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行政情報を調べる 「資源有効利用促進法の解説」
第2編「資源の有効な利用に関する法律」逐条解説
第1章 総則
 2.定義(第2条関係)
(法律)

(定義)
第2条 この法律において「使用済物品等」とは、一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された物品(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「副産物」とは、製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給又は土木建築に関する工事(以下「建設工事」という。)に伴い副次的に得られた物品(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。
3 この法律において「副産物の発生抑制等」とは、製品の製造又は加工に使用する原材料、部品その他の物品(エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)第2条第2項に規定する燃料を除く。以下「原材料等」という。)の使用の合理化により当該原材料等の使用に係る副産物の発生の抑制を行うこと及び当該原材料等の使用に係る副産物の全部又は一部を再生資源として利用することを促進することをいう。
4 この法律において「再生資源」とは、使用済物品等又は副産物のうち有用なものであって、原材料として利用することができるもの又はその可能性があるものをいう。
5 この法律において「再生部品」とは、使用済物品等のうち有用なものであって、部品その他製品の一部として利用することができるもの又はその可能性のあるものをいう。
6 この法律において「再資源化」とは、使用済物品等のうち有用なものの全部又は一部を再生資源又は再生部品として利用することができる状態にすることをいう。
(第7項から第13項は、各章参照)
 
(趣旨)
 本条は、この法律における主要な概念の定義を行うものである。

(解説)

1.定義の基本的な考え方

(1) 使用済物品等
 「一度使用された物品」とは、消費者等において使用した後などに発生する物質一般を指し、例えば、古紙、空缶、空びん、廃自動車、廃家電製品等がこれにあたる。
 また、「使用されずに収集され、若しくは廃棄された物品」とは、新品(使用されない物品)であって、それが収集、廃棄という客観的に把握しうる行為の対象となったものをいう。具体的には、購入した新刊の書籍を読まないまま自宅に置いてある場合には使用済物品等の対象にはならないが、それを廃品回収に出したり(「収集され」)、捨てた場合(「廃棄され」)には使用済物品等の対象となるものである。

(2) 副産物
 「製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給若しくは土木建築に関する工事(以下「建設工事」という。)に伴い副次的に得られた物品(以下「副産物」という。)」とは、工場、事業場の生産活動等に伴って副次的に発生した物質一般を含む概念である。
 これら副産物には、製品の「製造」において発生するもの(鉄鋼スラグ等)のみならず、発電所等において電力等の「供給」に伴って生ずるもの(石灰石等)、や「建設工事」に伴って発生するもの(コンクリートの塊等)が含まれているため、「製品の製造」のみではとらえられない。このため「エネルギーの供給」「土木建築に関する工事」から得られるものを特記して規定しているものである。(参照:電気事業法第2条、ガス事業法第2条、建設法第2条)
 なお、副産物の生成は、事業活動本来の目的ではなく、その発生量、時期等が主たる生産物のそれに従属して決定されるものであり、これを表すため「副次的に」の語を用いている。事業活動本来の目的として複数の生産物が産出される「連産品」の概念とは、この点で区別されるものである。

(3) 副産物の発生抑制等
1) 「原材料等」
 この法律においては「原材料等」とは、「製品の製造又は加工に使用する原材料、部品その他の物品(エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)第2条第2項に規定する燃料を除く。以下「原材料等」という。)」と定義している。ここで「その他の物品」とは、化学工業における触媒や、鋳物工業における鋳物砂のように、直接原材料や部品とはならないが、生産活動に伴って投入することが必要な物品を指す。
 また、定義から明らかなように、「原材料等」には燃料ないしエネルギーは含まれない。エネルギーの使用の合理化については、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)がすでに整備されていることから、本法において重畳的に規制の対象とはしない。
2) 「原材料等の使用の合理化により当該原材料等の使用に係る副産物の発生の抑制を行うこと」
 製造工程の改善による製品歩留まりの向上等を図ることにより、生産活動に投入する原材料等の使用を合理化し、製造工程で生じる副産物の発生を未然に抑制することをいう。「原材料等の使用の合理化」とは、一定の製品を得るために、より少ない原材料等の投入で当該製品の製造を達成するために徹底的な効率の向上を図ることを意味する概念であるが、代替的な原材料等を用いる異なる生産方式への切り替えによって当該原材料等の使用量の削減を図ることは含まない。
 なお、副産物が発生した後に副産物を圧縮、焼却その他それらに類似する方法によりその減量を行う行為は含まれない。
 副産物と産業廃棄物は、前者の副産物が、生産工程で副次的に発生する不用物である産業廃棄物と有価物の双方を含むという関係にある。したがって、副産物の発生の抑制は産業廃棄物の排出の抑制に資する。また、副産物を生産工程内において再利用できるように工夫する場合には、副産物の観点からは副産物の再生資源としての利用の促進であるが、生産工程内で利用可能な副産物が利用されずに不用物になることを防ぐ効果があることから、産業廃棄物の観点からは産業廃棄物の排出の抑制と整理される。
3) 「副産物の全部又は一部を再生資源として利用することを促進すること」
 副産物に係る再生資源を当該業種とは異なる用途に利用されるよう、当該副産物の品質の均一化や加工の委託等、副産物が再生資源として利用されることを促進する取組や、副産物を自らの生産工程に再投入して原材料として利用することを促進するための取組を行う場合がある。

(4) 再生資源
 「再生」とは、廃棄物から有用物を得ることを意味している。
 本法では、措置の対象となる「再生資源」を定義する必要があるが、再生資源が現実の経済活動の中で、どのようにして発生しているかを考えてみると、それは、1)製品が消費者等を経由して使用された後等に排出される場合、2)製造、加工、修理、販売の事業活動、電力等のエネルギーの供給の事業活動、及び土木建築に関する工事に伴って副次的に発生してくる場合がある。
 そこで、再生資源の定義にあたってはこれら発生源から発生するもので、かつ、そのうち有用なものであって、原材料として利用することができるもの又はその可能性のあるものを再生資源としている。
 「有用なもの」とは、原材料、燃料等として役に立つものをいう。
 「原材料として利用することができるもの又はその可能性のあるもの」とは、再生資源の利用には、原材料としての利用、燃料としての利用、本来の使用目的に沿った製品としての利用が考えられるが、本法律で対象としているのは、原材料としての利用であることを示している。
 エネルギーとしての収集・利用促進については、我が国のエネルギー供給構造の脆弱性にかんがみ、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」及び「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」が整備されており再生資源のエネルギーとしての回収・利用についてはこれらの法制度の中で対処し得るものであるため、本法において重畳的に規制の対象とはしないこととしたものである。
 「可能性のあるもの」とは、技術的及び経済的可能性のあるものをいう。
 「放射線物質又はこれによって汚染された物」のうち、「放射線物質」とは、一般に、核燃料物質(トリウム、プルトニウム、ウラン等)、核原料物質(ウラン鉱石等)、放射性同位元素(コバルト60、ニッケル63等)がこれに該当する。(原子力基本法第20条等)
 また、「これ(=放射線物質)によって汚染された物」とは、一般に、放射線物質によって表面汚染されているもの(放射線物質が付着している作業衣等)、放射化物(それ自身が放射能を放出するようになったもの)がこれに該当する。
 放射性物質等は、その利用等については安全基準等を設定するなど、慎重な取扱いを要するものであり、放射線防護の観点や核不拡散の観点から、その加工、再処理、廃棄、使用等について、核原料物質、核燃料物質及び原子炉規制に関する法律、放射線障害防止の技術的基準に関する法律等、独自の法体系が整備され、厳重な管理が要請されている。このため、本法の対象からは除くこととしたものである。
(注)「廃棄物」との関係
 再生資源は、使用された物品や副産物について、それら廃棄物として処理・処分される前に有効な資源として利用できるもの、あるいは、廃棄物として処理過程に入った後に資源として再び取り出され利用されるものである。
 一方、使用された物品や副産物が利用されることなく処理・処分されることになれば廃棄物となる。
 従って、同じ形状の副産物や物品であっても資源としてそれらが利用され得るか否かによって再生資源と廃棄物は区別されることになる。具体的な法的規定においても、再生資源の利用の促進のための措置は使用された物品や副産物を原材料として有効利用しうるかどうかという見地から規定が行われるものであるのに対し、廃棄物の処理・処分については生活環境の保全・公衆衛生の向上の見地から適正処理がなされる必要があるかどうかの観点から規定するものであり、両者は規制の目的、内容を異にしている。したがって、本法の規制対象となっているという理由で直ちに廃棄物処理法における廃棄物に係る規制を受けなくなるというものではない。

(5) 再生部品
 「再生部品」とは、使用済物品等のうち有用なものであって、部品その他製品の一部として利用できるもの又はその可能性があるものをいう。例えば、使用済複写機の駆動装置が本来の機能を失っておらず、再び駆動装置として利用できるものをいう。
 再生資源との相違は、再生資源が利用先における用途を問わない(例えば、使用済複写機の駆動装置を駆動装置として再使用するのではなく、ただの鉄などの原材料として利用する)のに対し、「再生部品」とは、利用先において、本来その部品が有する機能を活用することにある。これは、必ずしも同一の製品におけるものとは限らず、例えば、使用済複写機の駆動装置をファクシミリの駆動装置として利用することも含まれている。複写機か、ファクシミリかの相違はあるものの、駆動装置としての機能を利用していることからである。
 「その他製品の一部」とは、例えば筐体のような、構造物をそのまま構造物として利用することをいう。例えば、複写機のカバー、柱などの構造物をそのまま利用することは、エネルギーを使用して原材料として利用する工程がないという意味では部品の場合と何ら変わらない。従って、こうした利用の方法についても「再生部品」の利用と概念した。

(6) 再資源化
 「再資源化」とは、使用済物品等のうち、有用なものの全部又は一部を再生資源又は再生部品として利用可能な状態にすることである。
 具体的には、回収された製品を解体し、有用部品を取り出し、中古部品市場などに供与できる状態にすることや破砕、熱加工などをすることにより、原材料を製造事業者がそのまま利用できる状態にすることである。
 「再資源化」の場合には、「利用可能な状態にする」ものであり、「有償又は無償での譲渡しうる状態にする」ものではない。これは、資源を有効に利用するとの目的からすれば、有償・逆有償は問わないが、資源として実際に使用されることが重要であるとの考え方による。
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最終更新日:2004.03.31
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