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10月の全産業活動指数は、前月比0.3%と2か月ぶりの上昇、指数値は105台に復帰し高水準を維持。上昇寄与が大きかったサービス産業には、天候や総選挙といった一時的要因の影響も見られるが、全産業活動全体の基調は、高い水準での安定的推移と評価。 2017年12月20日

10月は前月比上昇、指数水準は105台に復帰

平成29年10月の全産業活動指数は、前月比0.3%と2か月ぶりの上昇、先月の落ち込み分を完全に取り戻すには至りませんでした。ただ、指数値は105.0となり、先月は割り込んだ105台の水準へ1か月で復帰しました。今年4月に、前年度に比べて大きく伸びた分の好影響が、10月もなお続いています。

10月はサービス産業活動が久しぶりに全体の上昇の主役

10月の結果を産業別にみると、サービス産業活動、鉱工業生産は前月比上昇、建設業活動は前月比低下となりました。

10月の鉱工業生産は前月比0.5%と、このところの動きからすると小幅な上昇幅となりました。輸送機械工業、電気機械工業など16業種中9業種が前月比上昇、7業種が前月比低下でした。

サービス産業活動は、10月は前月比0.3%の上昇となりました。「情報通信業」など6業種が上昇しましたが、台風など荒天の影響を受けた生活娯楽関連サービスなど5業種が低下しました。

建設業活動は、10月は前月比マイナス0.3%の低下となりました。民間発注工事では建築(住宅、非住宅)は上昇でしたが土木工事は低下、公共機関発注工事では建築は低下で土木は微増でした。

10月のサービス産業への台風のマイナス・インパクト

10月の全産業活動指数の前月比上昇には、サービス産業活動の上昇の動きが最も大きく寄与しました。このサービス産業活動の動きには、今年10月固有の一時的な要因が含まれています。

そこで、イレギュラー要素が影響した可能性がある事業を見つけてみたいと思います。具体的には、月次指数そのままと傾向値としての後方3か月移動平均値の差分を計算し、9月の差分と10月の差分を比較し、10月の差分が相当程度大きい場合に、その指数の事業(系列)には、イレギュラー要素があっという簡易的な方法で確認したいと思います。

まず、第1の一時的要因は、「台風などの荒天要因」です。10月に2週連続で台風が週末を襲いましたが、その影響を多大に受けたとみられる「し好的個人向けサービス」について、下の折れ線グラフでその影響度合いを見てみます。すると、10月の指数値は傾向値よりもかなり小さくなっており、その乖離度合いは9月のものと比べて、相当大きくなっています。やはり、し好的個人向けサービスは、マイナス方向の大きなインパクトを受けていたようです。

この「し好的個人向けサービス」の内訳事業の動きをみてみます。下の棒グラフをみると、特に強い傾向値からの落ち込みを見せたのは、遊園地・テーマパーク、競馬場、ゴルフ場、ゴルフ練習場、写真業などで、傾向値を上回っていたのは、映画館、自動車レンタル、宿泊、ボウリング場などでした。このプラス方向へのインパクトについては、韓国の旧盆「秋夕」が絡んだ大型連休によるインバウンド効果もあったと言われています。

10月のサービス産業への総選挙のプラス・インパクト

次に、第2の固有の要因は、「衆議院総選挙」です。この影響を多大に受けたとみられるのは「非製造業依存型事業所サービス」です。この指数の折れ線グラフをみると、9月の指数は傾向値とほぼ一致しますが、10月の指数は傾向値よりもかなり高い値となっています。やはり一時的なプラス方向へのインパクトを受けたようです。

この「非製造業依存型事業所サービス」のうち、総選挙の影響を受ける可能性がある事業をピックアップしてみました。

下の棒グラフをみると、新聞広告やインターネット広告など多岐にわたる広告業務において、プラス方向への強いインパクトを見出すことができます。金融商品取引の一部である流通業務においても、投資家マインドが総選挙前後の株取引に少なからず影響を受けたと一般的に言われていたことはご案内のところです。

主役の交代はあるが、全産業活動では高い水準での安定的推移が続く

10月の各指数の基調判断は、鉱工業生産は「持ち直しの動き」、サービス産業活動は「高い水準で横ばい」としています。他方、建設業活動は、単月の前月比低下幅は小さいとはいえ、指数値では直近ピークの5月の水準から7ポイント以上も下降しており、年度明け以降の「上昇の勢い」は無くなった感はあります。今年前半の全産業活動のけん引役は鉱工業でしたが、10月はサービス産業にその役回りが移ったようです。

全産業活動全体の動きは、9月の3産業揃っての前月比低下から、10月の上昇に転じ、指数値も高い水準である105台となりました。

よって、今年10月の全産業活動は、基調的には、高い水準で安定的に推移していると評価しています。

 

 

全産業活動指数 結果概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2010_201710j.html
就活でもない、終活でもない「全活」(全産業活動指数を紹介するムービー)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170602zenkatu_umekomi.html

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