経済産業省
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委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドラインを策定しました

本件の概要

経済産業省は、平成27年5月に国の委託研究開発プロジェクトの担当者が知的財産マネジメントを実施するに当たり考慮すべきと考えられる事項を運用ガイドラインとして取りまとめました。その後、国の委託研究開発プロジェクトにおける日本経済活性化への貢献や機微技術管理等の観点から、国の委託研究開発プロジェクトの関係者等の意見を踏まえて、随時、本ガイドラインの見直しを行っています。
本ガイドラインに基づいて、研究開発プロジェクトごとに適切な知的財産マネジメントを実施することで国富の最大化を目指します。

1.背景 

経済産業省は、平成26年6月の産業構造審議会産業技術環境分科会研究開発・評価小委員会の中間とりまとめを受け、日本版バイ・ドール制度(産業技術力強化法第17条)の運用等、国の委託による研究開発プロジェクトにおける知的財産マネジメントの在り方について検討を行い、委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン(平成27年5月15日)として取りまとめました。

2.本ガイドラインの概要

(1)適用対象

本ガイドラインは、経済産業省の予算により、経済産業省又は経済産業省所管の独立行政法人が委託する技術に関する研究開発を適用対象としています。

(2)本ガイドラインのポイント

  • 成果の事業化の重要性などの基本的な考え方を明示。
  • 研究開発の委託者に、プロジェクトごとに当該プロジェクトの知的財産マネジメントに係る基本的な方針(「知財方針」)を策定することを原則義務付け。
  • プロジェクト開始前から終了後に至る知財関連の業務手順を提示。
  • 留意事項として、以下の内容等を整理。
    • 成果を事業化に結び付けるため、想定されるパターンごとに、参考となる知財の柔軟な帰属の在り方や活用方策を提示。
    • 日本版バイ・ドール制度に基づき「活用されていない」とみなされる「相当期間」の目安を提示。
    • プロジェクト参加者が保有済みの関連知財(バックグラウンドIP)を融通し合う際の留意点を整理。
  • 知財方針に従い、原則としてプロジェクト開始(委託契約書の締結)までに、研究開発プロジェクトの参加者(研究開発の直接の受託者のほか、当該受託者からの研究開発の一部の再委託先及び共同研究先を含む。)間で知的財産の取り扱いについて合意(知財合意書を作成)するものとする。

(3)令和2年1月改訂の概要

令和元年6月の産業構造審議会産業技術環境分科会研究開発・イノベーション小委員会の中間とりまとめを受け、国の研究開発プロジェクトへの国外企業等の参加等に際して、留意すべき点の検討を行い、「国の研究開発プロジェクトにおける国際連携強化に関する基本的な考え方」(令和元年11月6日)を示すとともに、主に以下の内容についての改訂を行いました。

  • 研究成果に係る知的財産権について国外企業等と国との共有(持分の50%以上は国に帰属)を原則とすること(令和3年5月に国外企業等と国との共有とする規定を例外的に適用しない場合の考え方を追記)(運用ガイドライン2-2-2(2))。
  • 親会社又は子会社(これらの会社が国外企業等である場合に限る。)への移転等の場合には、委託者に連絡の上、事前に調整を行うこと(運用ガイドライン2-2-2(7))。
  • 安全保障貿易管理の観点を踏まえ、技術情報等の流出を防止すること(運用ガイドライン2-2-4(1))。

なお、本改訂は、令和2年4月1日以降に公募を開始するものから適用するものとします。

(4)令和3年4月改訂の概要

令和元年10月の産業構造審議会通商・貿易分科会安全保障貿易管理小委員会の中間報告を受け、国の委託研究開発プロジェクトから派生した知的財産権をライセンスする際の留意事項について検討を行い、政府資金が投入された国の委託研究開発プロジェクトから派生した知的財産権のライセンス契約において意図した範囲を超えて技術が利用されることを防ぐ等の観点から、以下の内容を追加する改訂を行いました。

  • 受託者は、ライセンス契約において、サブライセンス(再実施許諾)の禁止、秘密保持条項の規定等の「重要事項」を原則措置するとともに、販売先地域の制限、リバースエンジニアリングの禁止等の「推奨事項」を可能な範囲で措置すること(運用ガイドライン2-2-4(1))。
  • 受託者は、これらの重要事項及び推奨事項を、ライセンス・ポリシーやチェックシートとしてあらかじめ定めておくことが望ましいこと(運用ガイドライン2-2-4(1))。

なお、本改訂は、令和3年4月1日以降にライセンス契約を行うものから適用するものとします。

(5)令和5年4月改訂の概要

国の委託研究開発プロジェクトにおける知的財産の取扱いが、プロジェクトの目的・技術分野や参加機関等により多様化していること等を踏まえ、多様なプロジェクトに応じて、最適な知的財産マネジメントが実施されるよう、主に以下の内容の改訂を行いました。

  • フォアグラウンドIPの実施許諾について、場合によっては、事業化を行うプロジェクト参加者に、事業化に必要な範囲での独占的な実施権の許諾を可能とすること(運用ガイドライン2-2-2(4))。
  • 別添としていた「知財合意書の作成例及び解説」について、知的財産と研究開発データの取扱いがあわせて検討されている実務を踏まえ、「委託研究開発におけるデータマネジメントに関する運用ガイドライン」に示していた「データ合意書の作成例及び解説」と一体とした「別紙 知財及びデータ合意書の作成例及び解説」とし、内容を刷新。

なお、本改訂は、令和5年5月1日以降に知財合意書を作成するものから適用するものとしますが、それ以前のものに適用することも可能です。

(6)令和5年11月改訂の概要

経済安全保障推進法に基づく特許出願の非公開制度を踏まえて、主に以下の内容の改訂を行いました。

  • 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律に基づき、特許出願を行った発明が特定技術分野に属する場合には外国出願禁止の制限がかかる場合があること、保全指定された場合には適正管理措置を実施することが求められること等に留意すること(運用ガイドライン2-2-4(5))

なお、本改訂は、令和6年4月1日以降に公募を開始するものから適用するものとします。

その他

お問合せ先

イノベーション・環境局 研究開発課
電話:03-3501-9221

最終更新日:2023年11月30日
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