平成30年2月の鉱工業生産は、前月比4.1%と上昇、2か月ぶりの上昇。先行きでは、3月、4月と連続の増産計画で、4月の生産計画は、高い水準だった昨年12月の水準を上回る勢い。2月の基調判断は、「生産は緩やかな持ち直し」で据え置き。 2018年3月30日
2月生産は前月比4.1%上昇
平成30年2月の鉱工業生産は、季節調整済指数103.4、前月比4.1%上昇と2か月ぶりの前月比上昇となりました。今年の1月は前月比マイナス6.8%低下と極端に大きな前月比低下幅を見せました。そこからの4.1%上昇ですので、上昇幅としては、多少物足りない面は否定できません。
1月と2月の生産指数の平均値は101.4で、昨年第4四半期の104.3に比べると大分水準が低くなっています。四半期の前期比は、昨年末まで7期連続のプラスでしたが、さすがに今年第1四半期のプラスは難しいと思われます。

2月の鉱工業出荷は、指数値100.4、前月比2.2%と2か月ぶりの前月比上昇となりました。出荷も生産同様に、昨年12月の高レベルと今年1月の急落という動きとなっています。1月の出荷低下幅の前月比マイナス5.7%低下からすると、2月の上昇幅も多少物足りない面は否定できません。
また、昨年12月と今年1月の出荷指数の平均値は101.2であり、これと比較しても2月の指数値が低く、生産に比べると、出荷の回復の勢いは今ひとつという様相です。1月と2月の平均値も99.3と、昨年第4四半期の101.4からは大分見劣りします。

上昇寄与が大きいのは、輸送機械とはん用・生産用・業務用機械
平成30年2月の鉱工業生産では、15業種のうち、11業種が前月比上昇、3業種が前月比低下、パルプ・紙・紙加工品工業が横ばいとなりました。
この2月の生産上昇への影響度、寄与が特に大きいのは、輸送機械工業でした。1月の生産低下の主要因でしたので、その反動で2月の鉱工業生産を押し上げています。
これに次ぐのが、はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業でした。この4業種に次ぐのは化学工業(除.医薬品)ですが、その上昇寄与は、輸送機械工業の寄与の10分の1にも満たないものでしたので、2月の鉱工業生産のけん引役は、輸送から電気までの4業種と言って良いと思います。

3月、4月と増産計画
3月上旬に実施した平成30年3月、4月の生産計画を調査した、生産予測調査の結果です。
3月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比0.9%の上昇を見込むという結果になっています。3月の生産計画は、前回調査の計画から上方修正されており、比較的高めのものとなっています。
この3月計画値に含まれる、バイアスを補正すると、前月比0.5%程度の上昇という計算結果です。2月に続いて増産となる計画の、この3月の生産計画の水準は、調査結果そのままでも、補正計算結果でみても、昨年12月の水準からは、まだ低い状態です。
4月の生産計画は、補正前の3月計画から前月比5.2%上昇するという結果でした。最終的には、来月段階の計画見直しや実績段階で、下方修正されることとなっても、それなりの伸びを見込んでいることになります。
ただ、この4月の生産計画の水準は、昨年12月の水準をかなり上回るものとなっています。比較的高めの生産だった昨年4月の生産実績との比較でも、8.3%増産という計画です。相当、強気の生産計画と言えると思います。

基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」で据え置き
平成30年2月の鉱工業生産は2か月ぶりの上昇でしたが、その上昇幅4.1%は、1月の大きな低下幅からすると、若干物足りないことは否定できません。出荷も2か月ぶりの前月比上昇ではありますが、その勢いは生産に比べると弱く、その結果、在庫は4か月ぶりに上昇となりました。在庫循環も、「在庫積み上がり局面」寸前の状態になっています。
他方、先行きの生産計画では、3月、4月と2か月連続の増産計画で、特に4月の生産計画の水準は、昨年12月の水準をも上回るものとなっています。
こういった状況を踏まえ、基調判断については、「生産は緩やかな持ち直し」と据え置きたいと思います。

- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201802s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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