月次の産業別統計を通してみたGDP変化の要因 2015.11.24
先日、内閣府が平成27年7-9月期のGDP1次速報を公表し、2四半期連続のマイナス成長となったことが話題になりました。そこで今回は、経済解析室で月ごとにまとめている産業別の統計指標を使って四半期ごとのGDPを再現することにチャレンジしました。
まず、GDPの各需要項目に対応する産業別の活動指数を選定し、これらを用いてGDPを推計したところ、かなりの高精度でGDPの動きを再現できました。得られた推計結果からは、GDPの動きを推し量る上で、第3次産業活動指数の個人向けサービス(広義対個人サービス)の動きが他の項目に比べて大きな意味を持っていることが分かりました。家計消費の中でもサービスの比重が大きくなっています※ので、GDPの動きを説明する上でも個人向けサービスの動向は重要ということです。
平成22年以降の局面、つまりいわゆるリーマンショックによる世界的な景気後退から、とりあえず復帰した時期との比較で、どの産業の活動指数がGDPの増加に最も寄与したかを確認してみたところ、やはり比重の大きい個人向けサービスが最も寄与しており、中でも医療,福祉やエネルギーといった生活必需型のサービスが安定的に増加に寄与していることが分かりました。
また、この推計に基づく計算により、GDPの動きを月次でも確認できるようになります。月次の計算値で今年の7-9月期の動きを見てみると、7、8月よりも足下の9月で低下していることも分かりました。
さらに、景気との関連で注目度の高い鉱工業生産指数と個人向けサービスの活動指数でどちらが月次GDPとの相関が高いか見たところ、個人向けサービスとの相関の方が高いことが改めて確認されました。このことは、景気を見る上で個人向けサービスの動きをみることが相対的に重要であることを意味していると言えます。
分析結果の詳細について詳しくご覧になりたい方は、下記URLにアクセスしてみてください。
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini035j.pdf
※平成27年10月5日のお役立ちミニ経済解説
「家計消費における財サービスの比較~家計消費の7割はサービス~」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20151005hitokoto.html
平成27年11月24日
経済産業省 経済解析室長 石塚
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