5月の全産業活動指数は、前月比マイナス0.9%と2か月ぶりの低下。4月の大幅増加の反発は弱めで、指数水準も平成20年平均に迫る高水準を維持。低下ながら単月としての活動量は大きく、引き続き緩やかな上昇基調にある。 2017年7月20日
2か月ぶりの低下ながら、5月の指数水準は105台に迫る高水準
平成29年5月の全産業活動指数は、指数値104.7、前月比マイナス0.9%と2か月ぶりの低下となりました。とはいえ、4月は前月比2.3%と平成22年基準指数(平成20年1月~)では平成23年6月と並ぶ過去最高の上昇幅となる大幅上昇でしたので、その割にはこの低下幅は小さめであるといえるでしょう。
平成28年1~3月期が102.5であった指数値も、順調にポイントを伸ばし28年12月の103.7を経て、ここ2か月では実に105に近い値にまで回復し、4月、5月の2か月の平均値は105.2とリーマンショック前に近い水準になっています。

鉱工業、サービス業、建設業すべてが低下、4月の大幅上昇の余波が影響
5月の結果を産業別にみると、鉱工業生産、第3次産業(サービス産業)活動、建設業活動のすべてが低下し、全産業活動全体は低下となりました。各活動のここ最近の動きは、比較的大きなマイナスの3月、その低下幅以上の大きく力強い上昇の4月、その上昇分から弱い反発により低下した5月と、3系列とも似たような動きをみせています。
鉱工業生産は、5月は前月比マイナス3.6%の低下と、輸送機械工業が乗用車関連品目でのGWを意識した計画的な減産などにより低下となりました。鉱工業生産の動きが、5月の全産業活動に対する低下寄与の8割程のインパクトを持ちました。
サービス産業活動は、5月は前月比マイナス0.1%の低下と、3月までの連続低下を打ち消すほどの大幅上昇となった4月に対して、ほぼ横ばいとなりました。事業者向け関連サービス、不動産業などが低下に、卸売業などが上昇に寄与しました。
建設業活動は、5月は前月比マイナス1.0%の低下と、土木工事が官・民発注分とも減少したことにより低下となりました。ただ、5月の建設業活動の低下は、前月比上昇幅、指数水準とも平成22年基準指数で過去最高値を記録した4月との比較ですので、低下というのは致し方ない動きといえるでしょう。

今年「5月」の活動量は、ここ10年でみると高い水準
全産業活動指数の内訳3系列とも今月は前月比低下とはなりましたが、平成22年基準指数毎年「5月」の比較(観測値は10時点)をしてみますと、サービス産業活動と建設業活動の指数水準は、リーマンショック前の平成20年5月を上回る過去最高値でした。
また、鉱工業生産の指数水準は、第2位で、リーマンショック後では最高位になっています。このように3産業のいずれもが「5月」としての活動量は、この10年の中で高い水準となっているといえます。

基調的な動き
5月の各指数の基調判断は、鉱工業生産は「持ち直しの動き」と据え置き、サービス産業活動はこの5月に「持ち直しの動き」と上方修正しています。
建設業活動では、4月、5月の2か月平均活動量は大きめではありますが、5月自体は前月比低下で、公共事業の動きには不明瞭さがあること、民間の住宅建築の動きがやや弱いことなど、不安定要素も存在しています。
よって、今年5月の全産業活動については、単月としての前月比は1%台に迫る低下幅で、4月大幅上昇の反発は小さめであったこと、ここ2か月の指数水準も高いことを考えれば、基調的には緩やかな上昇傾向にあると思います。
- 全産業活動指数 結果概要
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2010_201705j.html
- 全産業活動指数の概要(1枚モノのちらし)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/pdf/zenkatsu_gaiyou.pdf
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