卸小売といった商業関係が不振だった2018年1月の業種別のサービス産業の動き。生活娯楽関連や不動産には、反動増に留まらない、少し上向きの動きも。 2018年3月13日
形態別サービス指数の前月比
1月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値105.2、前月比マイナス0.6%と4か月ぶりの低下でした。昨年11月は前月比1.1%上昇、12月は前月比横ばいと高い水準が続き、そこから若干の低下でした。ただ、指数値自体は、105台という指数水準を維持しています。
このサービス産業(第3次産業)活動指数の大分類11業種のうち、多様なものが含まれる事業者向け関連サービスを除く10業種を、その形態・性質で3種類に分類して、その推移を見ることができます。
1月の「インフラ型サービス」活動指数は前月比0.7%と2か月ぶりの前月比上昇、「財の取引仲介型サービス」活動指数は前月比マイナス1.9%と3か月ぶりの前月比低下、「生活関連型サービス」活動指数は、前月比マイナス0.3%と3か月ぶりの前月比低下となりました。

商業関係の不振を純粋サービスが補完
形態別指数のうち、前月比低下幅が大きく、サービス産業全体の低下に対する寄与が大きかったのは、「財の取引仲介型サービス」でした。この形態指数を構成する4業種のうち、不動産業は前月比上昇でしたが、他の卸売業、小売業、物品賃貸業が前月比低下でした。物品賃貸業の低下寄与は非常に小さいことから、卸小売の2業種のサービス全体に対する低下寄与をみると、マイナス0.72%ポイントで、サービス全体の低下幅マイナス0.6%を超えています。

このため、いわば純粋サービスともいうべき、「卸売業、小売業を除いた第3次産業活動指数」は、前月比0.3%上昇で、2か月ぶりの上昇となっています。昨年11月に第3次産業活動指数総合は大きく上昇し、12月は高い水準で横ばいでしたが、12月の水準が維持されたのは、商業関係に勢いがあったからでした。
年明け1月は、この商業関係の不振を、「純粋サービス」が補っているということになります。

製造業の大幅低下が、卸売業の低下につながった
1月の業種別の動きをみると、全11業種のうち、6業種が低下業種、5業種が上昇業種でした。低下寄与が大きかった業種は、卸売業、「医療,福祉」、小売業でした。逆に上昇寄与が大きかった業種は、生活娯楽関連サービス、「金融業,保険業」、情報通信業などでした。
前月比低下幅がサービス産業活動の変動としては、比較的大きかった割には、上昇業種と低下業種の数がきっ抗していました。低下寄与において、卸売業等上位業種の低下寄与幅が大きかった一方で、上昇業種については、薄く広く上昇しており、突出して大きく上昇した業種がなかったことの結果です。

その特に大きく低下している卸売業活動指数は、指数値94.3、前月比マイナス4.1%と3か月ぶりの低下で、低下幅も大きなものとなりました。昨年からの卸売業活動指数の推移を見ると、昨年1、2月の91台という低い水準から年の半ばに95台に回復し、年末12月には突然98.3という、高い水準となりました。そこから、一気に94台という平成29年平均の水準にまで落ち込んでいます。
卸売業では、電気機械器具卸売業などを除いた内訳系列の多くが前月比でマイナスとなっています。特に、産業使用者向け卸売業が前月比マイナス3.9%と大きく低下していました。1月は、鉱工業生産、そして鉱工業出荷指数も大きなマイナスで、卸売業の不振には、製造業の活動の大きな低下が響いていることになります。

反動増のみではなく、生活娯楽関連や不動産では上向きの動きも
1月の上昇寄与業種となった5業種については、寄与的には、薄く広く上昇寄与を見せており、全て先月12月に低下した後の前月比上昇です。とはいえ、5業種全てを一律に「12月からの反動増」と評価することはできません。
生活娯楽関連サービス、不動産業は、12月の落ち込み幅を1月の上昇幅が大きく上回っています。他方、「金融業,保険業」と情報通信業は、12月の落ち込み幅が大きく、1月の上昇幅はそれをカバーするような大きさとなっていませんでした。前月が悪かったために、そこから上昇している(ように見える)という意味での「反動増」は、「金融業,保険業」と情報通信業の2業種だけと言えるでしょう。
生活娯楽関連サービスや不動産業は、むしろ少し上向いてきているという評価もできるのかもしれません。し好的個人向けサービスでは、首都圏のマンション分譲業(不動産業)、外食サービス(生活娯楽関連サービス)がけん引役でしたが、業種面での動きからも、し好的サービスの復調を見ることができるようです。


- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-201801.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
本経済解析室ニュースは印刷用のPDFでも御覧いただけます。
印刷用ファイル
をダウンロードして印刷してください。
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2854)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)