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- 第1部第2章第1節 デジタル技術の進展とものづくり人材育成の方向性
- 5.デジタル技術を活用する企業における人材育成
第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第2章 ものづくり人材の確保と育成第1節 デジタル技術の進展とものづくり人材育成の方向性
5.デジタル技術を活用する企業における人材育成
ものづくり人材の育成・能力開発方針をみると、デジタル技術を活用している企業では「当面の仕事に必要な能力だけでなく、その能力をもう一段アップできるよう能力開発を行っている」と回答した企業が36.8%と最も多く、デジタル技術未活用企業では「個々の従業員が当面の仕事をこなすために必要な能力を身につけることを目的に能力開発を行っている」と回答した企業が38.0%と最も多く、「人材育成・能力開発について特に方針を定めていない」と回答した企業も2割あることから、デジタル技術の活用は企業の経営戦略であり、それを活用できる人材の育成においても、一歩先を見据えた人材育成が必要となっている様子がうかがえる(図251-1)。
図251-1 ものづくり人材の育成・能力開発方針

資料:JILPT「デジタル技術の進展に対応したものづくり人材の確保・育成に関する調査」
また、ものづくり人材を育成するための環境整備については、デジタル技術を活用している企業、デジタル技術未活用企業どちらも、「改善提案の奨励」、「実力・能力重視の昇進・昇格」、「自社の技能マップの作製」とつづいている(図251-2)。
図251-2 ものづくり人材の育成、能力開発における環境整備

資料:JILPT「デジタル技術の進展に対応したものづくり人材の確保・育成に関する調査」
注:「無回答」は表示していない
また、デジタル技術を活用している企業に対して人材育成の取組の内容を問うと、「日常業務の中で上司や先輩が指導する」、「作業標準書や作業手順書の活用」、「仕事の内容を吟味して、やさしい仕事から難しい仕事へと経験させる」が続く。同様の傾向はデジタル技術未活用企業でも見られる。デジタル技術活用企業、未活用企業の取組の差を見ると、多くの項目でデジタル活用企業の取組が進んでおり、「OFF-JTを実施している」(10.2%)、「作業標準書や作業手順書の活用」(9.9%)、「自己啓発活動を支援している」(8.4%)、「会社の理念や創業者の考え方を理解させる」(8.3%)の順に差が大きく、デジタル技術の活用をしている企業は、作業のマニュアル化により効率化を進め、同時に従業員の能力開発においては、OFF-JTや、自己啓発支援など、職場を離れた訓練も進めている企業の姿勢がうかがえる(図251-3)。
図251-3 デジタル技術を活用する企業の人材育成・能力開発の取組

資料:JILPT「デジタル技術の進展に対応したものづくり人材の確保・育成に関する調査」
注:「無回答」は表示していない
民間や公的な教育訓練機関が実施するものづくり人材を対象としたOFF-JTで望む研修内容を問うと、デジタル技術を活用している企業では、「加工など製造技術に関する専門的知識・技能を習得させるもの」(50.1%)、「OJTでは習得が難しい体系的な知識・技能を習得させるもの」(38.4%)、「生産管理に関する専門的知識・技能を習得させるもの」(38.0%)とつづき、「ICTなどデジタル技術に関する知識」(17.5%)を大きく上回っており、デジタル技術の活用が進む企業においても、ものづくりに関する能力は必要とされていることが表れている(図251-4)。
図251-4 デジタル技術を活用する企業が教育訓練機関が、実施するものづくり人材を対象としたOFF-JTに対して希望する研修内容

資料:JILPT「デジタル技術の進展に対応したものづくり人材の確保・育成に関する調査」