店舗数の減少によって低迷する百貨店に対して、総合(大型)スーパーは事業所数、1事業所当たり販売額ともに上昇と、大規模小売店で明暗。 2017年12月15日
- 店舗数減少によって百貨店販売額は低迷、事業所の集約が継続
- 主要商品カテゴリーの販売が不振だった百貨店
- 店舗数増に加え、1事業所当たり販売額も増加に転じた総合(大型)スーパー
- 総合(大型)スーパーは、飲食料品などが全体をけん引
店舗数減少によって百貨店販売額は低迷、事業所の集約が継続
平成29年7-9月期の百貨店販売額は、前年同期比マイナス0.2%と、7期連続の低下となりました。販売額低迷の要因をみると、店舗数減少の影響が大きく、1事業所当たりの販売額の上昇を打ち消しています。
百貨店業界においては、引き続き事業所の集約化が続いているようです。

主要商品カテゴリーの販売が不振だった百貨店
百貨店販売額の商品別構成比を確認すると、飲食料品が4,405億円で29%、「婦人・子供服・洋品」が3,246億円で22%と、トップカテゴリーはデパ地下たる飲食料品となっています。ただ、「紳士服・洋品」、その他の衣料品まで含めた衣料品全体は4,457億円と、若干飲食料品を上回りますが、飲食料品と衣料品の構成比はほぼ同じで、それぞれが全体の3分の1ずつの規模となっています。

百貨店販売額の変動に対する商品別の影響度合いをみると、今年7-9月期は、「婦人・子供服・洋品」、飲食料品の低下寄与がともに大きくなっています。先ほど確認したように、百貨店販売の主力カテゴリーのツートップが販売額低迷の主要因となっている構図です。
他方、前年と比べて落ち込んでいる商品が多い中、唯一、今年に入って、前年水準を上回っているのが「その他の商品」です。このカテゴリーには、化粧品や貴金属、宝石、時計などが含まれており、インバウンドを含めて好調な売れ行きを見せているようです。
一部に販売好調な分野もありますが、百貨店では、主要商品カテゴリーである衣料品や飲食料品の販売が全体を押し下げていました。

店舗数増に加え、1事業所当たり販売額も増加に転じた総合(大型)スーパー
平成29年7-9月期の総合(大型)スーパー販売額は、前年同期比1.1%上昇と、2期連続の上昇となりました。総合(大型)スーパーの事業所数は増加傾向で推移しており、今期は1事業所当たり販売額も前年同期比で上昇しています。
1事業所当たり販売額が足を引っ張った今年上期とは変わって、総合(大型)スーパーでは店舗の効率性が多少なりとも回復していきている印象です。

総合(大型)スーパーは、飲食料品などが全体をけん引
総合(大型)スーパー販売額の商品別構成比を確認すると、主力の飲食料品が2兆4,202億円で75%と、ほぼ「食品スーパー」といえる状況です。
ちなみに、コンビニエンスストアの食品販売額は2兆271億円と、総合(大型)スーパーに匹敵する水準に近づいています。

総合(大型)スーパー販売額の変動に対する商品別の影響度合いをみると、今年7-9月期が前年比プラスとなった主な要因は、飲食料品販売に加えて、少し寄与は落ちますが、化粧品などを含む「その他の商品」の上昇でした。これら2商品は、2期連続の前年同期比プラスで、プラス幅も拡大しています。
他方、「婦人・子供服・洋品」は、引き続き前年同期比マイナスが続き、総合(大型)スーパー販売額においても「重石」になっています。

このように、販売額構成比でみても、前年同期比の寄与でみても、総合(大型)スーパーが食品スーパー化している様相が見えてきます。「デパ地下」不振のデパートとは好対照の結果でした。
また、デパート、総合(大型)スーパーといった各種の商品を扱う小売業態において、「婦人・子供服・洋品」の不振が顕著であるという特徴を見いだせます。
- ミニ経済分析「平成29年7-9月期小売販売を振り返る」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20171215minikeizai.html
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