRA(資源保護回復法)第6002条と大統領令第13101号に基づき実施されたプログラムである。このプログラムでは、政府が積極的に再生品やリサイクル製品を購入することにより、リサイクル市場を刺激し、再生品やリサイクル製品の需要を拡大していくことを目的としている。また、政府が率先してこのような行動をとることにより、民間企業などによる再生品やリサイクル製品の購入が促進されることも目的としている。このプログラムに取り組まなければならない組織は以下のとおりである。
- 連邦政府
- 再生品やリサイクル製品の購入をするための補助金交付を受けている州政府
- 再生品やリサイクル製品の購入をするための補助金交付を受けている市町村などの地方団体
- 連邦政府のプログラムに係わって仕事をしている民間企業
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3. |
廃電気・電子製品リサイクルの取り組み(e-Cycleシステム) |
米国では使用済みのテレビ・パソコンなどといった廃電気・電子製品の処理が大きな社会問題となっており、EPAではPlug-in to eCyclingというリサイクル活動に取り組んでいる。 この取組みは2003年1月に始まったもので、EPAの資源保護活動運動(Resource Conservation Challenge)の一環として米国内において廃電気・電子製品を回収し、安全にリサイクルするということを目指した取組みである。 米国の電子製品のリサイクル産業は成長しているところであり、1998年時点において電子機器は9.7百万台リサイクルされた。コンピューターの周辺機器、デスクトップパソコンそしてCRTモニターは最もリサイクルされている機器であるが、実際のリサイクル率は低い状況となっている。1998年のパソコンCPUのリサイクル率は6%である。一方、白物家電が64%以上リサイクルされている。試算によると、2007年の電子機器のリサイクルはノートパソコンやデスクトップパソコンの回収事業の成長によって4000万台以上になるとされている。カーネギーメロンレポートによると、2005年には1億5000万台のコンピューターがリサイクルされると試算されている。 現在、リサイクルされている電子機器の75%は従業員が500人以上の大規模メーカーによって製造されているものとなっている。これらの機器をリサイクルするには多額の初期投資、インフラそして一連のサイクルで必要となる関係を構築することが必要になるため、複数の企業がグループを形成して実施されている。米国においてはトップ5の企業が大部分の電子機器をリサイクルしており、その他企業全体でのリサイクル量を上回っている。電子機器リサイクル業者は米国の中部大西洋と中西部地域に集中している。 コンパック、デル、ゲートウェイ、ヒューレット・パッカード、IBM、マイクロンはリースによる引取りサービスを提案している。環境について考えると、大企業ではこのようなサービスの需要があるため、このようなサービスの積極展開が進んでいる。少数の企業では無料で使用済み製品を郵送で送ってもらうようなサービスを提供している。その他企業ではリサイクルプログラムをサポートしてもらえるよう地方政府と協力している。 ○ パイロットプロジェクトの概要 ~配送の復路便を利用した使用済みコンピューターの回収プロジェクト ステープル社は年商132億ドルの販売業者で、オフィス関連の消耗品、技術、家具、各種サービスを幅広く提供している企業であり、個人向けに販売する電子機器のリサイクルの可能性を探るための6週間のパイロットプログラムをプロダクトスチュワードシップ協会(Product Stewardship Institute(PSI))と共に立ち上げた。PSIは消費者製品の健康や環境に対する影響を削減していくことを目的とする国家機関である。このパイロットプログラムは消費者からリサイクル事業者へ使用済みコンピューターやその他のオフィス用品を輸送する特徴的な方法として配送の復路便を利用するというものを試験的に実施しているものである。この方法は、新品の製品を顧客へ配送する経路を利用して使用済み電子機器を収集し配送拠点まで輸送するものである。このパイロットプログラムはデイヴィルの25の小売店回収、コネティカット州の配送ネットワーク、そして配送拠点であるマサチューセッツ州の北リーディングあるいはシャロンによるインターネットやカタログ販売業者の顧客に対応している24拠点を含むネットワークとなっており、2004年5月末から開始した。 ○ 参加者の実施内容 このパイロットプロジェクトでは使用済みコンピューター、周辺機器とオフィス用品をステープ社が回収してリサイクルしている。ステープル社はこのプロジェクトのために従業員、輸送機器および保管場所を提供している。プロジェクト参加メーカーはリサイクルコストを分担するだけでなく、使用済み電子機器を配送拠点からリサイクル業者までの輸送コストを分担する。地方政府や州政府機関はプロジェクトの計画、回収を促進する支援のほか、回収製品の取扱に関する技術的支援や規制に関するガイダンスを提供を行った。PSIステープル社の小売販売や配送に関するデータを収集している。 ○ プロジェクトの目的 ステープルとPSIによる協働パイロットプログラムは他の小売業者に対して一つのリサイクルモデルを提供し、ステープル社、その顧客、メーカーそして重要なこのプログラムに対する協力者の間でリサイクル責任を分担するものとなりうる。 このプロジェクトの目的は電子機器の回収とリサイクルに関する持続的ビジネスモデルを構築することである。このプロジェクトで得られたデータの整理、分析を通じて、PSIはこのプログラムを国家的に拡大するポテンシャルを検討し、国家的な回収およびリサイクルシステムの開発に役立てていくこととしている。配送の復路便を利用した回収が効果的であることが証明されれば、国内の電子機器プログラムコストを大きく削減することができることになる。 ○ 参加企業
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Apple
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Brother
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Connecticut DEP
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Dell
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Envirocycle
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EPA Region 1
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Epson
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HP
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Intel
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Lexmark
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Massachussetts DEP
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Panasonic
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Product Stewardship Institute
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Sharp
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Sony
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Staples
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WasteCap of Massachusetts
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