平成30年1月の全産業活動指数は、4か月ぶりに前月比低下、指数値は連続上昇前の104台半ばまで急降下。鉱工業生産や商業が全体の大幅低下に寄与。 2018年3月22日
- 1月は4か月ぶりの前月比低下、低下幅は続伸した3か月間の上昇分合計に匹敵
- 鉱工業生産とサービス産業が低下、鉱工業生産が全体の低下に強く影響
- 1月の大幅低下、鉱工業生産の不調がサービス産業活動にも影響
- 平成30年1月の全産業活動は、緩やかな持ち直しの動き
1月は4か月ぶりの前月比低下、低下幅は続伸した3か月間の上昇分合計に匹敵
平成30年1月の全産業活動指数は、前月比マイナス1.8%と4か月ぶりの低下、指数値は104.5となりました。
この1月の大きな前月比低下幅と同等レベルの低下は、直近では消費税率改定月となる平成26年4月にまでさかのぼります。これ以前(今基準内、平成20年1月~)では、東日本大震災発生月やリーマンショック直後の数月など、今月の低下幅以上だった月は、決して多くはありません。
1月の指数値は、先月12月の106.4から104.5にまで急降下しました。前月比上昇を続けた昨年10~12月の3か月間で貯金した指数幅は1.8ポイントでしたが、これを上回るマイナス1.9ポイントを単月で使い切った形です。

後方3か月移動平均値も低下に転じました。ただ、その方向変化はそれほど大きなものではなく、基調としてはこれまでの流れから大きく逸脱した、という感じでもありません。
鉱工業生産とサービス産業が低下、鉱工業生産が全体の低下に強く影響
1月の結果を産業別にみると、鉱工業生産とサービス産業活動が前月比低下、建設業活動が上昇でした。鉱工業生産の大幅低下は、全産業活動全体の前月比マイナス1.8%のうち、実にマイナス1.4%ポイントの寄与を占めており、非常に強いインパクトをもたらしました。
1月の鉱工業生産は、前月比マイナス6.8%と4か月ぶりの低下でした。輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業をはじめ16業種全てが前月比低下するなど低調でした。用途別にみても生産財や耐久消費財、資本財など、5つの用途分類(財別分類)のうち4分類の生産が前月比低下でした。
1月のサービス産業活動は、前月比マイナス0.6%と4か月ぶりの低下でした。卸売業、「医療,福祉」、小売業など11業種中6業種が前月比低下、5業種が前月比上昇しました。マイナス幅としては大きめですが、連続上昇した直近3か月間の増加ポイントと併せみれば、反動の動きともみてとれます。
1月の建設業活動は、前月比1.7%と2か月ぶりの上昇でした。内訳事業では5事業全てが上昇、これは建設業活動が活発だった昨年4月以来のことです。

1月の大幅低下、鉱工業生産の不調がサービス産業活動にも影響
1月の全産業活動指数は、前月比マイナス1.8%と大幅な低下、このうちマイナス1.4%ポイントは鉱工業生産の低下によるものでしたが、残りのマイナス0.4%ポイント分を引き下げているのはサービス産業活動です。

このサービス産業活動の低下に一番寄与した卸売業は、サービス産業全体の前月比マイナス0.6%のうちのマイナス0.58%ポイントを占め、ほぼ単独で全体の低下分を説明できるような強い影響をもたらしています。
卸売業のなかでは、原燃料、粗製品などの製造業に中間投入される商品や、産業設備や自動車など企業や家庭での投資に関する商品を取り扱う業種が低下しました。
小売業も、サービス産業全体の前月比低下幅のうちマイナス0.14%ポイントを占め、低下に寄与した第3位の業種となっています。小売業のなかでは、自動車、衣服、飲食料品などを主に取り扱う業種が低下しました。

このように1月の全産業活動の大幅低下には、直接的な要因である「鉱工業生産の低調」に加え、製造業への中間投入品や製造業からの最終製造品などの「鉱工業製造品出荷の低調」による「商品の流通量=商業取引」減少という製造業に起因した間接的な要因も、大きく影響していると言えるでしょう。
平成30年1月の全産業活動は、緩やかな持ち直しの動き
平成30年1月の各指数の基調判断は、鉱工業生産は「緩やかな持ち直し」に下方修正、サービス産業活動は「持ち直しの動き」と判断を据え置いています。
他方、建設業活動は、昨年秋口以降はやや弱含みの動きが続いていましたが、この1月は前月比上昇で、久しぶりに前月の低下分以上の上昇幅をみせており、復調の期待感を持たせるような兆しも見られます。
全産業活動全体では、月単位では4か月ぶりの前月比低下で低下幅は大きく、指数値は104台半ばと昨年4月以降の新年度のなかでは最低値にまで下降しました。ただ、3か月移動平均してみると、この1月時点で「傾向が大きく変化した」とまでは言い切れません。
よって、今年1月の全産業活動の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」と評価したいと思います。
- 全産業活動指数 結果概要
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2010_201801j.html
- 就活でもない、終活でもない「全活」(全産業活動指数を紹介するムービー)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170602zenkatu_umekomi.html
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