主要仕向け先全ての出荷が前月比上昇となった平成29年11月の輸出向け出荷。はん用・生産用・業務用機械工業や輸送機械工業がけん引、設備投資財に対する外需は、リーマンショック前の水準に。 2018年1月10日
11月の輸出向け出荷は、3か月ぶりの上昇
平成29年11月の輸出向け出荷は、前月比9.1%と3か月ぶりの上昇となりました。国内向け出荷も前月比1.3%と3か月ぶりの上昇となっており、11月の出荷は、内外需とも好調でした。寄与としては、輸出向け出荷の上昇寄与が大きくなっています。

11月の輸出向け出荷指数の前月比上昇幅も大きく、9月、10月の連続低下分を回復し、11月の指数値は111.0と、連続低下前の8月の指数値108.2も上回っています。
輸出向け出荷指数が110の水準を超えるのは、平成27年1月以来です。そもそも、この一時的な上昇を除くと、輸出向け出荷指数が110の水準だったのは、平成20年7月までです。つまり、輸出向け出荷指数110というのは、世界貿易が大きく縮小した、いわゆるリーマンショック前の水準ということになります。
12月以降、輸出向け出荷指数が110を超える状態が継続すれば、いよいよリーマンショック前のレベルへの「回帰」を論じることが可能となってくることになります。

10月の輸出向け出荷指数が2か月連続で低下となったことから、平成29年第4四半期の輸出向け出荷指数の水準が気になるところではありましたが、10月、11月の平均は106.4となり、第3四半期の105.5を上回りました。3か月後方移動平均で均した動きを見ても、上昇基調に回帰していることが分かります。
平成29年第4四半期の外需向け出荷も2期連続の前期比上昇を期待しても良さそうです。
輸出向け出荷は、ほぼ全ての業種で前月比上昇
11月の輸出向け出荷の業種別の動きをみると、14業種中12業種とほとんどの業種が前月比上昇となりました。上昇寄与が特に大きかったのは「はん用・生産用・業務用機械工業」と輸送機械工業の2業種でした。10月の輸出向け出荷では、低下業種がほとんどでしたので、大きく反発したと言えると思います。
上昇寄与が特に大きかったのは、3か月ぶりに前月比上昇となった「はん用・生産用・業務用機械工業」(前月比11.5%)で、半導体・フラットパネル製造装置やボイラ・原動機などの上昇によるもので、続いて、2か月連続して上昇となった「輸送機械工業」で、自動車部品や乗用車などの上昇によるものでした。なお、電子部品・デバイス工業も寄与は相対的に小さいものの、3か月ぶりに前月比8.6%と上昇となっています。

設備投資向け製品に対する外需が、リーマンショック前の水準に
輸出向け出荷の需要先別用途別分類(財別分類)では、企業の中間投入となる生産財の輸出向け出荷が前月比8.5%と2か月ぶりの上昇となりました。自動車部品や電子部品に対する外需が旺盛でした。
最終需要財では、消費財の輸出向け出荷も前月比プラスではありましたが、投資財の前月比上昇寄与が大きくなっています。この結果、最終需要財の輸出向け出荷は2か月連続で前月比上昇となりました。
投資財の中では、企業の設備投資に用いられる輸送機械を除く資本財の輸出向け出荷が、前月比9.2%と2か月連続の上昇となりました。その指数値140.0は、平成20年1月の指数値136.0を超えて、現在の平成20年基準指数として最高値になりました。文字通り、日本の設備投資財に対する外需が、リーマンショック前のレベルに戻ってきています。

主要地域向け出荷のすべてで前月比上昇
11月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、主要地域向け出荷のすべてで前月比上昇となりました。

特に、米国向け出荷が前月比14.7%上昇、中国向け出荷が前月比6.6%上昇と、輸出向け出荷のけん引役となりました。上昇寄与の大きかった輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業、輸送機械を除く資本財では、米国向け出荷の上昇寄与が大きくなっています。他方、原材料系である電子部品・デバイス工業や医薬品を除く化学工業では、中国向け出荷の上昇寄与が大きくなっています。ただ、米国向けの自動車部品の出荷も旺盛であったことから、鉱工業用生産財では、米国向け、中国向けの両方の上昇寄与が大きいという結果となりました。

- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-201711.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html
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