経済産業省
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I 世界経済の現状と課題

第1章 新興国の経済構造の変化

  •  中国等の投資拡大は先進国が減速するなか、世界経済危機後の世界経済を牽引したが、設備投資主導の経済成長の結果もあり、過剰債務が発生した。また過剰生産能力も顕著になりつつある。
  •  生産設備容量と生産実績の乖離は鉄鋼・化学部門・液晶等で顕著であり、生産者物価・輸出価格は下落した。世界経済の減速も相まって、これら部門では国際的に減少傾向にあった貿易制限的措置が反転増加しつつある。
  •  資源国経済は、新興国における資源需要拡大に伴い成長が加速したが、世界的な景気減速やシェール革命等による供給増加により資源価格が急落し、景気が減速した。
  •  中国政府は投資主導型経済から消費主導型経済への構造改革や製造業の高度化を進めているほか、サウジアラビアなどの資源国も構造改革の取組みを始めている。
  •  生産面では中国の存在感が上昇している。各国の最終需要に対する最大の付加価値輸出国は、日米独中心であったものが、中国へ比重が移り変わりつつある。

第2章 世界的な成長期待の低下

  •  先進国では、世界経済危機後、総需要の伸び悩みにより成長が鈍化。実質成長率は潜在成長率よりも低い水準で推移し、GDPギャップはマイナスの状態が継続。所得格差拡大、家計債務増加、産業の情報化などとの関係性も議論されており、例えばEUなどでは、中間層の受け皿であったルーチン型の雇用が失われ、雇用の二極化が進んでいる。
  •  潜在成長率自体も、中長期的には少子高齢化等により低下傾向にあり、生産性向上が益々求められる局面にある。

第3章 成長の新しい萌芽のあらわれ

  •  財貿易の拡大が世界的に鈍化するなか、サービス貿易は堅調に拡大。世界の市場規模は、旅行サービスが1.2兆ドル、コンサルティング等の業務サービスが1.1兆ドル。また、産業のプラットフォーム化やIT企業による自動運転・医療・金融等への参入、ビッグデータ解析を活用した製造関連サービスの拡大など、産業構造にも変化の兆しが見られる。
  •  2014年にはG20諸国全体でのサービス輸出の対GDP比率は6.4%に到達。英国、フランス、インドなどで特に高く、英国の金融、インドの情報通信、韓国の輸送、トルコの旅行など、特徴的な分野でサービス輸出を拡大する国も見受けられる。

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