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国際産業連関表
1990年日・米・EU・アジア多国間国際産業連関表
トピックス-1. 各国・地域からみた技術的国際分業度の比較
90年世界表を使って、4か国・地域の技術的国際分業度の水準を計測し、その水準差の要因分析を行ってみた。
この技術的国際分業度指数(注)は、2か国・地域間の技術的な分業度を自国側と相手国側の双方で計測したものであり、0から1の範囲の数値を示す。
(注)この指標は例えば、日本の自動車産業が単位当たりの自動車を生産するのに必要なタイヤの量は決まっていても、そのタイヤ等の原材料は国産であったり、外国産(例えば米国産)であったりする。このタイヤ全体の必要量に占める米国産タイヤの割合を求め、それと同様な計算を日本が米国から輸入している原材料全てについて行い、その計算結果をウェイト付けすることによって一つの指標にまとめたものである。この指標を日本の対米国の中間財の取引を通じた技術的国際分業度指数と名付けた。この指標において、2か国・地域間における、相手国への中間財使用割合を通じた対相手国の依存関係を表しており、最も大きな場合は「1」、最も小さな場合は「0」の値をとる。
(1) 2国間の技術的国際分業度指数の比較
日本と米国の関係について、国際分業度指数を比較してみる(図表11-1、3)。日本の対米国分業度指数と米国の対日分業度指数の水準を比べると日本の方が大きい。これは、日本の米国に対する分業度の方が米国の日本に対する分業度よりもそれだけ高く、日本の対米依存関係の方が深化していることを意味している。
同様に日本と欧州の関係についてみると、両分業度指数はほぼ同水準で、その差もわずかであり、日本、欧州とも技術的国際分業度はそれほど高くないことがわかる。
また、日本とアジアの関係についてみると、両分業度指数は大きく、しかも、その分業度指数はアジアの方が2倍以上も大きいことがわかる。これは、日本、アジアとも依存関係が深化している中で、日本のアジアに対する分業度よりも、アジアの日本に対する分業度の方がより高いことを意味している。
アジアと対米、対欧の関係についてみると、いずれもアジアの対米技術的国際分業度指数、対欧技術的国際分業度指数が大きいことがわかる。
さらに米国とアジアの関係では、日本とアジアの関係にみられたようにその要因はほとんど同じ状況にあり、分業度は若干小さい。
(2) 技術的国際分業度指数の水準格差の要因分析
次に、日本と対相手国・地域の分業度指数水準との差を原材料等の使用割合である「生産技術要因」、中間財投入に占める輸入原材料等の使用割合である「国別中間財投入係数要因」、自国と相手国の生産額ウェイトの違いである「生産構造要因」の3つに分解して見てみよう(図表11-2、3)。
日本と米国の関係では、日本は主として国別中間財投入係数の要因によって、技術的国際分業度指数が大きいことがわかる。これは、生産活動を行うに際して米国からの輸入品投入の比率が相対的に大きいことを意味している。
日本と欧州の関係では、日米間でみられた関係とほぼ同じであるが、いずれの要因も小さいことがわかる。
日本とアジアの関係では、アジアは、国別中間投入係数による要因によって技術的国際分業度指数が大きいことが読みとれ、このほか、生産構造による要因も比較的大きい。これに対し、日本は生産技術による要因によって技術的国際分業度指数が大きいことが読みとれ、日本、アジアではこの3つの要因によって技術的分業度が他の国・地域の関係よりも高いことがわかる。(各要因の意味については本文の付-3を参照のこと)


