経済産業省
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国際産業連関表

1990年日・米・EU・アジア多国間国際産業連関表

5-1. 最終需要1単位当たりの4か国・地域への生産誘発力はアジアが最大。

ある産業に1単位の最終需要(例えば1億ドル)が発生すると、その生産に必要な財・サービスの取引を通じて、次々と他の産業へ生産が波及し、結果として当初需要の何倍かの国内生産額が誘発される。一国全体としてみた場合、その波及結果である生産誘発額の大きさは、生産波及力の強い産業が多いほど大きくなる。また、国内で素原材料から完成品まで一貫して生産していれば大きくなり、途中で半製品等を輸入していれば小さくなる(その先の生産波及は輸入相手国へ移る)。

いま、自国に1億ドルの最終需要が発生した場合に、自国及び他の3か国・地域の生産がどれだけ誘発されるかを日本、米国、欧州及びアジアについてそれぞれ計算してみると(図表6)、アジア需要による4か国・地域への生産誘発額は当初需要の1.72倍であり、日米欧3か国・地域のどの国よりも水準が高い。

これを85年と90年とで比較してみると、アジア及び欧州では若干上昇しているのに対し、日本及び米国では低下していることがわかる。

図表6 最終需要1億ドルによって誘発される4か国・地域への生産額(単位;億ドル)
図表6

5-2. 最終需要1単位当たりの自国・地域への生産誘発力は日本が最大。

自国に1億ドルの最終需要が発生した場合に、自国の生産がどれだけ誘発されるかを日本、米国、欧州及びアジアについてそれぞれ計算してみると、日本需要による日本国内生産誘発額は当初需要の約1.57倍であり、米欧ア3か国・地域のどの国よりも水準が高い(図表7)。

各国・地域の生産誘発力を85年と比較してみると、欧州はほとんど変化していないが、他の3か国・地域はいずれも低下している。

図表7 最終需要1億ドルによって誘発される自国の生産額(単位;億ドル)
図表7

5-3. 最終需要1単位当たりの相手国・地域への生産誘発力はアジアが最も高い。
これを85年に比べると、いずれの国・地域でも増加しており、4地域間の交易関係の緊密化が伺える。

自国の1億ドルの最終需要(以下、単位需要と略記)によって、他の3か国・地域に誘発された生産額(生産誘発額)がいくらになるのかを比較してみると(図表8)、日本の単位需要1億ドルは米欧ア3か国・地域の生産を合計672万ドル(85年は640万ドル)誘発する。同様に、米国の単位需要は日欧アの生産を合計698万ドル(同651万ドル)、欧州の単位需要は日米アの生産を合計589万ドル(同504万ドル)、アジアの単位需要は日米欧の生産を合計1849万ドル(同1642万ドル)誘発する。

このように自国の単位需要による日米欧3か国・地域のそれぞれの(自国以外の3か国・地域に対する)生産誘発額はほぼ同じ水準であるが、アジアのそれは他の3か国・地域分に比べて約3倍と高い。これを85年と90年とで比較してみると、いずれの国・地域をみても増加しており、これらの4か国・地域間の交易関係の緊密化が伺える。

図表8 最終需要1億ドル当たりの相手国への生産誘発額-85年と90年の比較(単位;万ドル)
図表8

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最終更新日:2007.10.1
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