飲食料品、燃料小売業は価格が押し上げ要因、耐久消費財、非耐久消費財関連の各業種は数量が押し上げ要因。個人消費で少し購入量に動きが出始めている。 2017年12月15日
- 飲食料品、燃料の小売業ともに価格要因が押し上げ、数量要因の動きには違いも
- 機械器具小売業、自動車小売業は、ともに数量要因が押し上げ
- 化粧品・医薬品、織物・衣服・身の回り品の小売業は、ともに数量が押し上げ要因
小売販売額の変動は、価格変動(価格要因)と販売された数量の変動(数量要因)のどちらによるものだったのか、峻別することができます。今回は、平成29年7-9月期の小売販売額の変動要因について、業種ごとにその動向を確認していきたいと思います。
飲食料品、燃料の小売業ともに価格要因が押し上げ、数量要因の動きには違いも
まずは、主に価格要因で変動することが多い飲食料品小売業、燃料小売業の動向をみてみます。
平成29年7-9月期の飲食料品小売業は、前年同期比0.3%上昇、燃料小売業は同3.2%上昇と、両業種ともに価格要因によって前年同期比プラスとなっています。
燃料小売業は昨年まで原油価格の低迷が大きなマイナス要因になっていましたが、今年に入ってからは価格要因が大きくプラスに転じ、販売額を伸ばしています。
飲食料品小売業は、昨年第4四半期に、天候不順による野菜等の値上がりがあって、価格要因によって大きく上昇しましたが、今年に入ってからは、価格要因の上昇寄与が安定している印象です。
これら2業種は、ともに価格要因が販売額を動かす、逆に言えば、数量が変動しないという必需品的性格の強い業種と考えられます。確かに、燃料小売業では、数量要因の寄与はほとんど見られません。他方、飲食料品小売業では、ここ数年、数量要因が明瞭にマイナス方向へと作用しており、この点が必需的性格の強いこの2業種の動きの違いとして興味深いところではないかと思います。
平成26年全国消費実態調査をみると、若年単身世帯では飲食費支出のうち、外食の比率が最も高いというデータもあり、そもそも食材を買う行動自体が縮小傾向にあるのかも知れません。

機械器具小売業、自動車小売業は、ともに数量要因が押し上げ
次に、耐久消費財の購入に関連する機械器具小売業、自動車小売業の動向をみてみます。
平成29年7-9月期の機械器具小売業は、前年同期比3.1%上昇、自動車小売業は同6.8%上昇と、両業種ともに数量要因が販売額の押し上げにつながっています。
ただし、家電製品を含む機械器具小売業では、価格要因がマイナス方向に作用していますが、自動車小売業は若干上昇寄与幅を拡大させつつ、価格要因がプラス方向に作用している点が、業種間の違いとして指摘できます。
自動車小売業の過去の動きを見ても、平成26年4月の消費税率引上げ分で価格が前年同期比で上昇した時期を除き、価格要因は目立つ寄与を見せていませんでしたが、今期は価格要因の大きさがやや目立ちます。

化粧品・医薬品、織物・衣服・身の回り品の小売業は、ともに数量が押し上げ要因
最後に、非耐久消費財のうち、身の回りの装飾などに関連する化粧品・医薬品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業の動向をみてみます。
平成29年7-9月期の化粧品・医薬品小売業は、前年同期比5.4%上昇、織物・衣服・身の回り品小売業は同3.0%上昇と、両業種ともに数量要因が販売額を押し上げた一方で、価格要因はほぼ無視できるレベルの寄与となっています。
今年1-3月期まで織物・衣服・身の回り品小売業は、約3年間にわたって価格要因がプラス要因で、数量要因はどちらかと言えばマイナス要因でしたが、今年の第2四半期、第3四半期と、数量要因が大きくプラス方向に作用している点に要注目かと思います。

ここまでみてきたように、耐久消費財、非耐久消費財(飲食料品を除く)の販売においては、数量要因が前年同期比の上昇を生み出していたことが分かりました。しかも、相対的に数量要因が大きく寄与しているという状況ではなく、上昇寄与のほぼ全てが数量要因となっています。
平成29年7-9月期の小売販売をみると、個人消費において、少し購入量が動き始めたとまとめても良いのではないかと思います。
- ミニ経済分析「平成29年7-9月期小売販売を振り返る」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20171215minikeizai.html
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