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- 第29回海外事業活動基本調査結果概要-平成10(1998)年度実績-
- 現地法人の費用と利益処分の状況-平成12年6月16日公表-
現地法人の費用と利益処分の状況-平成12年6月16日公表-
海外事業活動基本調査
費用構造
コスト負担ヨーロッパで低下、アジアで上昇
製造業の現地法人費用構造について売上高費用比率(注)で国内法人と比較すると、人件費(給与(注))負担の差が最も大きく5.3ポイント低くなっており、地域別にみると、北米、ヨーロッパは国内法人の7割程度、アジアは4割に満たない。次いで、研究開発費負担の差が2.5ポイント低く、いずれの地域でも国内の1/2以下となっており、研究開発活動は依然として国内を中心としていることがうかがえる。また、荷造運搬費、賃借料負担は各地域で国内法人の1/2程度となっており、これらの差が国内法人より高収益となる要因となっている(第2-(4)-1-1図、-2図)。
費用構造を前回基本調査の95年度と比較すると、98年度にはヨーロッパがすべての費用項目で低下、または横ばいとなっているのに対し、アジアではすべての費用項目が上昇している。また、北米では人件費の1.8ポイント上昇が目立っている(第2-(4)-1-1表)。
- (注)
- ・売上高費用比率=費用/売上高×100
- (各費用と売上高の両方に回答があった企業で計算)
ここでいう「給与」とは「原価に含まれる給与」と「販管費に含まれる給与」を合算したものを指す。
利益処分等の状況
増加に転じた税引後当期利益
98年度の現地法人の税引後当期利益は、9389億円(前年度比20.4%増)であった。これを地域別にみると、北米や前年減益となったアジアが大幅に増加し、前年増益となったヨーロッパが減少している(第2-(4)-2-1図)。
このうち、製造業は3976億円(同42.2%増)と大幅な増加となったが、96年度水準の5割程度にとどまっている。国内法人の税引後当期利益に占める割合は、国内法人が減少したことから34.4%となり、前年度の5.0%から大幅に増加している(第2-(4)-2-1表、第2-(4)-2-2図))。
内部留保額は2562億円(同23.2%減)で、このうち、製造業は76億円とプラスに転じたが、アジアでは ASEAN4 が依然取り崩している(第2-(4)-2-1表)。
製造業の内部留保率(注)は65.1%と、前年に比べ5.3ポイント低下した。これを地域別にみると、ヨーロッパは2年連続で比率を下げたものの71.1%と、北米、アジアに比べ高い比率となっている(第2-(4)-2-1表~3表)。
社外流出額(注)は7784億円となり、このうち製造業は4166億円(同51.6%増)と、5年連続の増加となっている。また、前年度大幅な減少となった非製造業は3618億円(同1606.6%増)と、大幅に増加している(第2-(4)-2-3図)。
業種別にみると、電気機械(1100億円)、化学(1086億円)、輸送機械(725億円)が大きく、これらの業種では前年度を大幅に上まわっている(第2-(4)-2-4図)。
- (注)
- ・内部留保率=当期内部留保額 /税引後当期利益(当期利益0以上の企業で集計)×100
- (内部留保額と税引後当期利益の両方に回答があった企業で計算)
- ・社外流出額=「税引後当期利益-内部留保額」、又は「配当金+役員賞与」
付加価値額と労働生産性
化学、繊維、食料品で高い付加価値比率
98年度の現地法人製造業の付加価値額(注)は6兆2055億円(前年度比3.7%減)で、国内法人付加価値額(74兆2694億円)に対する比率(「海外付加価値比率」(注))は、8.4%と、前年度比0.3ポイントの上昇となった。これを海外生産比率(13.1%)と比較すると4.7ポイント下回っており、その差は2年連続で拡大している(第2-(4)-3-1表)。
また、売上高に対する付加価値額の比率(「付加価値比率」(注))は、12.2%(前年度比0.2ポイント低下)で、国内法人付加価値比率(19.2%)より7.0ポイント下回っている。業種別にみると、ほぼすべての業種で10%台の水準となっていて、大きい順に、繊維(17.0%)、化学(16.3%)、一般機械(15.1%)などとなっている。このうち、国内法人の水準に比較的近いのは、木材・紙パルプ(14.1%)、食料品(13.9%)となっている(第2-(4)-3-1図)。
製造業の現地法人労働生産性(注)は282万円で、国内法人(589万円)の1/2程度の水準となっている。地域別に国内法人と比較するとアジアは127万円と依然低水準にとどまっているが、北米は582万円、ヨーロッパは554万円と国内法人と拮抗している(第2-(4)-3-2図)。
業種別に国内法人と比較すると、現地法人は総じて低い水準となっているが、業種間でみると、石油石炭(697万円)、化学(521万円)が比較的高い水準となっており、一般機械(463万円)がこれに続いている(第2-(4)-3-3図)。
(注)
- ・付加価値率=付加価値額/売上高
- ・付加価値額=営業利益+給与総額+賃借料
- =(売上高-売上原価-販管費)+給与総額+賃借料
- =売上高×(1-売上原価率-同販管費比率+同給与総額比率+同賃借料比率)
- =売上高×付加価値率
- (各比率は売上高、売上原価、販売費、給与総額、賃借料の全てに回答のあった企業で計算)
- ・海外付加価値比率=現地法人付加価値額/国内法人付加価値額×100
- ・労働生産性(一人当たり付加価値額)=付加価値額/従業者数(役員を含む。)
最終更新日:2007.10.1