伸び幅をさらに拡大させた29年第3四半期の訪日外国人消費指数。今期の上昇はアジアからのお客様の消費行動による影響が大きい。 2018年1月26日
訪日外国人消費指数(TCI)とは、訪日外国人の消費金額を、消費者物価指数を用いて実質指数化したものです。費目ごとに実質化することにより、日本国内の価格変化の影響を除外した動きを見ることができるようになります。
訪日外国人の消費金額については、訪日外国人消費動向調査(観光庁)の訪日客1人当たりの費目別売上高に、訪日外客数(日本政府観光局)を乗ずることで算出しています。
また、費目ごとの実質指数を加重平均するウェイトは、サービス産業(第3次産業)活動指数と比較できるウェイトとして算出しており、国内のサービス産業の動向と訪日外国人消費の動きの関係を分析できるように設計しています。また、試験的に季節調整を施しているので、前年比だけではなく、四半期の前期比も計算でき、足元の動きの方向感も見定めることができるようにしています。

今回、平成29年第3四半期の訪日外国人消費指数(TCI)の結果がまとまりましたので、そのポイントをご紹介していきます。
29年第3四半期は前期比10.9%と4期連続の上昇
平成29年第3四半期に日本を訪れた外国人の数は744万人と、過去最高記録を打ち立てました。訪日外国人旅行消費額も、1兆2,305億円、前年同期比26.7%と大きく上昇し、こちらも過去最高値を更新しています。1人当たりの旅行支出額は、29年第2四半期までは低迷していましたが、今期は同6.6%と7期ぶりの上昇となりました。
これらのデータを実質化するなどして作成した29年第3四半期の訪日外国人消費指数は、平成22年=100とした指数値で371.9、前期比10.9%と4期連続の上昇となりました。27年後半から28年にかけて横ばいの状態となっていた訪日外国人消費指数ですが、29年に入ってからは安定的に上昇し、足元第3四半期は、その上昇角度をさらに上げています。

7-9月期は訪日外国人消費が対個人サービスを支えていた
次に、この訪日外国人消費が国内のサービス産業にどれ位のインパクトを持っていたのかをみるために、第3次産業活動指数の広義対個人サービスの前期比の動きに対する訪日外国人消費指数の影響度合い(寄与度)の推移をみてみます。

訪日外国人消費指数は、第3次産業活動指数の広義対個人サービスの前期比変動に対し、23年第3四半期以降、28年第1四半期まで、プラスの貢献をし続けていました。28年第2四半期から2期連続でマイナスに転じましたが、その後再びプラスとなり、足元29年第3四半期は、対個人サービスが前期比横ばいだったにもかかわらず、訪日外国人消費指数は0.13%ポイントのプラス寄与と、その影響度合いはひときわ高くなりました。当期は、国内居住者による個人サービス消費の不振を、訪日外国人の消費行動が補ってくれていたといえるでしょう。
29年第3四半期はアジアからのお客様の影響が大きい
29年第3四半期の訪日外国人744万人のうち、アジアからの訪日客は617万人、欧米からの訪日客は61万人でした。また、旅行消費額1.2兆円のうち、アジアからの訪日客による消費額は9,683億円、欧米からの訪日客による消費額は1,199億円でした。この数値だけを見ても、アジアからの訪日客による影響の大きさがよくわかります。
訪日外国人消費指数全体の前期比変動に対するアジア指数と欧米指数の寄与をみると、29年第3四半期は、全体の前期比10.9%上昇に対し、アジアは9.38%ポイントと、アジアが上昇寄与の約9割を占めました。一方、欧米はマイナス0.51%ポイントの低下寄与となっています。第2四半期には、訪日外国人全体の前期比上昇に対するアジアと欧米の上昇寄与は同程度でしたが、こと第3四半期においては、全体の前期比上昇は、アジア指数の大きな上昇寄与によるものでした。

引き続き、訪日外国人消費の伸びの主役は、「アジアからのお客様」でした。また、このアジアからのお客様の旺盛な消費活動が、2017年第3四半期に、日本居住者の消費の「落ち込み」をカバーし、対個人サービスを前期比横ばいにしていたことになります。
費目別での訪日外国人消費指数の推移のほか、消費額の上位5カ国・地域の消費指数も試算してみましたので、是非、下記のリンクからスライド資料にお目通しください。
- ミニ経済分析「2017年第3四半期の訪日外国人消費指数の動きと上位5カ国・地域からの訪日客の消費動向」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20180126minikeizai.html
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