経済産業省
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第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第2章 ものづくり人材の確保と育成
第2節 ものづくり産業における人材育成の取組について

2.中小企業等の労働生産性の向上

生産性向上人材育成支援センターの取組

生産性向上人材育成支援センター(以下「生産性センター」という。)は、中小企業等の労働生産性向上に向けた人材育成を支援することを目的として、2017年度から、機構が運営する全国のポリテクセンター・ポリテクカレッジ等(以下「機構各施設」という。)に設置された。

生産性センターでは、これまで機構各施設が行ってきた在職者訓練を始めとする事業主支援業務の拡充・強化を図るとともに、中小企業等の労働者一人一人の生産性向上を支援するため、民間機関等を活用し、様々な分野の、幅広い職務階層の在職者を対象に、「生産管理」「品質管理」「マーケティング」など、企業の生産性向上に必要な知識やスキル等の習得を図る生産性向上支援訓練や、企業がIT技術の進展に対応するために必要な「IT新技術の理解」「表計算等のITスキル」「情報セキュリティ」などの「IT理解・活用力」の習得を図るIT活用力セミナーを実施している。生産性センターが実施する在職者訓練及び生産性向上支援訓練については、条件を満たせば、人材開発支援助成金(3(1)に後述)を受けることができ、本助成金の利用に必要な訓練実施計画の作成支援なども生産性センターが実施している。

コラム:生産性向上支援訓練利用者の声・・・エリーパワー(株)川崎事業所

【利用事業主の概要】

エリーパワー(株)川崎事業所(神奈川県川崎市)

  • 事業内容:大型リチウムイオン電池及び蓄電システムの開発、製造、販売
  • 利用コース名:「生産性分析と向上」(2回に分けて実施)
  • 利用時期:平成30年5月、8月
  • 受講者数:16名+14名 計30名

【訓練を利用したきっかけ】

当社は創業12年目の企業であり、製造部の従業員は中途採用者や派遣登用者が多く、個々のスキル・知識にばらつきがあり、課題となっていた。また、スキル・知識のばらつきにより作業にもムラやムダが発生していた。

スキル・知識の標準化やムラ・ムダの削減を図るために、生産性分析の手法、特に人の動きや動作分析などの生産性向上について学べる効率的な方法がないか考えていたところ、生産性向上支援訓練を知り、利用することにした。

【訓練を利用した感想】

訓練カリキュラムは、動作分析や工程分析を体系的に学ばせるといった当社の希望に応じて内容をカスタマイズしていただいたことで、効果が上がったと考えている。

訓練を受講した結果、知識の習得だけではなく積極的に改善を進めていく姿勢が見られるようになった。なかでも、自信を持てず消極的であった従業員が、訓練を受講したことが自信につながり、積極的な姿勢が見られるようになったことを最も嬉しく感じている。

【職場での活用】

訓練で習得した内容は、当社で実施している「小集団活動」や「改善活動」に活かされている。従来とは異なる手法を活用した取組がいくつか見られるようになり、「こんな分析もできるようになったのか」と感心した。

また、受講者からは「訓練で学んだ内容は、設備の生産性向上、ロスの削減、作業者の能率アップ、工数削減などに活用しており、生産現場の改善に大いに役立っている。訓練後の変化としては、今まで改善を考える際は個々でやり方が異なっていたが、訓練を受けてルールが統一されたことで、ムラやムダが削減できていると実感している。」との声が上がっている。

【今後の抱負】

今後は、生産量の増加に伴い、現場改善を進めていく一方で、「工程内の原価管理」や「組織力の強化」など、その時々の課題にあわせた従業員教育を実施したいと考えている。

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