>>経済産業省ホーム>>利用目的から調べる[統計]>>統計>>
延長産業連関表>>集計結果又は推計結果>>統計表一覧>>1995年産業連関表(延長表)>>2-2.貿易構造の変化が国内生産に及ぼす影響分析

延長産業連関表

2-2.貿易構造の変化が国内生産に及ぼす影響分析

  1. 95年の輸出比率は5.4%であるが、輸出の生産誘発依存度は11.2%となっており輸出の生産に及ぼす影響が大きいことがわかる。
  2. 輸出の商品別構成の変化は、生産誘発額を減少させる方向に作用している。
  3. 輸出の地域別生産依存度をみると、北米が高く、東アジア、アセアン、EUの3地域の依存度は同程度となっている。
  4. 一方、実質輸入額の変動要因をみると、輸入拡大は、「最終需要」部門での輸入品への代替と「中間投入」部門における輸入原材料の投入原単位の上昇の二つの要因によっている。
(1) 産業連関表の輸出入は、普通貿易、特殊貿易、直接購入等から構成されており、95年の総輸出額は47.3兆円、総輸入額は43.0兆円で、輸出比率(総輸出額/総生産額)は、5.4%、輸入比率(総輸入額/需要計)は、4.9%となっている。
(2) 95年の総輸出額 47.3兆円によって直接・間接に誘発された生産額は 99.1兆円で、輸出の生産誘発依存度は 11.2%となっており、輸出需要の国内生産に及ぼす影響が大きいことがわかる。
(3) さらに、普通貿易の輸出額によって、商品別の伸びをみると、「電子・通信機器」「化学製品」等の伸びが高く、「自動車」「民生用電気機械」「鉄鋼」等では減少している。
 このような商品別構成の変化が、国内生産にどのような影響を及ぼしたかを分析すると、90年から95年の5年間の商品輸出(普通貿易)で、生産誘発額は 5.8兆円減少している。この減少額の4分の1が商品構成の変化による生産減少分であり、最近の輸出の商品構成の変化は、生産誘発を低下させる方向に作用していることがわかる。
第2図 商品別輸出の伸び率比較(95年/90年)
商品別輸出の伸び率比較(95年/90年)
(4) どの地域向け輸出が国内生産を誘発しているか、その割合(地域別生産誘発依存度)をみると、北米向けで 3.3%と高いが、東アジア向けで 1.8%、アセアン向けで1.7%、EU向けで 1.6%、その他地域向けで 1.7%となっている。
第4表 地域別輸出額と生産誘発額、同依存度
(単位:10億円、%)
地域 輸出額   地域別輸出による 地域別生産誘発
  構成比 生産誘発額 構成比 依存度(%)
合計 41,523 100.0 89,608 100.0 10.2
 アジア地域 14,919 35.9 30,984 34.6 3.5
   東アジア 7,725 18.6 15,707 17.5 1.8
   アセアン 7,194 17.3 15,277 17.0 1.7
 北米 13,105 31.6 29,229 32.6 3.3
   米国 11,331 27.3 25,263 28.2 2.9
 EU 6,599 15.9 14,289 15.9 1.6
 その他地域 6,900 16.6 15,106 16.9 1.7
  • (注1)この計算の輸出額は普通貿易によっている。
  • (注2)アジア地域は、アセアン(タイ、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、インドネシア)の6カ国と東アジア(韓国、北朝鮮、中国、台湾、モンゴル)の5カ国の合計である。アジアのその他の国は、「その他地域」に含めている。
  • (注3)地域別の生産誘発依存度は、95年の国内生産額、882兆5427億円に対する比率である。
(4) 産業連関表では、輸入は最終需要によって派生的に誘発されたものと考えている。
 90年から95年の5年間で実質輸入額(90価格評価)は、14.7兆円増加している。
 この輸入増加の要因をみると、大きく「最終需要」部門における輸入品の増加と「中間投入」部門における輸入品の投入原単位の高まりの二つの要因によっていることがわかる。
 「最終需要」部門における輸入品の増加は、最終需要の規模の拡大よりも、輸入品の比率の高まりによる寄与が大きいことがわかる。
 また、「生産技術構造の変化による分」は、わずかな寄与ではあるがマイナスとなっている。これは、国産財も含め財の投入原単位が相対的に低下していることを示している。
第5表 輸入の生産誘発要因
(単位:90年価格 10億円、%)
  変化額 寄与率
輸入額(輸入計) (90年〜95年) 14,667 100.0
輸入品投入原単位の変化による分 15,839 39.8
生産技術構造の変化による分 ▲ 334 ▲ 2.2
国産品へ向けられた最終需要の変化による分 1,620 11.0
  国内最終需要向け
輸出需要向け
1,200
420
8.2
2.9
輸入品へ向けられた最終需要の変化による分 7,884 53.8
交絡項 ▲ 342 ▲ 2.3

前のページへ次のページへ