悪天候などで国内居住者の宿泊利用が低下する中、訪日外国人の宿泊料金支出は3期連続で上昇、この上昇はアジアからのお客様の支出増加によるもの。 2018年1月29日
訪日外国人の消費金額を、消費者物価指数を用いて実質指数化し、訪日外国人の国内での旅行消費の動向を指標化した「訪日外国人消費指数(TCI)」のうち、宿泊料金指数の平成29年第3四半期の結果を紹介します。
訪日外国人の宿泊料金は3四半期連続で前期比上昇
平成26年後半から堅調に推移してきた訪日外国人の宿泊料金指数は、28年第3、第4四半期に2期連続の低下をみせましたが、その後は再び上昇し、29年第3四半期は前期比13.6%と、3期連続の上昇となりました。29年に入ってからの宿泊料金指数の伸びは著しく、第3四半期の指数値は314.1と300台に突入し、過去最高値を更新しました。
29年第3四半期の買物代指数の動きについて、「アジア」と「欧米」からの訪日客ごとに確認してみます。
アジア指数は、指数値346.2、前期比18.1%と3期連続の上昇となりました。全体指数同様、当期は過去最高の指数値です。
欧米指数は、指数値170.5、同マイナス7.8%と4期ぶりの低下となりました。29年第2四半期まで3期連続の上昇と好調に推移していた欧米指数ですが、当期はその勢いが途切れてしまいました。

第3四半期の宿泊業は、訪日客需要の上昇により低下幅が小さく
続いて、国内の宿泊業の前期比変動に対する宿泊料金指数の寄与(影響度)はどのようになっているか、みてみましょう。
訪日外国人の宿泊料金指数は、28年後半に国内宿泊業の変動に対しマイナス寄与をみせることもありましたが、それ以外の時期はおおむね、前期比プラス寄与で推移しています。29年第3四半期は国内宿泊業指数の前期比マイナス5.2%低下に対し、訪日外国人の宿泊料金指数はプラス2.39%ポイントと上昇に大きく寄与しました。当期は、訪日外国人の宿泊支出の伸びが、国内居住者の宿泊利用の低下による宿泊業の不振を、プラスにするほどではないにしても、相当程度カバーしてくれていたことになります。29年に入って、訪日外国人の宿泊需要は、国内宿泊業に対し大きな影響力を持っていたようです。

欧米客の低下寄与を、アジア客の上昇寄与が大きく上回る
訪日外国人全体の宿泊料金指数の変動に対する、「アジア」と「欧米」からの訪日客ごとの影響度(寄与)をみてみましょう。
29年第3四半期の訪日外国人全体の宿泊料金指数の前期比13.6%に対し、アジア指数はプラス10.65%ポイントの上昇寄与、一方、欧米指数はマイナス1.28%ポイントの低下寄与となりました。28年第4四半期以降、好調に推移していた欧米指数は、当期は一転、前期比マイナスに逆戻りしてしまいました。欧米からのお客様による低下寄与幅を、アジアからのお客様の上昇寄与が大きく上回って、当期の宿泊料金指数は上昇することになりました。

2017年第3四半期の国内宿泊業の動向では、日本居住者の宿泊需要が前期比で大きく低下していました。ご案内のように、2017年8月は悪天候によって日本人の旅行需要は減退していました(第3四半期の観光関連産業活動指数は前期比マイナス1.8%と4期ぶりの低下)。併せて、欧米からの訪日客の宿泊支出の低下にも見舞われました。これらの結果、宿泊業活動指数は大きな前期比低下となりました。
この状況の元、アジアからの訪日客の大きな前期比プラスが、宿泊業の落ち込みを緩和してくれていました。アジアからのお客様のニーズに、宿泊という面でも対応することの需要性を再認識させられる結果ではないでしょうか。
- ミニ経済分析「2017年第3四半期の訪日外国人消費指数の動きと上位5カ国・地域からの訪日客の消費動向」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20180126minikeizai.html
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