10月の第3次産業活動指数は、前月比0.2%上昇と3か月ぶりの上昇。9月からの反動による情報サービス業の上昇等が要因。ただし、上昇系列もあれば、低下系列もあり、各指数の上昇に範囲的な広がりと時間的な持続性がない状態で、全体では狭いレンジでの推移となっている。
2016年12月12日
平成28年10月の第3次産業活動指数は、前月比0.2%上昇となりました。指数値自体は104.1と、昨年平均の103.2と比べて高い水準を維持しています。今年の6月以降、指数水準104を挟んでの小さい動きが続いている状態です。
第3次産業活動指数の業種別の動きをみると、10月は、11大分類業種のうち、上昇業種が4業種、低下業種が6業種、「医療,福祉」は前月比横ばいとなっています。
10月の前月比上昇業種の中では、情報通信業、「金融業,保険業」の2業種の上昇寄与が大きくなっています。この2業種は、9月の前月比低下3業種のうちの2業種でした。残る1業種は卸売業ですが、10月についても前月比低下となっています。情報通信業は、9月の低下の主因となった情報サービス業が、9月の低下分をほぼ補うほどの上昇をみせ、10月の情報通信業のけん引役となりました。「金融業,保険業」では、金融仲介業務や金融商品取引ではなく、金融決済業務の伸びにより、前月比上昇となっています。業種的には、9月の低下業種が反動的に増加に転じたようにみえますが、内訳系列をみると、必ずしもそれだけではなかったということになります。
サービス産業(第3次産業)全体を対個人と対事業所に分けると、10月は、対個人サービスが前月比0.4%上昇、対事業所サービスが前月比0.2%上昇と3か月ぶりの上昇に転じました。
ただ、対個人と対事業所のサービスの中身をさらにみると、良い面だけではなく、悪い面もあるようです。対個人サービスのうち、10月は非選択的個人向けサービスは2か月ぶりの前月比上昇ですが、し好的個人向けサービスは逆に2か月ぶりに前月比低下となっています。今年の6月には、両個人向けサービスが共に前月比上昇でしたが、なかなか両個人向けサービスが揃って前月比プラスとなってくれません。
対事業所サービスについても同様で、10月については製造業を主な相手先とする製造業依存型事業所向けサービスは2か月ぶりの前月比上昇ですが、非製造業を主な相手先とする非製造業依存型事業所向けサービスは2か月ぶりに前月比低下となりました。この2系列は、今年1月、4月、そして6、7月と揃って前月比上昇していたのですが、8月から10月は、どちらかがプラスだと他方はマイナスと、なかなか「かみ合わない」推移となっています。
確かに、6月以来、4か月ぶりに対個人と対事業所の両サービスが、前月比上昇となりました。どちらかが上昇すれば、他方が下がるという流れで、第3次産業全体の動きが狭いレンジを動くことになっていますが、そこには両サービスの内訳においても「かみ合わない」動きがあったことになりなす。
こういった状況を踏まえ、平成28年10月の第3次産業(サービス産業)の基調判断については、「一進一退」のまま据置きとしたいと思います。
10月までの第3次産業活動指数総合(原指数)の平均は、103.5です。11月、12月の指数が10月の水準並みで行けば、平成27年の指数値103.2を上回ると思われます。しかし、「良い業種もあれば、悪い業種がある」、「良い系列があれば、悪い系列がある」、あるいは、「ある月良かった系列も翌月には悪くなる」ということが繰り返されており、指数値の上昇が、範囲的な広がりや時間的な持続性に欠ける状態が続いており、11月以降の推移にも予断を許さない部分があります。となると、なかなか前年比プラスが確保されているとも言いにくいところです。
是非とも、こういった状態を脱し、第3次産業活動指数が来年に向けて、上昇していくことを期待したいところです。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/html/b2010_201610j.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-201610.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
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