再発防止対策について
事業者基本的な責務
販売事業者
消費生活用製品の販売事業者は、製品事故による危害の発生及び拡大を防止するため、製造事業者又は輸入事業者がとろうとする回収等のリコール措置に協力するよう努めなければなりません。具体的に、販売事業者が実施できる協力活動として、リコールの対象となっている消費生活用製品の販売の停止、製造事業者又は輸入事業者への在庫情報や顧客情報の提供、店頭での一般消費者へのリコール情報の提供等が挙げられます。
なお、消費生活用製品の販売事業者は、消安法第39条に規定する危害防止命令(後述参照)の発動を受けて、製造事業者又は輸入事業者が行う製品回収等のリコール措置に協力しなければなりません。これは販売事業者の義務です。また、こうした危害防止命令が発動されたことによって、顧客情報を提示することは、法令に基づいた措置(個人情報の保護に関する法律第16条第3項第1号)であり、個人情報保護法は適用されません。
経済産業省による再発防止策
危害防止命令
重大製品事故に関する報告を事業者に義務付け、この情報を一般消費者に公表するのみでは、事故の再発防止に向けた対策としては不十分であるといわざるを得ません。経済産業省では、製品安全に係る法令を駆使し、重大製品事故の再発防止に向けた対応を迅速に行います。
経済産業大臣は、①特定製品 の製造事業者、輸入事業者又は販売事業者がPSCマークの表示をせずに特定製品を販売したこと、②特定製品の製造事業者又は輸入事業者が当該特定製品の技術基準に適合しないものを製造、輸入又は販売したこと、のいずれかの事由によって、一般消費者の生命又は身体について危害が発生するおそれがあると認める場合、当該危害の発生及び拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、販売した当該特定製品の回収を図ることなどの必要な措置をとるよう、製造事業者等に命ずることができます(消安法第32条)。
また、経済産業大臣は、消費生活用製品の欠陥により、重大製品事故が生じた場合その他一般消費者の生命又は身体について重大な危害が発生し、又は発生する急迫した危険がある場合において、当該危害の発生及び拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、当該消費生活用製品の回収を図ることなどの必要な措置をとるよう、製造事業者又は輸入事業者に命ずることができます(消安法第39条第1項)。これを危害防止命令と呼んでおり、旧法では、緊急命令と呼ばれていたものです。経済産業大臣が危害防止命令を発動した際には、その旨を公表しなければならないこととなっています(消安法第39条第2項)。
上述の消安法第32条に基づく製品回収等の命令は、特定製品における表示義務や技術基準適合義務に反した場合に発動されるものであるのに対して、消安法第39条に基づく危害防止命令は、特定製品のみならず消費生活用製品全般が対象であることと、命令の発動用件が欠陥の有無のみである点は大きく相違しています。
なお、消安法第32条及び第39条第1項(危害防止命令)に違反した者(違反行為者本人を指し、通常、命令の名宛人である法人の代表者)は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科することとなっています(消安法第58条第4号)。さらに、法人による違反の場合は、行為者本人を罰することは勿論ですが、法人に対しても重大な罰金刑が科せられます。違反した法人は、個人に比して、100倍に加重された罰金刑(1億円以下)が科されます(法人重課)(消安法第60条第1号)。
義務者が不存在の場合
重大製品事故が発生し、製品の回収等のリコールを実施する必要があっても、リコールを行うべき事業者が倒産等によりもはや存在しない場合が少なからずあります。こうした場合には、経済産業省は、重大製品事故が多発している製品情報について記者発表等を通じて、一般消費者に周知することとしています。
なお、資力の弱い事業者の方々におかれては、重大事故による製品回収等に速やかに対応できるようにするため、例えば、民間保険会社が提供しているリコール保険等を利用し、万一の場合に備えておくことが必要です。