平成29年7-9月期の専門量販店では、勢いのある家電大型専門店、ドラッグストアに対し、ホームセンターの弱さが目をひく。 2017年12月15日
経済産業省の商業動態統計では、専門量販店として、家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンターの商品カテゴリー別の販売額も調査しています。この調査結果を用いて、買い物先として、すっかり定着している専門量販店の今年7-9月期の販売動向を見ていきます。
昨年、一昨年と変わって、今年の家電大型専門店には勢いあり
平成29年7-9月期の家電大型専門店販売額は1兆1,320億円で、前年比5.8%の増加となりました。今年上期(1-6月期)の販売額が前年同期比1.3%上昇であったことと比べると、プラス幅がかなり大きくなっています。ここ2年(平成27・28年<通年ベース>)は前年比マイナスが続いていたことから見ると、今年の家電大型専門店には勢いがあり、更にその勢いが加速しているとも言えそうです。
その販売額の前年同期比上昇幅に対する商品別寄与度を見ると、最も上昇に寄与しているのは、販売額に占める構成比が最も大きい「生活家電」で、その販売額は前年比は5.4%の上昇でした。上昇寄与の2番目は、構成比4位で住宅設備関連が多く含まれる「その他」で、前年比は14.9%でした。
逆に、低下に寄与しているのは、構成比5位の「通信家電」(携帯電話等)と、同3位の「AV家電」で、特に「通信家電」は、5四半期ぶりに前年同期比がマイナス1.9%の低下となり、家電大型専門店の今年の勢いに少し水を差した格好です。

ドラッグストアなのに食品販売額が好調で、従来の勢いを取り戻す
ドラッグストア販売額は1兆5,452億円で、前年同期比6.5%の増加となりました。ここ2年、前年比6%を超えるプラスが続いたにもかかわらず、今年上期は前年比4.3%と伸び幅が縮小する動きが見られましたが、7-9月期には、従来の上昇レベルを回復しました。
ドラッグストアで、販売額に占める構成比が最も大きいのは、実は「食品」です。7-9月期の販売額は4,181億円(健康食品を加えると4,718億円)と、飲食料品小売販売全体11兆円に占める割合は大きくはありませんが、前年比9.0%と大きく伸びている販売ルートです。ドラッグストア販売額前年比に対する商品別寄与度を見ても、最も上昇に寄与しているのはやはりこの「食品」でした。
次に上昇に寄与しているのは、構成比で3番目(2,344億円)の「ビューティケア(化粧品・小物)」でした。前年比も7.0%と大きく伸びています。化粧品は百貨店でも売れていると言われ、国内生産も活発になっており、同様の傾向を、ドラッグストアでも見ることができます。
「ドラッグ」ストアなので、医薬品の販売額もみてみると、いわゆる一般薬であるOTC(Over the Counter)医薬品の販売額が2,163億円、調剤医薬品が962億円と、OTC医薬品が倍以上の販売額となっています。調剤医薬品は、昨年度の薬価改定以降伸び悩んでいましたが、7-9月期の前年比は6.7%の上昇となっており、その影響も緩和されてきたようです。ただ、来年4月にも薬価改定が予定されているので、その影響がどのように出てくるかは注目です。一方、OTC医薬品の伸びは安定した上昇基調と言えるかと思います。

ホームセンターは、かろうじて前年比プラス
ホームセンターの販売額は8,192億円で、前年同期比0.1%と、5四半期ぶりに、かろうじて前年水準を上回りました。振り返ると、平成27年は前年比マイナス、平成28年も、プラスではありましたが、他の業態と比べると小幅のプラス幅でした。ホームセンターのここ数年の動きからは、勢いがあるとは言い難い業態と言えそうです。
販売額に占める構成比が大きいのは、「家庭用品・日用品」(1,923億円)、「DIY用具・素材」(1,684億円)、「園芸・エクステリア」(1,195億円)です。
7-9月期の販売額の変動に対する、商品別寄与度で見ると、「カー用品・アウトドア」が低下に寄与したものの、衣料品や食品などを含む「その他」と、「家庭用品・日用品」の上昇寄与度が大きく、全体として1年以上ぶりにかろうじて前年同期比プラスとなったのは、先に述べたとおりです。
ホームセンターの販売額に占める構成比が最も大きい「家庭用品・日用品」というカテゴリーは、ドラッグストアと重なる商品領域でもあり、競合が多い流通ルートだと言えます。そのため、ホームセンターの中でも大きく伸びる分野ではないのかもしれません。
さらに、平成26年の全国消費実態調査では、インターネットを利用した商品購入に占める割合が4番目に高いのが、「家事・家具用品」(2人以上の世帯についての結果による、1位から3位は「教養娯楽」、「食料」、「被服及び履物」)となっていることから、ホームセンターの主力商品の「家庭用品・日用品」の購入ルートとしては、ネット経由も重要ということになるようです。
7-9月期の「家庭用品・日用品」の販売額は5四半期ぶりに前年同期比上昇とはなりましたが、店舗数で見ると、ドラッグストアの14,693店に対し、ホームセンターは4,291店と3分の1以下となっており、より利便性の高いネット通販やドラッグストアとの競合で、同分野の販売額の推移は、今後も厳しいのかも知れません。

- ミニ経済分析「平成29年7-9月期小売販売を振り返る」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20171215minikeizai.html
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