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第7節 アフリカ

1.マクロ経済分析

2019年のサブサハラアフリカ141の経済成長率は3.1%と、安定した経済成長を遂げている。しかしながら、2020年4月に公表されたIMFの経済見通しによると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2020年の経済成長率は-1.6%と統計開始以来最も低く、深刻な経済危機が予測されている(第Ⅰ-3-7-1図)。特に、世界的な資源価格の低迷が今後も続くことが予想されることから、石油輸出国を始め、資源集約国は大きな打撃を受けるとしている(第Ⅰ-3-7-2図)。また、観光業に依存する国々は、足下の観光客の激減だけでなく、国や地域だけでなく、世界的に海外旅行の制限がどのように緩和されていくのか見通しがつかないことから、GDPの成長率を-5.0%とし、より大きなダメージを受けると予測している。

第Ⅰ-3-7-1図 サブサハラアフリカのGDP成長率の推移

第Ⅰ-3-7-2図 サブサハラアフリカのGDP成長率における2019年と2020年の比較(国の属性別)

なお、サブサハラアフリカのGDP総額上位7か国を比較すると、ナイジェリアと南アフリカがそれぞれ3,982億ドル、3,681億ドルとその他の国々より群を抜いて経済規模が大きいことが分かる(第Ⅰ-3-7-3図)。そして、東南アジアの上位7か国と比較すると、ナイジェリアと南アフリカは、第3位のマレーシアの3,586億ドルを超えているものの、他の国々の経済規模は東南アジアの国々に比べて小さい。

第Ⅰ-3-7-3図 東南アジアおよびサブサハラアフリカのGDP上位7か国(2018年)の比較

次に、貿易関係について見ていく。2018年の通商白書において、アフリカの輸出入相手国における中国の存在感が増していることが指摘されていたとおり、足下でもその傾向は続いている。2019年のアフリカの貿易額を見てみると、中国は輸出入ともに第1位であり、また、その割合も高まっている。アフリカの2019年の輸出額4,407億ドルのうち、中国は17.1%、同年輸入額5,232億ドルのうち、中国は20%を占める(第Ⅰ-3-7-4図、第Ⅰ-3-7-5図)。

第Ⅰ-3-7-4図 アフリカの輸出相手国上位7か国の割合(2019年)

第Ⅰ-3-7-5図 アフリカの輸入相手国上位7か国の割合(2019年)

次に、中国との輸出入をそれぞれ品目別で見ると、輸出については、資源や鉱物が上位を占めていることが分かる。中でも、原油は444億ドル輸出されており、中国への輸出総額の752億ドルの60%を占めている。なお、中国への輸出額が対世界への輸出額に占める割合については、コバルト及びその製品が84.8%、アルミニウム鉱が77%と非常に高く、他の鉱物系資源についても高いものが多い(第Ⅰ-3-7-6表)。

第Ⅰ-3-7-6表 アフリカの対中国輸出上位10品目及び対中国輸出が対世界輸出に占める割合(2019年)

一方、輸入については、電話機、プラスチック製やゴム製の履物、新品のタイヤやオートバイなど、現地の人々の生活を支える製品が多い。なお、2019年の中国からの輸入総額は1,056億ドルであった。また、中国からの輸入額が対世界からの輸入額に占める割合をみると、プラスチック製やゴム製の履物が82.5%、合成繊維の長繊維の糸の織物が72.2%と高くなっている(第Ⅰ-3-7-7表)。

第Ⅰ-3-7-7表 アフリカの対中国輸出上位10品目及び対中国輸入が対世界輸入に占める割合(2019年)

141 サブサハラアフリカとは、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国を指す。

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