経済産業省
文字サイズ変更

第6節 ルール形成

1.国際的なルール形成の重要性の高まり

近年、企業の海外展開の拡大に伴い、WTOやEPAなどの国際協定にとどまらず、外国の国内法、業界団体の自主取決め及びグローバル企業の調達基準等の国際的なルールの影響力が増大している。さらに、欧米などでは、各国政府に加えて企業自らが、グローバルな経済活動を左右しうる国際的なルールの形成を活発に進めている。

特に、製品・サービスの質といった企業が有する「非価格競争力」がより適切に評価されるように国際的なルールの形成に戦略的に携わることで、新興国を中心とした海外市場の獲得を目指す、欧米企業の活動が数多くみられるようになっている。

こうした中、国際的なルールの形成に関与しなければ、優れた製品・サービスを有していたとしても既に作られた国際的なルールを所与のものと受け入れざるをえないため、製品・サービスの強みを十分に市場で発揮できないリスクがある。

2.国際的なルール形成のアプローチ

国際的なルールが形成される際には、各種課題の発見や課題の概念化・理念化が特に重要であることが多いため、初期段階から議論に関与することなしには、国際的なルールの形成に実質的に参加することが困難になる場合がある。そのため、国際的なルールによって競争上不利になる事態を避けるためには、課題設定やコンセプト構築といった初期段階から、国際的なルール形成の議論に積極的に参画し、自身の製品・サービスが適切に評価されるような制度や仕組みを構築する必要がある。

その際、経済的価値のみならず、環境や安全といった社会課題の重要性が国際的に高まっていることを踏まえ、社会的な課題の解決に貢献する製品・サービスの「非価格競争力」が適切に評価される国際的なルールを策定することが重要となる。

3.我が国の取組

我が国企業が国際的なルールの形成を進めるためには、例えば、ルール形成を重要な経営課題と捉えた上で、最適な内部体制の構築、国際的なルール形成の動向の把握、ビジネスと国際的なルールの関係の分析、ルール作成に向けたアジェンダの提起、ステークホルダーとのコンセンサス形成などを進めることが必要と考えられる。

経済産業省としては、国際的なルールの形成に引き続き取り組むとともに、企業によるルール形成を啓発及び支援し、我が国の企業活動を後押ししていく。JETROでは、国際的なルール形成に関する企業向けセミナーを2016年度には国内12の事務所で開催しており、引き続き情報提供・普及啓発などの支援を進めていく。

<<前の項目に戻る | 目次 | 次の項目に進む>>

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.