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付注2 「RIETI-TID2012」について

 本白書では、国連のSITC (Rev. 3)分類に準拠した貿易データを主要産業ごとに素材、中間財、最終財に分類し、各国間や地域間の貿易額を時系列で明らかにするため独立行政法人経済産業研究所(RIETI)が作成した「RIETI-TID2012」を用いて、世界と東アジアの貿易構造の分析等を行った。ここでは、「RIETI-TID2012」に関し、同研究所のホームページから、分類の基本的考え方及びその作成手法について紹介する。

1.基本的考え方

 「RIETI-TID2012」においては、東アジアの製造産業活動を貿易動向から把握する観点から、域内で貿易取引が活発な産業に焦点を絞りつつ、全ての貿易財を日本の産業連関表の統合大分類を基にして分類し、更に産業毎に生産工程別に整理した貿易産業分類表を作成した(付注第3図)。これにより三角貿易構造について、産業別に生産工程間分業の進展を反映した分析を行い、対象国の競合、補完関係等の動的変化を明らかにする。

付注第2表 貿易データベース「RIETI-TID2012」の概要

付注第3図 貿易産業分類表の構造

2.産業の分類

 産業については、日本の産業連関表の統合大分類(32部門)のうち農林水産業、鉱業を含む製造業の分類を基礎として、13の産業に整理した(付注第4表)。東アジアの工程間分業の進展を効率的に反映するために、分類上、以下の点について工夫している。

付注第4表 貿易産業分類表

①生産工程のうち原料、素材生産に相当する農林水産業、鉱業については、産業連関表の様に独立した産業として分類せず、それぞれ関連の製造業の川上産業として整理した。具体的には、「食料品」、「パルプ・紙」については、「農林水産業の関連商品」、また「化学製品」、「石油・石炭製品」、「窯業・土石製品」、「鉄鋼、非鉄金属、金属製品」については、「鉱業の関連商品」を含めて分類した。

②非鉄金属、金属製品は、生産工程上類似している点が多いと見なせることから、一つの分類として整理した。更に、鉄鋼についても、生産工程上のBEC分類では加工品にしか分類されないため、同一産業として含めた。

③電気機械については、東アジアの工程間分業の状況を踏まえ、電気機械と家庭用電気機器とに分けて整理した。

④その他の製造工業製品は、雑貨・玩具として整理した。プラスチックについては、産業連関表の分類上はその他の製造業に含まれているが、生産工程の観点から雑貨・玩具に入れず化学製品に含めた。

3.生産段階別の分類

 13分野に整理された産業を、更に素材、中間財(加工品、部品)、最終財(資本財、消費財)の3つのカテゴリー(5つのサブカテゴリー)に分類した(付注第5表)1。これは、国連のBEC(Broad Economic Categories)分類を基に、貿易財の生産工程における性質から各産業の貿易データを3つのカテゴリーに集約し、SNA(System of National Account)の基準により分類したもの2

付注第5表 貿易財の生産工程別分類表

1 生産段階別分類については、F. Lemoine. et. al., (2004), ‘China’s Integration in Asian Production Networks and Its Implicationsを参照。

2 BEC分類は、1968 SNAの基本的商品の使用に基づく分類(Intermediate consumption, Final consumption及びGross capital formation)に対応している。

4.使用データ

 「RIETI-TID2012」においては、国連COMTRADEのSITCデータを使用している3。SITCはHSより分類が粗くなる可能性があるものの、分類上の特徴として、製造に使われた原料、製造段階、商品の使用、技術的進歩などを反映しているため4、工程間分業を反映する上で望ましい性質を持っている。

3 HSは6桁の分類であるのに対し、SITCは最大5桁の分類。

4 国連のホームページにおいてSITC分類の特徴が説明されている。“The commodity groupings of SITC reflect (a) the materials used in production, (b) the processing stage, (c) market practices and uses of the products, (d) the importance of the commodities in terms of world trade, and (e) technological changes.”また、HS分類の特徴については次の通り。“The HS contributes to the harmonization of Customs and trade procedures, and the non-documentary trade data interchange in connection with such procedures, thus reducing the costs related to international trade.” (World Customs Organization) “In the Harmonized System goods are classified by what they are, and not according to their stage of fabrication, their use, or origin. The Harmonized System nomenclature is logically structured by economic activity or component material.” (University of British Columbia)

5.地域の定義

 輸出国・輸入国で検索可能な地域およびその定義は、以下の通りとなっている。

付注第6表 本データベース上の地域の定義

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