鉱工業生産は輸送機械工業などがけん引して5期連続の上昇、鉱工業在庫は前期比低下となったが、在庫循環は「在庫積み増し局面」へ 2017年9月4日
経済解析室で毎月作成している鉱工業指数や第3次産業活動指数などの経済指標は、平成29年4-6月期にどのような動きを見せていたのでしょうか。
今回は、平成29年4-6月期の鉱工業生産指数の業種別、品目別の動向に加えて、鉱工業在庫指数の動向、在庫循環図の動きについて確認してみます。
鉱工業生産は5期連続の上昇、指数値はリーマンショック後の最高値
平成29年4-6月期の鉱工業生産指数は102.1、前期比2.1%上昇と5期連続の上昇となりました。四半期ベースでみると、今期の指数値は平成20年7-9月期の110.5以来、リーマンショック発生後の2009年以降で最高値です。

輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業が全体をけん引
平成29年4-6月期の鉱工業生産指数は、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業の2業種が全体をけん引しました。この2業種の上昇寄与だけで、全体の上昇寄与の3分の2を説明できてしまいます。
上昇寄与業種の第3位は化学工業ですが、化粧品が品目別の上昇寄与第3位となっていることを除けば、それほど目立った上昇寄与品目はありません。今期の鉱工業生産上昇の立役者は、輸送機械工業とはん用・生産用・業務用機械工業だったといえると思います。
また、品目別にみると、輸送機械工業に含まれる自動車部品、乗用車が上昇寄与第1位、第2位となっており、はん用・生産用・業務用機械工業に含まれる金属工作機械や産業用ロボットの生産も堅調でした。

在庫は前期比低下、在庫循環は「在庫積み増し局面」へ
平成29年4-6月期の鉱工業在庫指数は、前期比マイナス0.5%と2期ぶりの低下となりました。指数値は109.1で、連続して上昇するという事態は避けられましたが、平成28年10-12月期の水準107.3に比べるとまだ高い水準です。

在庫循環の動きをみると、平成29年1-3月期には「意図せざる在庫減局面」と「在庫積み増し局面」の境界線付近に位置していましたが、平成29年4-6月期では、はっきりと「在庫積み増し局面」に入りました。この在庫循環の状況は、鉱工業生産の「山」が視野に入ってきていることを示唆するものとなっています。

平成29年4-6月期の鉱工業生産は、5期連続の前期比上昇となり、生産水準も平成26年1-3月期の駆け込み需要期を上回るレベルに到達しています。
ただ、在庫水準は前期比では低下となりましたが、小幅な低下に留まり、昨年末の水準からすると、まだ高い状態です。在庫循環も「在庫積み増し局面」となり、企業の積極姿勢は見られます。
例えば、7月上旬に調査した生産予測調査の結果から集計した「アニマルスピリッツ指標」は3.6です。過去の推移に照らすと、この指標がマイナス5を下回ると景気後退局面に入るのですが、7月のアニマルスピリッツ指標は、そのレベルよりも大分高い値となっているので、製造工業企業の生産意欲は高いということが言えます。
他方、在庫指数の水準や在庫循環の状況からすると、意図しない形で在庫が上昇してしまう「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に、どういうタイミングで移行してしまうのか、良く見ていく必要があるように思われます。
- ミニ経済分析「鉱工業指数と第3次産業活動指数からみた平成29年4-6月期の産業活動」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20170904minikeizai.html
- 鉱工業指数と第3次産業活動からみた産業活動と関連する分析のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-sankatsu.html
本経済解析室ニュースは印刷用のPDFでも御覧いただけます。
印刷用ファイル
をダウンロードして印刷してください。
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)