経済産業省
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第1節 自由貿易のメリット

1.マクロ経済面でのメリット

(1)経済のパイの拡大

はじめに経済理論が貿易によるメリットをどう捉えてきたのか概観した後、メリットとしてはマクロ経済面でとらえられるメリットとミクロ経済面でとらえられる面に分け、前者の中に経済のパイ拡大、輸入による購買力向上、国レベルでの全要素生産性の上昇や格差縮小への寄与のメリットを紹介し、後者については、企業レベルでの生産性の向上にふれたい。

貿易は経済のパイ拡大には不可欠なものである。貿易に関する伝統的貿易理論を展開したリカルドによれば、2国間で異なる2つの財を製造していた国がお互いに比較優位1を持つ財を輸出し、そうでない財を輸入することで、相手国への輸出分も含めて生産をすることで規模の経済が働きより効率的な生産を行うことで生産者としてメリットが生じるだけでなく、消費者として消費できる量も増えたり、より安いコストで同じ財を入手するメリットを享受したりすることが可能となる。伝統的貿易理論、新貿易理論及び新々貿易理論について概略を整理した表を作成した(第Ⅱ-1-1-1-1表)。

第Ⅱ-1-1-1-1表 貿易理論のまとめ

リカルドの伝統的貿易理論の実証分析として貿易利益がどの程度得られたのかを明らかにするのは難しい。なぜなら、貿易利益とは貿易のある状態の経済厚生から貿易のない状態の経済厚生を引いた値になるが、この条件を満たすのは極めて難しいためである。しかし、その条件を満たしたものとして、WTO(2008)2によれば、ベンホーフェンとブラウンによる19世紀末に日本が鎖国から開国した時に貿易利益を分析した研究を挙げている。この研究によれば日本の貿易利益はGDP比8~9%に相当するとの結論が出ている。また、同レポートではもう1つの実証研究の例としてアーウィンが1807年~1809年に米国議会が輸出禁止を定めた際に貿易利益はGDP比5%程度(ただし、全ての貿易利益を示すものではない)と示したものが紹介されている。

その後、新貿易理論としてクルーグマン(ニューヨーク州立大学大学院教授。2008年にノーベル経済学賞を受賞)は規模の経済性に着目し、先進国間であっても貿易が生じることを明らかにした。この時の貿易利益としては、生産量が多いほど平均費用が低下して生産が効率化することと、消費者が国内で生産される製品だけでなく、輸入品が国内市場に入ってくることにより、多くの種類の製品を購入する選択肢を持つことができる点としている。

さらに、メリッツ(ハーバード大学経済学部教授)は同一産業内であっても輸出する企業と輸出しない企業が生じるのは、生産性の高い企業のみが輸出できるからだとする新々貿易理論を構築した。貿易の自由化により競争が高まり、資源の再配分が生じて、生産性の低い企業から高い企業へと労働者が移動し、生産量も同様にシフトしていくことで産業全体としての生産性が向上するという貿易利益が生じると説明している。

上記は貿易による静態的効果についての分析だったが、貿易と経済成長の動態的効果についてもふれておきたい。WTO(2008)3によれば、従来の経済成長理論では国際関係を考慮してこなかった。なぜなら、経済成長理論は、自国で生産、消費することが一般的な前提とされてきたためである。しかし、各国の成長はその国だけで分析することは不可能であるから、貿易面についても考慮することが不可欠ということになってきている。第Ⅱ-1-1-1-2図を見れば、一般的にGDP成長率と貿易の伸び率は正の相関関係があるように見える。これはどちらかがもう1つをリードしていることを示唆するものではないが、両者が非常に重要な関係にあることを表しており、WTO(2008)によれば、多くの研究が国際貿易量と経済成長には正の関係があるとしている4

第Ⅱ-1-1-1-2図 GDP成長率と貿易の伸び率

この他にもこれまで多くの経済学者や研究者がマルチ、リージョナル、バイの自由貿易の枠組み締結は参加する国の経済成長につながるとの予測や、事後的に自由貿易の効果について研究を行ってきている。第Ⅱ-1-1-1-3表は日本における自由貿易、地域貿易協定についての実証研究の代表例をまとめたもの。いずれも貿易を増やす効果が正であることに加え、経済成長にプラスの影響が生じるとの結果が出ている5

第Ⅱ-1-1-1-3表 日本における自由貿易協定、地域貿易協定に関する既存の実証研究の例

貿易が経済のパイの拡大に寄与するという点の確認が出来たが、パイの拡大要因の中で貿易はどの程度の寄与度があるのかについて確認するため、代表的な成長促進要因であるR&D投資と比較してみたい。

なお、標準的な経済成長理論によれば、一人当たりGDP成長率は、技術進歩率及び資本蓄積のスピードに依存すると言われているが、経済成長を長期的に支える源泉としては、資本蓄積よりも技術革新が重要であるという考え方が重視されてきた。さらに技術革新を起こすにはR&Dに労働を投入する必要があるとの考え方が有力視されている6ため、R&Dを技術進歩の代替変数として用いている。貿易も市場の拡大効果、競争促進効果や技術拡散効果を通じて技術進歩につながると言われており、もう1つの技術進歩の代替変数としてとらえ、両者について一人当たりGDPにどれだけ貢献するか確認することとした。

第Ⅱ-1-1-1-4図は一人当たりGDPへの寄与度を分析するため、財の貿易額の対GDP比及びR&Dの対GDP比が1%変化した時に一人当たりGDPがどれだけ変化するかを2001年~2014年のOECD諸国を対象に調べた結果となる。これを見ると財の貿易額の対GDP比が1%変化した際、一人当たりGDPが0.18%増加するのに対し、R&Dの対GDP比が1%変化した際、一人当たりGDPが0.32%増加することを示している。この結果から財の貿易額の対GDP比は、通常経済成長への貢献度が高いと言われているR&Dに比べ一人当たりGDPに貢献する割合が小さくないことが分かる。

第Ⅱ-1-1-1-4図 一人当たりGDPの各要素の寄与(2001~2014)

さらに、財貿易だけでなく、サービス貿易や対外直接投資等などより広い対外経済活動について見た場合でも、OECD13カ国及び中国では経常収支や財サービス収支の伸びが高いほど実質GDP成長率が高い傾向(第Ⅱ-1-1-1-5図、第Ⅱ-1-1-1-6図)が観察される。

第Ⅱ-1-1-1-5図 経常収支合計と名目GDP(2005~2015年)

第Ⅱ-1-1-1-6図 財サービス貿易と名目GDP(2005~2015年)

これまでふれてきた伝統的貿易理論、貿易利益や自由貿易協定・地域貿易協定に関する実証研究、国際貿易量と経済成長の正の関係性、財貿易だけでなく、サービス貿易や対外直接投資等などより広い対外経済活動について見た場合でも、経常収支や財サービス収支の伸びが高いほど実質GDP成長率が高い傾向に見られるように、貿易はパイの拡大に不可欠である7。パイが拡大することによって縮小均衡に陥りパイを奪い合うことを避けることが可能になり、また、格差を埋めるための再分配の原資を得ることも可能になる。

1 比較優位とは、2国2財モデルにおいて、国によって生産技術や生産要素の賦存量は異なるが、相手国との比較で相対的に優位な生産技術や生産要素を持つことでより効率的な生産が行えることを言う。

2 WTO (2008), p. 34.

3 WTO (2008), p. 64.

4 WTO (2008), p. 71.

5 この表にまとめた以外の研究の中には、自由貿易による経済成長への貢献は有意ではない等、本節で紹介したものとは異なる主張をしているものもある。

6 平田渉(2011)

7 ただし、後述するように一部の地域、産業、企業にしわ寄せが出ているという点については米国を中心に多くの論文等が出ている。その代表的な論文については第3節でふれることとしたい。

(2)輸入による購買力上昇

次に消費者としての立場から貿易のメリットをみることにしたい。貿易理論の項でもふれたように、自国製品よりも競争力のある製品を海外から輸入することで消費者は同じ品質のモノであればより安い価格で、そして、同じ値段であればより良い品質のモノを入手することが可能となる。第Ⅱ-1-1-1-7図は輸入による消費者メリットとして日本と米国の所得階層別に「輸入なし」の場合の購買力と「輸入あり」の場合の購買力を比較し、「輸入あり」の場合の購買力が輸入なしの場合と比較してどの程度上昇したかを計算したもの。平均及び上位10%の所得階層の人は購買力上昇率が日本と米国いずれも1桁と低い。他方、下位10%の所得階層の人の購買力の上昇率が日本では46%、米国では69%といずれも平均や上位10%所得階層の上昇率よりも非常に高い。そして両国の間には23ポイントの差も生じている。

第Ⅱ-1-1-1-7図 輸入による購買力上昇率(所得階層別)

これは裏返せば保護貿易政策を講じた場合、輸入によって得られていた購買力上昇のメリットが得られなくなることを指すが、低所得層ほどその影響度合いが大きいこと、さらにその影響度合いは日本よりも米国の方が大きいことを示唆している。

(3)全要素生産性8上昇

(1)でもふれたように、貿易額対GDP比が高くなれば経済成長にプラスの効果があるとされている。その経路の1つとして、新々貿易理論が述べてきた、国内の個別企業の生産性向上や産業間・企業間の資源の再配置による産業全体としての生産性の向上につながるという経路がある。

この点に着目して、貿易により国全体の全要素生産性の上昇にもつながるかを確認したい。第Ⅱ-1-1-1-8図は貿易額の対GDP比及びICT投資の対GDP比が1%変化した時に全要素生産性がどれだけ変化するかを2001年~2014年のOECD諸国を対象に調べた結果となる9。貿易額の対GDP比が1%変化した時、全要素生産性は2.41%上昇するのに対し、ICT投資の対GDP比が1%変化した時、全要素生産性は1.85%上昇するとの結果を示している。この結果から一般に全要素生産性向上と密接不可分と言われているICT投資以上に貿易が全要素生産性上昇に貢献していることが分かる。貿易が全要素生産性向上につながるのは、①市場拡大効果、②競争促進効果、③技術拡散効果があるためと指摘10されている。

第Ⅱ-1-1-1-8図 全要素生産性への各要素の寄与(2001~2014)

また、輸入だけで見ても、IMFが行った分析によれば、2006年~2012年の韓国の産業別全要素生産性の増減を輸入によるものとそれ以外(労働、資本及び素材)によるものとについてそれぞれの寄与度を回帰分析により行ったケースでは輸入が全要素生産性の増分の2割の寄与度があるとされている。また、韓国以外でも同様に輸入による生産性向上の効果は多くの文献で示されている11。この輸入による生産性向上は先に述べた3つの効果のうち、競争促進効果に関係すると見られるが、海外の優れた技術から学ぶことができ、高品質の輸入による品質の上昇効果、そして入手可能な輸入(部)品が拡大することによる様々な効果が得られるためと考えられる。

8 全要素生産性(Total Factor Productivity: TFP)とは、労働だけでなく原材料や資本といった全ての生産要素を考慮した生産性指標であり、全要素生産性(TFP)=生産量÷全生産要素投入量として定義される。労働生産性は、生産に投入された生産要素のうち、労働のみに注目した指標となっているが、TFPは労働のみならず、原材料や資本も考慮した生産性指標なので、TFPの改善は物量投入に依存しない生産効率の改善、つまり業務効率の改善や技術革新を示す指標であると考えられる。

9 詳細については補論1参照。

10 市場拡大効果、競争促進効果、技術拡散効果及び制度革新効果については経済産業省(2001)『通商白書2001』、p. 164。

11 JaeBin Ahn and Moon Jung Choi( 2016), p. 3.

(4)所得格差縮小

これまで見てきたメリット以外にも、自由貿易により所得格差が縮小するとのメリットも挙げられる。OECD加盟国(OECD加盟国の内、韓国とニュージーランドは2014年のジニ係数(税・再分配前)12がないため除く)を対象として貿易額(対GDP比)とジニ係数の関係を調べた結果、貿易額(対GDP比)が高いほどジニ係数は低い、すなわち、所得格差が低いという傾向(第Ⅱ-1-1-1-9図)がみられた。

第Ⅱ-1-1-1-9図 貿易額対GDP比とジニ係数の相関(1995年)

貿易額(対GDP比)が100%を越えているのは、ベルギー、エストニア及びアイルランドの3か国だが、いずれもジニ係数はそれほど高くはない。他方、チリ及びメキシコのジニ係数は0.5近くにあり回帰線から大きく上に乖離している。

さらに、2005年及び2014年でも同じ様な散布図を作成し、貿易額(対GDP比)とジニ係数の関係を見たところ、相関係数にばらつきはみられるものの貿易額(対GDP比)が高いほどジニ係数が低い傾向に変化はなく、両者の間に一定の相関関係はあるようだ(第Ⅱ-1-1-1-10図、第Ⅱ-1-1-1-11図))。なお、中国についてはジニ係数のデータが取得できなかったため、2014年以外のグラフには含まれていない。また、2010年から2014年の貿易額(対GDP比)とジニ係数の伸び率(2014年/2010年)をとった場合でも貿易額(対GDP比)とジニ係数の関係に変化は見られなかった(第Ⅱ-1-1-1-12図)。

第Ⅱ-1-1-1-10図 貿易額対GDP比とジニ係数の相関(2005年)

第Ⅱ-1-1-1-11図 貿易額対GDP比とジニ係数の相関(2014年)

第Ⅱ-1-1-1-12図 貿易額対GDP比とジニ係数の相関(2010年-2014年の伸び率)

12 ジニ係数とは、所得や資産の分布の不平等度を表す指標の1つ。係数は0と1の間の値で示され、完全に平等なとき最小値0をとり、不平等度が大きいほど1に近づく。イタリアの統計学者ジニ(C. Gini 1884~1965)が考案。

2.ミクロ経済面でのメリット

これまでマクロ経済面からのメリットについて見てきたが、ミクロ経済面、具体的には企業ベースでみた場合のメリットとして企業の生産性向上が挙げられる。

新々貿易理論では、輸出に係る初期費用(輸出固定費用)に着目し、輸出固定費用を支払う生産性(輸出閾値)を擁する企業のみが輸出企業としてグローバル市場に参加可能と説いている。この新々貿易理論は同じ産業内において企業の異質性を前提としている点が、新貿易理論と異なる。これは貿易自由化やその他の政策的工夫によって、本来非輸出企業に甘んじている企業も輸出企業に転化する可能性を示唆するものである。

さらに、最初から生産性が高い企業が輸出できるというだけでなく、輸出した企業の生産性は輸出しなかった企業よりも向上する効果があることがWTOのレポート13に書かれている。国際貿易への参加により、市場規模の拡大、規模の経済の活用、余剰生産能力の吸収に加え、国際的なベストプラクティスへのアクセスが可能となることを契機として技術改良や異なる高品質の商品開発への刺激を高める働きがあるとの論文14を引用して、輸出による生産性向上を信ずるに足る理由があるとしている。

同論文では、カナダ企業の輸出企業と非輸出企業の労働生産性及び全要素生産性に関し、輸出参入企業はもともと労働生産性の成長率が非輸出企業よりも高いことに加えて輸出市場参入前と参入後で成長率の差が有意に拡大するとの調査結果を紹介している(第Ⅱ-1-1-2-1表)。

第Ⅱ-1-1-2-1表 輸出参入企業と非参入企業間の生産性成長率の差

日本でも同様に輸出した企業の生産性は輸出しなかった企業の労働生産性と比較して向上するとの分析結果15が出ている(第Ⅱ-1-1-2-2図)。これは2000年に輸出を行っていなかった企業のうち、2001年に輸出を開始した企業と輸出を開始しなかった企業とに分けて、労働生産性の平均の対数の推移を1998年から2008年まで示している。輸出を開始する以前においてすでに輸出開始企業は輸出非開始企業よりも生産性が高く、その格差は輸出開始後年々拡大していることが分かる。なお、対象企業は経済産業省の「企業活動基本調査」対象企業の中から製造業企業を抽出している。

第Ⅱ-1-1-2-2図 輸出開始企業と非開始企業の生産性

また、2014年までの直近のデータを使って、世界経済危機の前後の期間(2001年~2009年と2010年~2014年)に分けて輸出開始企業と非開始企業の労働生産性の実数を比較したところ、2001年~2009年までの世界経済危機前の期間における輸出開始企業の労働生産性は7.44と非開始企業の6.50を上回っており、また、2010年~2014年の世界経済危機後の期間でも、輸出開始企業の労働生産性は6.83と非開始企業の6.34を上回っていることから、世界経済危機後も輸出開始企業は労働生産性を引き上げる効果を持続していることがうかがわれる(第Ⅱ-1-1-2-3図)。

第Ⅱ-1-1-2-3図 輸出開始企業と非開始企業の生産性比較

輸出による生産性上昇の効果もあって、多くの直接輸出企業は売上のみならず経常利益を拡大させており、さらには雇用や賃金を拡大させたと回答する企業も3~4割近く存在していることが今年行われたアンケート調査16でも確認された(第Ⅱ-1-1-2-4図)。

第Ⅱ-1-1-2-4図 直接輸出が売上高などに寄与したと考える企業の割合

13 WTO (2016), p. 22.

14 Baldwin, J.R. and Gu, W.(2003) and Avendano, R., Daude, C. and Perea, J.(2013),

15 経済産業省(2012)『通商白書2012』、p. 298。

16 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(2017)

3.保護主義的な措置をとった場合のデメリット

一部の国においてグローバル化に対する不安・不満の高まりを背景に保護主義的な措置を講じようとする動きも散見されるが、仮に保護主義的な措置として関税の引き上げを行う場合、輸入物価の上昇を招き、低所得者層に最も被害が生じる可能性が高く、むしろ格差を更に拡大してしまう恐れがある。

更には、国内のインフレ率上昇による金利引き上げ、通貨高による輸出減速等により経済に悪影響を及ぼす可能性がある。また、貿易相手国が報復措置を発動すれば、悪影響は更に拡大する。最悪の場合、保護主義がさらなる保護主義を呼び、誰にもとめられなくなる可能性も指摘されている。保護主義の連鎖を止めることがいかに難しいかは、第一次大戦後のブロック経済の歴史を改めて振り返る必要があろう。

政策研究大学院大学の川崎氏は、米国大統領選挙の際、トランプ候補(当時)が公約として掲げていた中国やメキシコに対しそれぞれ45%、35%まで関税を引き上げるという政策が実施された場合、各国経済にマイナスの影響が生じるとの試算結果を示している(第Ⅱ-1-1-3-1表)。この他、米国シンクタンクのPeterson International Institute of Economics17が同様に保護主義的措置が実行された場合、米国実質GDPにマイナスの影響があるとの試算を出している。

第Ⅱ-1-1-3-1表 米国による中国・メキシコへの高関税導入のGDP影響試算

また、保護主義的な措置が実行された場合の世界経済及び世界の貿易への影響については、OECDが2016年11月のEconomic Outlookの中で、仮に米国、欧州、中国が輸入品に対する関税等の貿易コストを10%引き上げた場合、世界のGDPを1.4%押し下げ、世界貿易を6%減少させるとの試算を出している(第Ⅱ-1-1-3-2図)。

第Ⅱ-1-1-3-2図 米国、欧州、中国が輸入品に対する関税等の貿易コストを引き上げた場合の世界経済及び貿易への影響試算

17 Peterson Institute for International Economics(2016)

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