5月は、生産財、最終需要財ともに出荷に対して低下に寄与。耐久消費財は大きく前月比低下し、輸送機械を除く資本財の出荷は前月比プラスを維持している。 2017年6月30日
生産財出荷は前月比低下、少し水準も落ちている
鉱工業出荷指数の需要先用途別分類である財別指数をみることで、財需要の動向をみることができます。
平成29年5月の財別出荷指数の動きを見ると、まず全体のほぼ半分を占める生産財(事業活動の中間投入として利用される、素材や部品)の出荷は、指数値99.0、前月比マイナス2.9%と2か月ぶりの低下となりました。5月の生産財出荷低下の主要因は、電子部品や自動車部品などの出荷低下です。
今年に入って前月比の方向が月々入れ替わりますが、グラフの形状をみると、昨年12月からの比較的高い水準から若干落ちてきています。5月の生産財の出荷の勢いは少し弱かったようです。

最終需要財の中では、非耐久消費財以外は低下するも、資本財(除.輸送機械)の出荷は伸びている
生産財と出荷ウェイト全体を2分する最終需要財の出荷は、指数値97.8、前月比マイナス2.9%低下となりました。出荷全体への低下寄与としては、5月は最終需要財と生産財が、概ね2分していることになります。
最終需要財の中では、非耐久消費財の出荷は前月比横ばいでしたが、他の3分類の出荷は全て前月比低下となっています。
ただ、資本財の出荷低下については、注意が必要で、資本財から輸送機械品目を除外した、資本財(除.輸送機械)の出荷は前月比2.1%と2か月連続の上昇となっています。指数値も118.9と、平成27年1月(指数値123.6)以来のもので、ここ数年の中でも、最高レベルの出荷水準と言え、そのような状態が4月、5月と続いていることになります。
5月のこの資本財出荷のけん引品目は、フラットパネル・ディスプレイ製造装置、半導体製造装置でした。
逆に、耐久消費財出荷は、指数値83.4、前月比マイナス7.4%と2か月ぶりに低下となりました。4月の上昇幅が7.6%で、指数値も久方ぶりに90台となりましたが、結局その上昇幅分が5月に低下してしまい、水準も昨年平均よりも若干高いレベルにもどりました。
5月の耐久消費財出荷の低下寄与品目は、普通、小型の乗用車でした。

財需要のバランスは、設備投資用の財にシフト
財別出荷指数の前月比をレーダーチャートに配置して、4月の前月比と5月の前月比のバランスを比較してみます。
4月の鉱工業出荷は前月比プラスで、財別出荷指数は全て前月比上昇でしたが、上昇幅が大きかったのは、耐久消費財と資本財(除.輸送機械)でした。ただ、比較的バランスの取れた伸びを示していました。
5月の財別出荷指数の前月比のレーダーチャートの配置をみると、耐久消費財の出荷が際立って前月比マイナスをみせ、耐久消費財の頂点が中心部に落ち込む形でチャート上の五角形が大きく歪んでいます。同時に、資本財(除.輸送機械)の出荷は前月比プラスを維持しており、チャート上の五角形を上に尖らせています。
需要先別の分類でいうと、各財の出荷は全体的に縮小していましたが、設備投資向けの資本財(除.輸送機械)の需要だけが堅調となっており、5月の財別出荷の前月比バランスは、企業の投資に供される設備類にシフトしていたようです。

なお、5月の需要の内外需の別については、来る7月7日に、国内向け出荷、輸出向け出荷の別を集計した出荷内訳表を公表しますので、そちらをご覧ください。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201705s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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