対事業所サービスが2期ぶりの低下で全体を下押し、対個人サービスは横ばい。安定上昇推移だった「非製造業依存型」対事業所サービス、「し好的」対個人サービスが前期比低下となっている点が目を引く。 2017年12月4日
経済解析室で毎月作成している鉱工業指数や第3次産業活動指数などの経済指標は、平成29年7-9月期にどのような動きを見せていたのでしょうか。
今回は、平成29年7-9月期の第3次産業活動指数について、対個人/対事業所向けサービスの動向を確認してみます。
対事業所サービスは2期ぶりの低下、対個人サービスは横ばい
サービス産業(第3次産業)活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けられます。
平成29年7-9月期の広義対個人サービス活動指数は前期比0.0%と横ばい、広義対事業所サービス活動指数は前期比マイナス0.6%と、2期ぶりに低下しました。今期の低下は、前期に全体を大きく押し上げた対事業所サービスの低迷が要因であることが分かります。

非製造業依存型事業者向けサービスが13期ぶりに低下
対事業所サービスは、そのサービスの相手先が主に製造業であるのか、非製造業であるのかに応じて、製造業依存型と非製造業依存型に分類できます。
サービス産業活動全体の低下要因となった対事業所サービスのうち、非製造業依存型事業所向けサービスは、これまで安定的な上昇基調が続いていましたが、今期は前期比マイナス0.5%と13期ぶりの低下となりました。
また、製造業依存型事業所向けサービスは、1-3月期に大幅低下、4-6月期に大幅上昇で水準を戻した後、7-9月期は再び低下となっています。このため、指数は、昨年の第3、第4四半期のレベルを下回っており、少し勢いはなくなっている様子です。

対事業所向けサービス前期比低下への寄与をみると、非製造業依存型と製造用依存型は2:1の割合で非製造業依存型事業所向けサービスの低下寄与が大きくなっています。
ここまで3年以上にわたり、対事業所向けサービスを支えてきた非製造業依存型事業所向けサービスが13期ぶりに低下しましたが、前期の上昇による反動的側面も一部に含まれていると考えられるため、上昇傾向が続いていた対事業所サービスの潮目が変わったのかどうかを判断するのは、来期以降の動向を確認する必要があると思います。

なお、リーマンショック前と現在の対事業所サービスを比較分析したひと言解説「第3次産業活動全体はリーマンショック前の水準に復帰し高水準で横ばい、このうち「対事業所向けサービス=BtoB」は未だ低い水準にある。では、BtoBサービスの指数水準を押し下げているサービスとは?」もありますので、是非、お目通しください。
非選択的/し好的個人向けサービスが相殺し、全体では横ばい
対個人サービスは、生活必需的な性格の強い「非選択的個人向けサービス」と、選択性が強く上下動しやすい「し好的個人向けサービス」に分けられます。
非選択的個人向けサービスは、昨年第2四半期から今年第1四半期までの1年間緩やかな低下推移となっていましたが、直近の2四半期は連続で上昇し、指数値は108.1と、結果的に現行基準で第2位の高い水準に達しました。
一方、し好的個人向けサービスは、6期ぶりの低下とはなりましたが、均してみれば緩やかな上昇基調は維持しているものと思われます。

対個人サービス前期比への寄与を見ると、非選択的個人向けサービスの上昇寄与、し好的個人向けサービスの低下寄与が同程度で、両者が相殺した結果、対個人サービス全体は前期比で横ばいとなりました。
これまで上昇傾向が続いていた、し好的個人向けサービスが6期ぶりに低下したため、非選択的個人向けサービスが連続上昇となったにも関わらず、対個人サービスは横ばいにとどまりました。景気状況や所得状況との関連性が強いと考えられる「し好的個人向けサービス」が連続低下になってしまうのか、それとも8月の悪天候の影響による一時的な低下に留まるのか、10-11月期の数値の動きが注目されます。
- ミニ経済分析「鉱工業指数と第3次産業活動指数からみた平成29年7-9月期の産業活動」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20171204minikeizai.html
- 鉱工業指数と第3次産業活動からみた産業活動と関連する分析のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-sankatsu.html
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