平成30年1月の鉱工業生産は、前月比マイナス6.6%と大幅低下、高い水準だった昨年12月から大きな反動減。先行きでは、2月は増産計画だが、3月は再び低下。基調判断は、「緩やかな持ち直し」に引き下げ。 2018年2月28日
1月の生産は、4か月ぶりの低下で、低下幅も大きい
平成30年1月の鉱工業生産は、季節調整済指数99.5、前月比マイナス6.6%低下と4か月ぶりの前月比低下となりました。その前月比低下幅も非常に大きな値となっています。
この1月の動きだけをみると、非常に生産の基調が悪かったように思えますが、そもそも1月の生産計画は、昨年12月調査の段階から大きめの低下が見込まれていましたので、「想定されていた生産減」です。
昨年12月の生産からの反動的側面も大きいので、3か月平均でならしてみると、昨年11月から今年1月までの平均指数値が103.2となります。昨年第4四半期の生産指数は104.3で、1月までの3か月平均は、それより低い値となっています。昨年第3四半期の102.5よりは高い水準を維持していますが、やはり昨年第4四半期のような勢いということには行かなかったようです。

1月の鉱工業出荷は、指数値98.3、前月比マイナス5.6%と3か月ぶりの前月比低下となりました。前年同月比は2.1%上昇で、15か月連続で前年同月比上昇が続いていますので、水準はある程度維持されています。
この出荷指数値98.3は、昨年の3月(98.4)、5月(98.2)に近い水準です(平成29年第1四半期の出荷指数98.5)。平成29年第4四半期の指数値は101.4でしたので、平成30年の鉱工業出荷のスタートは、少し低いところからのスタートとなりました。

低下寄与が大きいのは、輸送機械とはん用・生産用・業務用機械
平成30年1月の鉱工業生産では、15業種全てが前月比低下でした。
この1月の生産低下への影響度、寄与が特に大きいのは、輸送機械工業、そして、はん用・生産用・業務用機械工業でした。輸送機械工業の寄与が、全体低下寄与の半分近くになっており、はん用・生産用・業務用機械工業がその半分程度という関係です。昨年12月は、この2業種の上昇寄与が大きかったので、その反動がそのまま1月に顕在化したようです。

2月は回復するも、3月は再び低下
2月上旬に実施した平成30年2月、3月の生産計画を調査した、生産予測調査の結果です。
2月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比9.0%と大きな上昇を見込むという結果になっています。この2月計画値に含まれる、バイアスを補正すると、前月比4.7%程度の上昇という計算結果ですので、比較的高めの生産上昇計画になっているとはいえ、1月のマイナス6.6%低下をカバーするほどの上昇にはならないものと思われます。
3月の生産計画は、補正前の2月計画から前月比マイナス2.7%低下するという結果でした。2月実績が低下することによって、この3月の生産計画の低下幅も緩和されるはずですが、他方、計画の下方修正もあるかと思われますので、やはり、3月の生産計画の勢いも、あまり良くない結果と解釈すべきかと思います。

基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」に引き下げ
平成30年1月の鉱工業生産は前月比マイナス6.6%と4か月ぶりの低下でした。15業種全てが前月比低下となっていました。先行きの生産計画でも、2月は大きめの増産計画とはなっていますが、どうも1月の低下分を完全に回復する様相ではありません。さらに、3月は再び減産計画となっており、その生産計画水準も昨年12月は下回るものとなっています。
こういった状況を踏まえ、基調判断については、「生産は緩やかな持ち直し」と一段、引き下げたいと思います。

- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201801s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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