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付注1 潜在成長率の推計

① ここでは、潜在成長率を生産関数アプローチにより推計した。

 生産関数は、以下のコブ・ダグラス型を仮定した。

 Y = (1−α)K + αL + TFP

 ここで、Yは実質GDP、Kは資本投入量、Lは労働投入量、TFPは全要素生産性を表す(いずれも対数表示)。また、定数αは労働分配率、1-αは資本分配率を表す。

 潜在資本投入量(K*)及び潜在労働投入量(L*)については、それぞれ推計期間の「平均的」な投入水準を潜在投入量と仮定した。

 また、全要素生産性は、HPフィルターにより各期の変動を抑制した水準(TFP*)を用いた。

  Y* = (1−α)K* + αL* + TFP*

② 我が国の潜在成長率は、以下に示す方法により推計した。

 潜在資本投入量は、資本ストック×平均稼働率により推計を行う。推計にあたり、製造業及び非製造業のそれぞれについて、資本ストックと平均稼働率を求めた。

 資本ストックについては、製造業、非製造業のいずれも最新年度の2012年までの実績値を取得したうえで、2014年まで延長推計した。

 将来予測については、直近10年の資本ストック変化率と同等の変化率を仮定した。

 資本稼働率は、計測期間の最大値を100として指数化したうえで、その期間平均値を用いた。

 なお、製造業の資本稼働率については、日銀短観の設備判断DIを用いて、近年見られる下方バイアスの補正を行った。

 潜在労働投入量は、年齢別の人口×平均稼働率とした。平均稼働率は、労働力率×就業率×1人当たり総労働時間とした。

 労働力率については、HPフィルターを用いて平準化を行った。将来予測値では、期間中のトレンドが継続した場合の数値を用いた。

 就業率、1人当たり労働時間及び労働分配率については、景気循環による変動を防ぐことを目的に、期間平均値を用いた。

 労働分配率の定義は以下に従っている。

  労働分配率=雇用者報酬/(雇用者報酬+営業余剰+固定資本減耗-家計の営業余剰)

推計に用いたデータの出所は以下のとおり。

実質GDP、名目GDP、雇用者報酬、営業余剰、固定資本減耗等: 内閣府「国民経済計算」
資本ストック:経済産業研究所「JIPデータベース」
稼働率(製造業): 経済産業省「鉱工業指数」、日銀「短観(設備判断DI)」
稼働率(非製造業): 財務省「景気予測調査(設備判断BSI)」
15歳以上人口(実績値):United Nations “World Population Prospects”
15歳以上人口(予測値):国立社会保障・人口問題研究所「年齢別将来人口」
労働力率:総務省「労働力調査」
就業率:総務省「労働力調査」
1人当たり労働時間:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

③ アメリカ、ドイツの潜在成長率についても上記の推計方法に準じている。

 ただし、資本ストックと資本稼働率については、全産業ベースでの数値である。
 なお、資本ストックは、我が国の推計に用いたJIPデータベースと同様に、資本の減耗を反映したものを用いている。
 労働分配率及び資本分配率は、それぞれOECDより取得した数値を用いている。

推計に用いたデータの出所はそれぞれ以下のとおり。

実質GDP:Economic Research, Federal Bank of St. Louis
資本ストック:Penn World Table 8.1
稼働率:Economic Research, Federal Bank of St. Louis、Eurostat
15歳以上人口(実績値): United Nations “World Population Prospects”
15歳以上人口(予測値):United Nations “World Population Prospects”
労働力率(実績値) :ILO Stats “Labour force participation rate by sex“
労働力率(予測値) :ILO Stats “Labour force participation rate by sex, age and type of scenario (ILO estimates and projections)”
就業率:ILO Stats “Employment by sex and age”
1人当たり労働時間:OECD ”Average annual hours actually worked per worker”
労働分配率:OECD ”Labour Income Share”

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