- 2015年の経常収支受取額は126兆円(対前年比+5.1%)であり、リーマンショック前の水準に回復。財輸出が全体の約6割を占めるが、成長の中心は投資やサービス輸出に移りつつある。
- 財輸出は75.6兆円(対前年比+3.45%)とリーマンショック以降最高であるが、中国市場の変化に十分適応できておらず、「対米」「自動車」「東海甲信地方」への依存が顕著。
- OECD主要国の多くが、輸出の拡大を通じて経済成長を図っているのに対し、我が国は輸出の対GDP比(輸出比率)の水準・伸びともに低い。
- 我が国においては、同じく人口減少による内需減速に直面する欧州主要国と比較しても、財サービス貿易・対内外直接投資の経済に占める比率が低い。持続的成長を図るためにも、高度人材・留学生の獲得や人材の国際移動促進に加え、海外需要の十分な取りこみによる生産性向上が必要。
- 我が国のサービス輸出は訪日観光を軸に伸びているが、主要国と比較すると経済に占める割合は低い。サービス産業の生産性向上、近隣新興国等の投資環境改善などが重要。
- 訪日観光については、遠方からの旅行者は宿泊日数が長く、消費単価が高い傾向。観光消費単価の増加に向けても、長期滞在を志向する欧米人の呼び込みは重要。
第3章 中堅・中小企業の輸出拡大をはじめとする地域の対外経済関係
- 我が国の輸出企業比率は2010年から2014年にかけて増加傾向にあり、輸出の裾野の広がりがやや見られるものの、業種間・地域間のばらつきが大きい。
- 輸出ポテンシャルが高い未輸出企業は未だ数多く、裾野拡大の余地は大きい。「新輸出大国コンソーシアム」の活用等による輸出の裾野拡大が課題。
- ドイツでは、各地域でのイノベーションのための環境整備や、中小企業のビジネスマッチングなどに支えられ、ほぼ全州で輸出が増加し、輸出伸び率の地域差も小さい。
- アジア新興国では中国を筆頭に労働生産年齢人口比率が減少する局面に入りつつあり、中長期的には、少子高齢化の進展が遅いアフリカやインド等へ成長の軸が遷ると考えられることから、アフリカ・インド等への足がかりを確保することが必要といえる
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