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- 第Ⅲ部 第2章 第5節 インド
第5節 インド
インドは、人口約13.5億人で中国に次ぐ世界第2位であり、国連の推計では今後10年以内に人口15億人に達し、世界第1位となる見通しである。2014年に発足したモディ政権では、「Make in India」、「Skill India」、「Start-up India」等の様々なイニシアティブを打ち出し、経済改革、製造業振興による雇用の創出、投資促進のためのビジネス環境整備、インフラ整備などを進めている。
モディ首相と安倍総理は良好な関係を構築しており、首脳会談等を通じて日印関係の深化に努めてきた。経済の分野では、デジタル、スタートアップ、人材育成、投資促進、ビジネス環境整備、エネルギー、知的財産等、様々な分野で協力を進めてきており、2019年12月に梶山経済産業大臣が訪印した際には、ゴヤル商工大臣との間で日印産業競争力パートナーシップを立ち上げた(第Ⅲ-2-5-1図)。日印産業競争力パートナーシップでは、インドの産業競争力強化に日印で取り組むべく、これまでの投資促進や人材育成などの協力を土台に、スタートアップの活力も使いながら、一層の投資促進、競争力強化、貿易促進に取り組むことを目指しており、モディ政権で推進している「Make in India」「Skill India」「Start-up India」等の実現にも貢献していく。具体的には、政府による許認可手続きの円滑化・迅速化、産業人材育成、物流コストの削減、品質向上に向けた標準化といった業種横断的な課題や個別のセクターに特化した課題に取り組んでいる。
第Ⅲ-2-5-1図 ゴヤル商工大臣との会談
エネルギー分野では、2019年12月の訪印時に、梶山大臣とシン電力・新・再生可能エネルギー大臣を共同議長として、第10回日印エネルギー対話を開催した(第Ⅲ-2-5-2図)。前回の対話(2018年5月)において合意した「日印エネルギー転換プラン」に基づき、電力・再生可能エネルギー、省エネ、石炭、石油・天然ガス、水素の分野での協力の進捗状況を確認するとともに、変動再生可能エネルギー及び電気自動車の電力システムへの統合に向けた、技術協力・制度協力・人的協力の3本柱からなるロードマップを承認した。シン大臣より、これまでの日本のエネルギー協力について高い評価と期待が示された。
第Ⅲ-2-5-2図 第10回日印エネルギー対話
鉄鋼分野では、建築物における鋼材利用の促進、省エネ、等の鉄鋼産業における協力推進を目的とした日印鉄鋼対話の立ち上げを梶山大臣とプラダン石油・天然ガス兼鉄鋼大臣の間で合意し、2020年早期に開催することで一致した。
このほか、デジタル分野では、2018年に経済産業省とインド電子IT省との間で合意した「日印デジタルパートナーシップ」の一環として、日本貿易振興機構(JETRO)のベンガルール事務所に「日印スタートアップハブ」を開設し、日印のベンチャーキャピタル、日印のスタートアップ、日本企業等をつなぐマッチメイクや、インドIT人材の日本企業による採用支援、日印交流イベント「ベンガルール・東京テクノロジーイニシアチブ(BTTI)」などを実施した。
人材育成の分野では、10年間で3万人のもの作り人材を育成する旨、2016年11月の日印首脳会談で決定した。同目標の達成に向け、製造業の人材育成に係る「日本式ものづくり学校(JIM)」および寄附講座(JEC)の新規開設に取り組んでおり、2019年度までにJIMは13校、JECは5講座が開設した。
知的財産の分野では、2019年11月第3回日印知的財産次官級会合を開催し、日印特許審査ハイウェイ(PPH)の試行開始の共同主意書に署名、12月5日より申請受付を開始した。これにより、従来、審査に約6年かかっていたが、PPH申請により約一年半以内に特許を取得できる見込みとなっている。
第三国連携の文脈では、2019年12月に日本貿易振興機構(JETRO)とインド産業連盟(CII)の間で、アフリカを含むインド太平洋地域における日印ビジネス交流をさらに促進するための「アジア・アフリカ地域における日印ビジネス協力プラットフォーム」を立ち上げた。
自動車分野では、低炭素自動車の普及支援策や中小サプライヤ強化等、自動車産業分野における協力推進を目的とした日印自動車産業協力政策対話の2020年度早期開催を予定している。