サービス産業活動は前期比0.6%と2期ぶりに上昇、指数水準は現行基準で歴代2位と高い水準に。卸・小売を除いたサービス産業活動指数は現行基準の過去最高水準を記録。 2018年3月2日
- サービス産業活動は2期ぶりに上昇、指数水準は歴代2位
- 卸売業、金融業,保険業などが全体をけん引
- 卸・小売業を除いたサービス活動指数は、現行基準で過去最高水準
- インフラ型サービス、財の取引仲介型サービスは2期ぶりの上昇
経済解析室で毎月作成している鉱工業指数や第3次産業活動指数などの経済指標は、平成29年10-12月期にどのような動きを見せていたのでしょうか。
今回は、平成29年10-12月期の第3次産業活動指数について、業種別、形態別の動向を確認してみます。
サービス産業活動は2期ぶりに上昇、指数水準は歴代2位
平成29年10-12月期のサービス産業(第3次産業)活動指数は、前期比0.6%と2期ぶりの上昇となりました。
当期の前期比上昇により、指数値は105.3まで上昇し、平成20年1-3月期の105.5に次ぐ現行基準第2位に達しました。過去最高水準も射程圏内に捉えている状況といえます。
平成29年7-9月期は前期比マイナス0.2%と低下しましたが、当期はその低下幅を上回る上昇幅となっており、サービス産業は高い水準での推移が続いています。

卸売業、金融業,保険業などが全体をけん引
サービス産業活動指数は、全体を11の大きな業種に分類しています。平成29年10-12月期は、9業種が上昇、2業種が低下でした。
当期のサービス産業活動全体の前期比上昇への寄与が大きかったのは、卸売業、金融業,保険業、事業者向け関連サービスなどです。
卸売業の内訳系列では、産業機械器具卸売業や自動車卸売業などの上昇寄与が大きく、金融業,保険業の内訳系列では特に金融商品取引の一部である流通業務(株式取引高)の上昇寄与が大きくなっていました。
他方、低下寄与業種は、生活娯楽関連サービス、運輸業,郵便業でした。特に低下寄与が大きかったのは生活娯楽関連サービスでその内訳系列をみると、スポーツ施設提供業やパチンコホールなどの低下寄与が大きくなっています。
低下寄与業種のマイナスは、上昇寄与第1位の卸売業、又は第2位の金融業,保険業の1業種だけでカバーできてしまう程度のものであり、当期のサービス産業は総じて好調な推移であったと評価できます。

卸・小売業を除いたサービス活動指数は、現行基準で過去最高水準
第3次産業活動指数の集計対象には、卸・小売業が含まれています。もちろん、卸・小売業もサービス産業ではありますが、それを需要する動機は、サービスそのものを需要するというよりは、売買の対象となる財・製品に対する需要であり、それ以外のサービス産業とは、需要の主旨が異なります。
そこで、第3次産業活動指数総合から、卸・小売業を除外した、いわば純粋サービス産業活動指数も集計しています。
平成29年10-12月期の卸・小売業を除いた第3次産業活動指数総合は指数値107.9、前期比0.5%と2期ぶりの上昇となりました。サービス全体の前期比上昇幅は、0.6%上昇でしたので、当期は、商業関係とその他のサービスビジネスは、ほぼ同程度の勢いであったということになります。
また、平成29年10-12月期の卸・小売業を除いた第3次産業活動指数総合の指数水準は、現行基準の過去最高水準となりました。前述したように、サービス全体では第2位の水準でしたので、この面からは、商業関係より、商業以外のサービスビジネスの勢いの方が良いということかと思われます。
このため、下のグラフにあるピンクの第3次産業総合の線と、青の卸小売を除いた指数の差は、大きく水準差が開いたままの推移となっています。

インフラ型サービス、財の取引仲介型サービスは2期ぶりの上昇
事業者関連サービスを除く、10業種を「インフラ」「財の取引仲介」「生活関連」の3形態に分類した指数の動きを見てみます。
平成29年10-12月期は、インフラ型サービス、「財の取引仲介型」はともに2期ぶりの前期比上昇でしたが、「生活関連型」は2期連続で前期比低下となりました。
特に、卸小売を含む「財の取引仲介型」サービスは、当期は上昇となりましたが、他の2形態と異なり、低空飛行を続けています。インフラ型、生活関連型サービスが、ともに基準年のレベルを10%近く上回っていることとの比較で、財需要から派生するサービスの勢いが相対的によくないことは否定できないものと思われます。

- ミニ経済分析「鉱工業指数と第3次産業活動指数からみた平成29年10-12月期の産業活動」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20180302minikeizai.html
- 鉱工業指数と第3次産業活動からみた産業活動と関連する分析のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-sankatsu.html
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