平成29年11月、生産は2か月連続の前月比上昇、実は、これは今年初めて。出荷も前月比上昇、在庫は前月比低下。生産指数レベルも、前の景気循環のピークを越えてきている。 2017年12月28日
11月生産は前月比0.6%上昇、今年初めての2か月連続上昇
平成29年11月の鉱工業生産は、季節調整済指数103.6、前月比0.6%上昇と2か月連続の上昇となりました。前年同月比は3.7%上昇で、13か月連続で前年同月比上昇が続いています。今年に入って、鉱工業生産の前月比は、「上昇しては低下する」を繰り返しており、実は、生産が2か月連続で前月比上昇するのは、今年初めてでした。
本年第3四半期のレベルと比較して、10月、11月とも高い水準で進んでおり、12月に相当大きく前月比が低下しない限り、第4四半期も前期比上昇を期待できるのではないかと思います。

前の景気上昇期の水準を超えてきている
10月、11月の生産指数は、2か月連続で103を突破しています。
現在の景気基準日付では、平成21年3月から24年3月の「山」を挟み、同年11月までが一つの景気循環になっていますが、この循環中の生産指数の上限が、平成23年2月の102.7という水準でした。
現在の景気拡大局面においても、その水準を超えられずに推移しており、102.7を超えたのは、消費税率引上げ直前の平成26年1月(103.2)、今年4月(103.8)、8月(103.5)でした。このように単月だけ、その水準を超えることがあっても、それが続くことはありませんでした。
しかし、10月、11月の生産指数は103台となっており、やっと継続的に先の景気循環のピーク値を上回るという状態が現れたということになります。

鉱工業出荷は3か月ぶりの前月比上昇
11月の鉱工業出荷は、指数値101.3、前月比2.4%と3か月ぶりの前月比上昇となりました。10月の出荷指数のレベルは、今年の第2、第3四半期の水準から比べると大分低くなっていましたが、その分、11月の上昇幅が大きめとなっています。10月と11月の出荷指数の平均は、第3四半期に近いレベルに戻っており、12月の出荷が11月のレベルをある程度維持できれば、第4四半期も前期比プラスとなる可能性も出てきました。

在庫も3か月ぶりに前月を下回った
11月の鉱工業在庫は、指数値109.6、前月比マイナス1.0%と3か月ぶりの前月比低下となりました。
10月は、台風の影響で一部品目における出荷作業の滞りなどもあって、在庫指数は今年の4月、5月の高いレベルにまで積み上がりました。しかし、11月は、在庫積み上がりの勢いは一旦止まったようです。
10月と11月の平均を第4四半期の速報値として、在庫循環図を書いてみると、「在庫積み増し局面」を一気に進んでいます。この傾向でいけば、平成28年第1四半期以来、7四半期ぶりに四半期末在庫が前年同期末比でプラスになる様相です。こうなると、来年どういうタイミングで「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に移行してしまうのかがポイントになってくるかと思います。

11月の鉱工業生産は、今年初めて2か月連続で前月比上昇となり、出荷も3か月ぶりの前月比上昇となって、在庫も3か月ぶりに前月比マイナスとなりました。ただ、在庫水準は、前年レベルを上回っており、在庫循環も大きく進行しています。
生産のレベル感は高くなっていますが、年明け以降、在庫循環の進行が、どうなっていくのかが、ポイントになってくるかと思われます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201711s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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