4月は、生産財よりも最終需要財の出荷寄与が大きく、耐久消費財と資本財の出荷が鉱工業出荷のけん引役で、耐久消費財の出荷指数は平成26年4月以来の高いレベル 2017年5月31日
生産財出荷は前月比上昇で、堅調な推移
鉱工業出荷指数の需要先用途別分類である財別指数をみることで、財需要の動向をみることができます。
平成29年4月の財別出荷指数の動きを見ると、まず全体のほぼ半分を占める生産財(事業活動の中間投入として利用される、素材や部品)の出荷は、指数値102.1、前月比2.2%と2か月ぶりの上昇となりました。4月の生産財出荷上昇の主要因は、電子部品や自動車部品などの出荷上昇です。
今年に入って前月比の方向が月々入れ替わりますが、グラフの形状をみると、昨年からの上昇基調は継続しており、製造業部材への需要は底堅いようです。

最終需要財の中では、耐久消費財と資本財の出荷が伸びている
生産財と出荷ウェイト全体を2分する最終需要財の出荷は、指数値100.6、前月比4.0%上昇となりました。出荷全体への上昇寄与としては、4月は最終需要財の方が大きかったことになります。
最終需要財の中では、4分類の出荷全てが前月比上昇となっていますが、家計の需要する耐久消費財、そして設備投資に使用される輸送機械を除いた資本財の出荷の上昇寄与が多く、この2つの出荷寄与で、生産財の出荷寄与を上回っています。
耐久消費財出荷は、指数値90.1、前月比7.6%と2か月ぶりに大きな上昇幅を見せました。耐久消費財出荷指数が90台になるのは、平成26年4月(指数値90.4)以来のことで、久方ぶりのことです。
4月の耐久消費財出荷のけん引品目は、普通乗用車や携帯電話でした。
輸送機械を除く資本財の出荷は、指数値117.1、前月比7.1%と2か月ぶりに大きな上昇を見せました。この系列は、昨年11月にピークアウトして、低下傾向で推移していましたが、この4月に大きく上昇し、昨年11月の指数値も上回りました。また、4月の指数値は平成27年1月(指数値123.6)以来のもので、ここ数年の中でも、最高レベルの出荷水準と言えるかと思います。
4月のこの資本財出荷のけん引品目は、ショベル系掘削機械や一般用蒸気タービンでした。

財需要のバランスは、家計の耐久消費財にシフト
財別出荷指数の前月比をレーダーチャートに配置して、3月の前月比と4月の前月比のバランスを比較してみます。
3月の鉱工業出荷は前月比マイナスで、財別出荷指数は全て前月比低下でしたが、低下幅が大きかったのは、資本財や建設財といった企業の需要する投資財でした。
他方、4月の財別出荷指数の前月比のレーダーチャートの配置をみると、耐久消費財や資本財の前月比が大きく外に張り出しています。日々利用する製品というよりは、家計、企業ともに耐用年数の長い製品の出荷が伸びていました。
特に、4月の財別出荷の前月比バランスは、家計消費における耐久消費財にシフトしていたようです。

なお、需要の内外需の別については、来る6月7日に、国内向け出荷、輸出向け出荷の別を集計した出荷内訳表を公表しますので、そちらをご覧ください。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201704s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
本経済解析室ニュースは印刷用のPDFでも御覧いただけます。
印刷用ファイル
をダウンロードして印刷してください。
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)