5月の鉱工業出荷の前月比マイナス2.8%低下は、4月の反動と思われる内需(国内向け出荷)の大幅低下によるもの。外需(輸出向け出荷)は3か月ぶりの上昇。内需は輸送機械工業が悪く、外需ははん用・生産用・業務用機械工業が良かった。 2017年7月7日
鉱工業出荷は、4月からの反動で前月比低下、国内向け出荷の低下の影響
平成29年5月の鉱工業出荷は前月比マイナス2.8%と2か月ぶりの低下となりました。内需(国内向け出荷)が前月比マイナス3.9%と2か月ぶりの低下でした。一方、外需(輸出向け出荷)は前月比1.0%と、小さめの上昇幅ではありましたが、3か月ぶりの上昇となりました。
5月は国内向け出荷の大きな低下寄与が、鉱工業出荷の前月比低下につながっていますが、輸出向け出荷も3か月ぶりの前月比上昇としては、小さめの上昇幅に留まっていました。


内需低下には、輸送機械工業の寄与大
大きく低下した5月の国内向け出荷の主要業種別状況をみると、輸送機械工業の低下寄与が1位、電子部品・デバイス工業の低下寄与が2位となっています。1位、2位とは言っても、輸送機械工業と電子部品・デバイス工業の寄与幅には大きな差があり、5月の国内向け出荷低下は、輸送機械工業の低下によるものと言って良いと思います。

小さめの上昇幅とは言え、3か月ぶりに前月比上昇となった5月の輸出向け出荷の業種別の状況をみると、はん用・生産用・業務用機械工業、輸送機械工業が大きめの上昇寄与をみせ、輸出向け出荷のけん引役でした。他方、化学工業(除く医薬品)が大きめの低下寄与を見せていました。輸送機械工業については、4月の船待ちによる低下からの回復などもあって上昇となったほか、はん用・生産用・業務用機械工業は3か月ぶりの輸出向け出荷前月比上昇となり、指数値も120台を突破し、高い水準となっています。

主要業種ごとに内外需の動向がバラバラ
5月の主要4業種の内外需の動向を比較すると、業種ごとに差があります。
5月の鉱工業出荷低下への寄与が大きかった、輸送機械工業は、輸出向け出荷は前月比で若干のプラスでしたが、国内向け出荷が大きく前月比低下で、外需が若干のプラス、内需は不振です。
逆に化学工業(除く医薬品)は出荷全体の低下幅は小さいのですが、内需好調、外需がマイナスでした。
電子部品・デバイス工業では、5月の出荷全体の前月比低下は、内需のマイナスによるものですが、外需も前月比マイナスとなっています。
翻って、出荷全体としては前月比横ばいだった、はん用・生産用・業務用機械工業では、内需が若干の低下だった一方で、外需が3か月ぶりに上昇となっています。
鉱工業出荷全体では、内需たる国内向け出荷が大きく低下し、外需たる輸出向け出荷が若干に上昇とはなっていますが、主要4業種の中でも、内外需の関係は区々となっていました。

なお、主要4業種の輸出向け出荷における、米国向け出荷、中国向け出荷の寄与をみると、押し並べて米国向け出荷の上昇寄与が大きく、中国向け出荷は、化学工業(除く医薬品)を除き低下寄与となっています。
各業種とも、米国からの需要が輸出向け出荷をけん引していたようです。また、主要業種の中国向け出荷は前月比低下ですが、中国向け出荷全体は前月比プラスで、鉄鋼業等の業種の中国向け出荷が前月比上昇となっていました。

外需(輸出向け出荷)はバランスのとれた伸びを見せた
国内向け出荷、輸出向け出荷の需要先別分類である財別分類指数の前月比のバランスをみるべくレーダーチャートにしてみます。
すると、5月の財別国内向け出荷の前月比のチャートは、設備投資向けである「輸送機械を除く資本財」が前月比プラスと伸びている一方、耐久消費財の低下幅が大きく、五角形の形状が、歪んだ形になっています。
一方、5月の輸出向け出荷の前月比のチャートでは、非耐久消費財の前月比プラスが突出して高いという状況ではありますが、全体としてみるとバランスの取れた五角形になっています。

内外需ともに設備投資向け財の出荷が旺盛ですが、耐久消費財の動きの差が内外需の差となって表れたようです。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-201705.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html
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