総じて好調であったインフラ型サービスが全体をけん引する一方、台風などの天候要因によって娯楽をはじめとした生活関連型サービスは低調な動き 2017年12月12日
インフラ型サービスは、10月に3か月ぶりに上昇
第3次産業活動指数の大分類11業種のうち、多様なものが含まれる事業者向け関連サービスを除く10業種を、その形態・性質で3種類に分類して、その推移を見ることができます。
10月の「インフラ型サービス」活動指数は前月比1.2%と3か月ぶりの前月比上昇、「財の取引仲介型サービス」活動指数は前月比マイナス0.6%と2か月連続の前月比低下、「生活関連型サービス」活動指数も、前月比マイナス0.3%と2か月連続の前月比低下となりました。

エネルギー関係や運輸、通信、金融といった産業基盤、生活基盤を成り立たせるサービス産業は好調でした。実は、企業の中間投入となる事業者向け関連サービスも4か月ぶりの前月比上昇となっており、国内の事業活動のサービス需要自体は活発であったことが伺えます。
このインフラ型サービスが、10月のサービス全体の前月比0.3%、3か月ぶりの上昇を生み出したと言えるでしょう。

他方、前月比低下幅の大きい「財の取引仲介型サービス」では、卸売業の低下寄与が大きくなっており、これで2か月連続での大きな低下寄与となっています。8月、9月と上昇寄与であった不動産業もマイナスに転じ、「上がると、下がる」という動きとなっている小売業もなかなか上向きにならない状況です。

情報通信、金融保険、事業者向けの各業種が上昇寄与
10月の業種別の動きみると、全11業種のうち、6業種が上昇業種、5業種が低下業種でした。
上昇寄与が大きかった業種は、情報通信業、「金融業,保険業」、事業者向け関連サービスといった業種でした。

情報通信業では、情報処理・提供サービス業の上昇が寄与しています。その中でも、市場調査や世論調査を含む「その他の情報処理・提供サービス業」が前月比9.3%と大きな上昇を見せました。10月の総選挙の影響が出たようです。
「金融業,保険業」では、金融商品取引業の「流通業務」(株式取引高)が前月比15.4%と大きな上昇を見せました。10月の株式市場では、日経平均株価が22,000円を上回って約21年ぶりの高値を付け、活況を呈していました。
事業者向け関連サービスでは、土木・建築サービス業が大きく上昇し、この系列を含む技術サービス業が上昇しました。この結果、企業の投資向けサービスも前月比0.9%と2か月ぶりの上昇となっています。なお、事業者向け関連サービスでは、新聞広告やインターネット広告、他に分類されない広告が伸びて、広告業が前月比8.5%上昇し、ここにも総選挙の影響が見られるようです。
株式相場にも選挙結果の影響があるとも言われることまで含めると、10月の上昇寄与サービス業種には、総選挙の影響があったということができるかと思います。

低下業種には天候の影響も
10月は、5業種が前月比低下業種だった訳ですが、低下寄与が大きかった業種は、生活娯楽関連サービスと卸売業でした。
生活娯楽関連サービスは前月比マイナス1.7%と2か月連続の低下です。スポーツ施設提供業、特にゴルフ場や、遊園地・テーマ-パークの落ち込みが大きくなっています。また、飲食店、飲食サービス業も不調で、特にレストランや居酒屋の低下が目立ち、逆に、ファーストフードなどは前月比上昇となっています。屋外娯楽施設やレストラン、居酒屋といった外食の落ち込みには、やはり今年10月の台風の影響が見てとれます。
卸売業も前月比マイナス1.3%と2か月連続の低下です。その内訳で特に落ち込みが目立つのは、鉱物・金属材料卸売業と化学製品卸売業でした。鉱工業品のうち、企業の中間投入となる生産財の出荷が10月は思わしくなかった影響がそのまま出ているようです。
10月のサービス産業の業種別の動きをみると、上昇業種には総選挙の影響、低下業種のうち、生活娯楽関連サービスには天候の影響が、それぞれ幅広く見られるという結果だったように思えます。
卸売業については、製造業における生産の材料などに対するフローの需要が少し低迷した影響が見られます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-201710.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
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